映画!『ソレダケ/that’s it』!感想!書く!ネタバレ!なもんありゃしねぇ!

おいテメェら!テメェらみてぇなクズはよぉ、もう死んでんだよ!
なぁなぁでなんとなく毎日過ごしてよぉ!目上のバカにペコペコ頭下げてよぉ!
俺なんて所詮なんの力もない無力な凡人だって言いワケしてよぉ!
いいか!なぁ!いいか!

「お前はもう、死んでいる…」

…俺はまだ、死んでないッ!

と、観終わって叫びたくなっちゃうのが『ソレダケ/that’s it』なのだった!

ジョージ・ミラー監督が『マッドマックス』(1979)の中でスピードに全てを懸ける暴走族を命尽きるまで爆走させていた頃、石井岳龍監督は『狂い咲きサンダーロード』(1980)の中で一匹狼の暴走青年と彼の爆走を邪魔するヤツらを戦わせてたのだった。

同じようなトコから始まって、その後それぞれ違う道を歩んだが、ジョージ・ミラー監督は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で、石井岳龍監督は『ソレダケ/that’it』で、再び同じ場所に、同じ時に帰ってきた。
なんか知らんが、泣けるハナシ。

んで『ソレダケ』ですが、いやもうハナっからサイコーだね!
暗闇にギターがギャギャーンって響いてさ、染谷将太がこう叫ぶ。

「俺はまだ、死んでないッ!」

で、bloodthirsty butchers(ブッチャーズ)の曲と共に走り出すってワケ。
ゴキゲンゴキゲン、実にゴキゲン!

オフィシャルサイトとか見るとブッチャーズとのコラボ企画と書いてあった。
当初ブッチャーズのライブ映像とか入れた、ってコトは多分ロッカーズとかスターリンがライブやったりする『爆裂都市』(1982)とかノイバウテンの出た『半分人間』(1986)みたいな映画だったのかもしんないが、ブッチャーズのリーダー吉村秀樹さんの死を以って企画は頓挫。
それがブッチャーズの楽曲を全編に取り入れた全く別の映画として蘇ったらしい。

ブッチャけブッチャーズとか全く知らんが、それ踏まえっと染谷将太の叫びってのはなにか、ちょっと泣けるトコあんな。
っていうか別にそのセリフだけじゃなくて、最後まで観たらそういうハナシだった。
ロック魂は死なねぇぜ!みたいな。
もう何十年も前から何度となく「Rock is Dead」なんて歌われてますが、んな中でもまだ叫ぶコトは出来んである。

「ロック(吉村秀樹)はまだ、死んでないッ!」

http://natalie.mu
http://natalie.mu 走る!叫ぶ!怒る!そして戦う!

ハナシは単純明快。
バイオレンス親父に捨てられて、かつ戸籍を売られて社会の幽霊と化した染谷将太。
裏社会の調達屋・渋川清彦の使いっぱしりかなんかしながらその日暮らしの日々を送ってたが、気まぐれからか、渋川のサイフを盗んだコトから事態急転。
そん中にはハードディスクが入ってた。
んで、染谷はハードディスクを狙う渋川と、彼を操るアヤシゲな極悪ギャング・綾野剛から追われるハメになるのだった…。

いやしかし、これシンプルなんだけどとても細部まで気を配ってる感じのハナシなんだよナァ。
なんのコトはない描写とか荒唐無稽な展開とかセリフの一つ一つとか、そーゆーのすげー練られてんの。
映像の勢いだけで突っ走る映画ってなワケでなく、脚本がイイんだよ、ホント。

つか映像もそんな感じで、ロックなんだから手持ちカメラ振り回してブレまくりゃいいんだろみたいな、そんなんじゃもう全くない。
スプリット・スクリーン入ったりさ、なんつーの?CCDみたいに役者さんにカメラ付けてその顔映すヤツとか、グーッと役者さんが走ってんの移動撮影で撮ったと思ったら、真上からの俯瞰を多用したり。
ほんでセピアがかったモノクロのパート、カラーのパートに分かれてて、染谷さんの心境の変化とかに合わせて色が変わったりする。

