一人芝居っぽい映画を一人で色々観て孤独に感想書く!(その1)

トム・ハーディの一人芝居らしい『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』なる映画がやってるらしい。
一人芝居っつーとなにやらタイクツそうなイメージあるが、役者一人しか出てこないでハナシ単純だからとても脳にやさしい。
そして一人で何時間も(普通の映画は)もたないんで大体90分ぐらいで終わり、やはり脳にやさしい。
つまり、一人芝居映画とは限りなくストレスフリーなバカにやさしい映画群である!
ワオ! 俺にぴったり!

とゆーコトで一人芝居映画を探してみたが、マァ声の出演は除くとしても最後まで完全一人って映画は見つけられなかった。
なんや短編とかアート映画の底なし沼に入り込めばたくさん見つかりそうだが、俗世間に帰って来れなくなりそうでコワイ。
なので、妥協と手抜きして一人芝居っぽい映画を観て感想書いた。
今回は閉じ込められて一人芝居映画編。

一人芝居こそ映画の華!
孤独に生きろ!

『HAZE ヘイズ』(2005)
http://www.slantmagazine.com
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ふと目覚めると、そこは光の全く入らないコンクリートの隙間。
腹部には身に覚えのない傷。
一体ココはどこなのか、どうしてこんなトコにいるのか、見当もつかない。
だが待っていても仕方が無い。
その男・塚本晋也は苦痛を堪えながら狭いコンクリートの隙間の先へ先へと進んでいくが、そこに待っていたのはコンクリートの大迷宮、都市の地獄なのであった…。

のっけからですが、一人芝居と言いつつ監督・主演の塚本晋也とは『TOKYO FIST 東京フィスト』(1995)でも組んだ藤井かほりほか数名が出てくる。
とはいえ実質塚本晋也の自作自演一人芝居みたいなもんなんで、マァいいじゃない。

ハナシは至って単純で、とにかく塚本がイタイ目に遭う。
上映時間たった49分。なんで、もうそれだけ。
一応最後に種明かしとかあるが、マァ誰でも予想できるもんだと思うんで、驚きもへったくれもない。

DV撮影なんで映像とかとても荒い。それがなにやら硬くて生々しい質感を出していて、クッキリと光と闇が分離された画なんかコワイ感じ。なんですか、コンクリート地獄の至るトコには拷問装置があって、それに囚われた人なんかが暗闇にヌっと姿を現したりするワケです。
狭い中での荒っぽいカメラワークにはなんや疾走感もあったなぁ。
石川忠の音楽も全開で、情緒のカケラもないインダストリアル・ノイズ。
これまたコワイが、とても勢いあるワケですよ。
ホラーアトラクションみたいな感じなんで、4DX上映希望。、

なんですか、塚本が自分で製作して自分で脚本書いて自分で監督して自分で編集して自分で美術やって自分で出演して、「なんだよコレ! なんなんだよ! クソォ! イテェ!」みたいないつもの塚本っぽいセリフを吐きながら苦痛にもだえる自分の姿を撮ってもらうとゆー、恐ろしくマニアックなオナニーみたいな映画。
いや、その感じが面白いんだけど。

『ブレーキ』(2012)
http://www.sky.com
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スティーブン・ドーフが目を覚ますと、そこは車のトランクの中。
彼はそん中に積んであるフタの無いプラスティックの棺桶みたいなのに入れられてんのだった。
必死に助けを呼ぶが、もちろん誰も助けてくれない。
ってなワケで棺桶ん中にあった無線機と「ルーレットの場所はどこだ?」とゆー謎のメモを手がかりに状況を把握、脱出の糸口を探ろうとするのだったが…。

打って変わってコチラはナゼ監禁されたのか? がハナシの主軸になるサスペンス。
なんも分からん状況から始まって、次第に存外スケールのデカいハナシだったってコトが明かされてビックリ。それをひっくり返してひっくり返してひっくり返すラストの展開に更にビックリ。
いや、その設定はなんか無理あるだろ…と途中で思ったが、どっこいミスリードであった。うーん、やられた。
(もはやアホらしいオチはそれはそれで無理あるが)

アル中のダメ男にしか見えないスティーブン・ドーフが極限の状況下で次第に別の相貌を現していくあたり面白く、ワリと微妙にキャラクターを演じ分けてて上手い人だなぁと思ったりする。
この人はよく分からん作品選びをするが、演技の方もナカナカ捉えどころが無い。
90分近く、ドーフ見てるだけでも結構面白い映画なのだ。

リアリティとかそんなん無いが、色んな小道具出てきて色んな展開見せて、そんでもって911後のアメリカの世情まで組み込んだとゆー、脚本家が飲まず食わずでとても知恵を絞ったと思われる一本。
ゲーム的なトコもあり、意外と面白かった。

あと愛国心溢れてた。

『アブダクティ』(2013)
http://monsterpictures.com.au
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温水洋一が目を覚ますと、そこは誰もいないコンテナの中だった。
なんで自分がそんな目に遭ってるのか分からない(またか)
とゆーワケで例によって脱出を図る温水だったが、やがて巨大な陰謀の存在に気付くのであった…。