シャープな編集も良くて、緩急自在。すげーテクニカルでケレンの効いたっつーか。
いや石井監督って昔からそーじゃんとかマニアの人に怒られそうだが、でも昔のインディーズ的なノリっつーよりは熟練職人の業って感じ。
ハナシを伝えるためにどんな画が効果的かってな具合で、画が一人で暴れたり、ハナシに追いつかなかったりしねぇの。
後半はド派手でキッチュでバイオレントな大アクションになっけど、それだってハナシん中に上手い具合に調和してやがる。
よくできた映画だなぁ。

http://www.jackandbetty.net
http://www.jackandbetty.net もうこの笑顔(?)だけで観に行ってよかったって思う。渋川さんがカフェバーのマスターとヨタ話する長いシーンがあるが、そのときのマスターの表情に笑う。なんて俳優さんだろか。

エキストラ除いて登場人物とか五人くらいしか出てこないが(エキストラ入れても二十人くらい)、いやまた俳優さんがみんないいんだコレ!

調達屋の渋川さん、どこか憎めないウルトラリアルな激安チンピラ演じててグっときたが、この人誰かと思ったら元KEEさんだった。
なんか『ポルノスター』(1998)でもチンピラやってた気がするが、フィルモグラフィ見たら『殺し屋1』(2001) みたいなトンガった映画でチンピラばっかやってる。
最近はそうでもないのかと思ったが、今年は他に『極道大戦争』で三池崇史監督と、『ラブ&ピース』で園子温監督と仕事してるのだった。
なにか、パンク系監督とやたら縁のある、肝の据わった人である。

極悪ギャングの綾野さんの下働きしてんのが村上淳さん。
ちょっとくたびれた感じのある、でも腹の読めないあたりがとても怖いオッサン演じてて、この人もイイ。
軽いユーモアとペーソス漂う、味のある演技だな~。

そんでやっぱ染谷さんな!この人実にイイ目してんじゃんよぉ。
いや『ヒミズ』(2011)の人だから当然なのかもしんないけど、こんなに石井岳龍的なキャラクターにハマるとは思わなかった。
いつもふてくされた感じでさぁ、なんか鬱屈した現代的な人なんだけど、「俺はまだ、死んでないッ!」って走り出すときの熱量がハンパねぇ。
あんま観たコトなかったが、ホント良い役者さんなんだと思うわ。

アレだな、綾野さんも楽しそうにやってたし、染谷さんの相手役の水野絵梨奈さんも頑張ってる感じあったわ。
やっぱみんなイイ!


(↑の曲は映画では使われてなかったが、劇中のマンガのタイトルが「デストロイヤー」だった)

マァそんなワケで、ブッチャーズの曲は超かっけーし、脚本も映像も役者さんもみんな素晴らしいっつー、サイコーな映画だった。
登場人物の名前が七福神だったり、渋川さんの衣装がガムテープペタペタ貼り付けた謎パンク服だったり、最終決戦が工場だったりで、わーい石井聰亙監督の映画だー!って感じもいっぱい。
でも聰亙じゃなくて岳龍なワケで、回顧とかじゃないんすよ。
石井岳龍監督の、コレ新しいケッ作なんだよ!

いやまったく、観た後こんなパワーもらえる映画って久しぶりだよマジ!
ラストなんかもう、立ち上がって叫びたくなっちゃったぞ。
「そうだ!俺もまだ、死んでないッ!」って(やる勇気はないが!)
そーゆースバラシイ映画。
スバラシイんで、最後にもっかい書く。

俺はまだ、死んでないッ!

【ママー!これ買ってー!】


ソレダケ / that’s it サウンドトラック盤

映画館でサントラ売ってたから買おうと思ったが、「バカ野郎!グッズ買うなんてロックじゃねぇ!そんなヤツはロックでもねぇ野郎だぜ!」とゆー気分になり、諦めるコトにした。
スイマセンでした。やっぱカッコイイから買います。

あと、この映画大音量(爆音?)上映だった。
絶対映画館で観た方がいいと思う。

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