今度は温水さんが閉じ込められるが、塚本とかドーフならまだしも、温水さんですよ、温水さん。その段階で既に笑う。
いや笑うが、しかしハナシが進むにつれて実に真っ当なサスペンスだってコトが分かり、斜め上から来る壮大なバカオチよりもそっちのがサプライズ。
お笑い企画かと思ったらそうじゃなかったのだ!
(ラストはお笑いですが)

なにはともあれ温水さんの演技がとても面白い映画で、あの温水さんが「助けてー!」と叫ぶだけで他のどんな閉じ込められ系一人芝居映画よりも切迫感がある。
だいたいこの手の映画だと閉じ込められてるヤツはワリと屈強なナリしてんで、結局はなんとかなるだろうとかどんな絶望的な状況でもコイツら絶対に諦めないだろうとか思うが、コッチは温水さんなんで今にも死にそうである。
そのダメ親父の温水さんが必死に状況を打開しようと奮闘する姿は感動的でさえあるが、反面情けなさ過ぎて大笑い。

果たして、これほど温水さんの面白さを引き出した映画が他に存在しただろうか!
っていうか、多分これからも存在しないだろう。
温水洋一、一世一代の名演技。この人の代表作であるッ!

『アイアン・ドアーズ』(2010)
http://iwatchmike.com
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いつものように、男が目覚めると知らない部屋にいた。
壁はコンクリ、ドアは鋼鉄。もちろん開かない。
さて、どうしよう…とりあえずションベン飲むか。

一人芝居なのは前半40分くらいだけで、そっからはもう一人女優さんが出てくる。
よって一人芝居映画とゆーには相当無理があると思われるが、とてもワケが分からない怪作だったんで書く。

アレだな、たぶん主演の俳優さんは閉じ込められ系一人芝居映画随一の演技力の無さで、物凄く演技に幅が無くてぎこちない。
よく『シャイニング』(1980)への批判で「ジャック・ニコルソン最初っから狂ってるジャン!」みたいのあるが、コチラも最初っから狂ってる。
いや脚本とか演出が悪いとも言えるが、腹が減ったなぁとか言ってごく普通のテンションでションベン飲んだり蛆虫食ったりすんのはどうなんだ。
「ダメだ! もう動けない!」みたいなコト言った直後に普通に歩いたりすんのはどうなんだ。
いやマァ、安い映画だろうからやる気無かった可能性もあるが、そのワリには楽しそうな演技である。

しかしそんなコトはもはやどーでもよく、なんでだろな、いやホント、なんだろな。
要するに宗教的な含意があるってのはなんとなく分かり、もう一人の女優さんがアフリカ系であるとか、○○を見てはいけないとか、そういうハナシだと思えばなるほどと自然に了解できなくも…いや、できないよ!
驚愕のラストに主人公の男が一言、

「信じられない!」

俺もだよ、俺も。

『[リミット]』(2010)

ライアン・レイノルズが土中の棺桶に閉じ込められる。
で、脱出しようとする。

場所が違うだけでハナシの導入とか基本的な展開は同じなんでもう書かないが、たぶんこの分野の究極的な一本。
なんだかんだ他の閉じ込められ系一人芝居はカメラが外に出たり他の役者さんが出てくるが、この映画はカメラが一歩たりとも外に出ない。
役者はレイノルズただ一人。唯一画面に姿を現す女優さんは、それでもケータイ画面のちっちゃい枠の中で、時間にして1分くらいなのだった。
要するにレイノルズの演技を見るだけの、ホントにそれだけの映画である。

とゆーワケでレイノルズなんですが、基本『ブレーキ』のドーフとかとやってるコト同じも、90分飽きないで観れた。
閉じ込められたらこんなかなぁっつーリアリティがある感じで、ギャーギャー喚いたり泣いたりするばかりでなくて、ワリと無言の、表情と動きで見せる演技も多い。
そらこんなんなったら黙りもしますよだが、そのあたりメリハリあって良いなぁ。

定番小道具の電話とか出てくるも、しかしそれ以外の小道具はライターぐらい。
よってストレートな会話劇になるが、そん中にもケータイの性質を生かした展開あり、ブラックユーモアあり、やはり『ブレーキ』同様に911後のアメリカの世情あり、ほんでアメリカの人タイヘンっすねとかアメリカ万歳に終わんないトコありで、かなり充実した感じの社会派一人芝居映画なのだった。
これは、オモロイ。

【ママー!これ買ってー!】


[リミット] スペシャル・プライス [DVD]

いやぁ、映画ってたった一人の演技ひとつでなんとかなるもんですねぇ、と教えられる映画。
ラストには笑って拍手したくなります。

↓その他のヤツ
ヘイズ/HAZE-Original Long Version [DVD]
ブレーキ [DVD]
アブダクティ [DVD]
Iron Doors [DVD]

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