一人芝居っぽい映画を一人で色々観て孤独に感想書く!(その2)

一人芝居っぽい映画を一人で色々観て孤独に感想書く!(その1)
に続いてその2。今度は遭難一人芝居(っぽい)映画を観てみた。
なんか最近のばっかだが、古いのとか探せば絶対もっとたくさんあると思うんだよなぁ、遭難一人芝居映画…。
(最後の日本兵こと小野田さん横井さんの伝記映画とか無いの? 観たいんだよそーゆーの。いや遭難じゃないが)

『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007)

http://www.hotdog.hu
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あるところにとても頭脳明晰な青年がおった。
彼はとても恵まれた豊かな生活を送っていたが、そんな人生に疑問を持ってもいた。
だから、旅立った。
本当の自分と本当の人生を探して、アラスカの荒野へと…。

コレ一人芝居映画にしちゃったら世の映画のほとんどは一人芝居映画になっちゃいそうであるが、そんなコトは気にしない。
マァ、全体の半分くらいは主演エミール・ハーシュの一人芝居ではある。
この人、キラキラした目が世間知らずの青二才感を醸し出してとても良いのだ。
厳しい大自然の中で次第に生気を失ってあたり、マァ青二才だからそりゃそーなるよなと説得力。

この映画サントラが良くて、パール・ジャムのエディ・ヴェダーがほとんど弾き語りで歌ってるが、コレがさぁ、なんつーの? あぁアメリカだなって感じ。
こう、雄大で厳かな原野を思わせてさ、アメリカ広いですね、アメリカ人のマインドって元々はこんなだったんですねってな具合で。
なんかね、カウボーイの姿がさ、いやカウボーイっつっても勇敢なガンマンとかじゃなくて、厳しい自然の中で日々粛々と生の営みを続けてるだけの貧乏でしがないカウボーイの姿ってのが、こうアタマに浮かぶワケですよ。

同名ノンフィクションの映画化で、マァ俺は読んでないから知らんですけど、とりあえず監督のショーン・ペンはそんな具合に、文明から遠ざかろうとする主人公の旅をアメリカの原風景を求める旅って風に解釈したっぽい。
とゆーかアメリカのロードムービーとゆーのは大なり小なりそーゆーケがあると思われますが、そのあたりアメリカの空気を吸ってない俺にはなんとなくは理解できても肌レベルじゃ理解ムリ。
たぶん、日本人が寅さんに感じるモノを諸外国の方々が理解できないのと同じじゃなかろーか。

映画は光に満ちたハッピーエンドで終わるが、それってのは見方を変えりゃ身の程知らずのアホなアメリカ人がバカやっただけ、とも言えるのだった。
そのあたりも含め、なんだかとてもニューシネマっぽい映画だなぁ。
いや正直、あらゆる前衛運動は評価された段階で意味と力を失うと思うんで、今更ニューシネマ(的なモノ)を蘇らせるなんて悪趣味で野暮の極みだと思う。

コレはだから、俺は思想としてはワリと嫌いな腐臭漂い系の映画だったんですけど、音楽も映像もとても美しいし、茶目っ気もあって面白い。
なんか、そんな感じの映画だったなぁ。

『キャスト・アウェイ』(2000)

http://www.ibtimes.co.uk
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飛行機事故に遭って無人島に漂着したエンジニアのトム・ハンクス。仕事は順調、優しい恋人に恵まれた幸せな人生は、こうして一夜にして一変した。
果たして、彼は生き延びるコトができるのだろうか。
そして、恋人の下へ帰るコトはできるのだろうか…。

そんなにマジメに観てないからなんか色々見落としてると思うが、トム・ハンクス、サバイバル能力高すぎだろ!
別に猛獣と闘うとかそんなワケじゃないが、一介のエンジニアが無人島であんな風にサバイバルできんのかいな。
アレだな、こうなるとニートが無人島行く映画とか観てみたいよね。孤独に強いニートなら意外と暮らせるかもしんない。
PC無い時点で死ぬかもしんないが。

んな関係ないコトはどーでもいいが、それにしても面白いなぁ、コレは。
中盤一時間くらい回想もナシで延々トム・ハンクスの無人島生活が描かれるワケですが、なんやセンチメンタリズムに逃げたりするようなコトもなく、食料確保したり靴作ったり生活拠点築いたりっつー細々としたコトが丹念に描かれると。
で、最初はなんも上手くできないハンクスがさ、段々適応してって上手くなってくってのが、とてもワクワクして良いんですよ。
初めて火を起こすシーンなんて感動したもん。タイヘンなんだなぁ、火ぃ起すって。

一人きりの無人島生活は流石に精神やられるらしく、そのうちハンクスはバレーボールとお友達になる。
バレーボールのウィルソン君、なんとなくカットごとに表情が変わってるように見えたが、昔習ったモンタージュ理論ってのはこーゆーコトかと勝手に納得。
しかしこのあたりハンクスの演技のオカゲってのもあんじゃねーのと思われ、無人島生活の果てに訪れるウィルソン君との別れなんて確かに悲しいのだ。
プカプカと海に浮かぶウィルソン君、そこはかとなくユーモラスでありつつも。

とてもテンポが良い映画で、ハンクス入魂らしい演技にも関わらず遭難の悲惨さとかあんま感じないが、それもそのはず、文明社会に戻ってからのが悲惨なのだとゆー映画なのだった(言ってしまった)
上映時間40分ぐらい残して文明社会に帰還、ビックリしたが、むしろそっからがキモだったりする。
そっからがキモだが、コレがクドイ。
いやホントにクドイ。
大したコト描かれるワケじゃないのに、やたらクドイ。
マジでクドイ。
この文章も、クドイ。

なんか、アレだよな。無人島生活で語られなかったハンクスの心情をダラダラ説明してく感じなんですが、そーゆーの野暮じゃなかろか。
無人島でのサバイバルが面白かったんで、なんか余計に野暮野暮しく感じて萎えたなぁ。

『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(2012)

http://www.wallwides.com
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ネタ探しをしてた作家がパイとかいう珍妙な名前を持つ男を訪ねる。
「なんかネタ無いっすかねぇ」
「じゃあ、俺の人生でも話してやるか」
ってなワケでパイの波乱万丈の自分語りが始まる。
自分の名前を由来、両親の営んでた動物園のコト、それからトラと共に数ヶ月も漂流したコトが…。

いやそれにしても、CGを最大限駆使した映像スゴイなぁ。
救命ボートで動物さんたちと一緒に漂流するワケですが、朝はなんのコトない風景も、夜となれば海と宇宙が一体化。物凄い神秘的な光景が広がる。
で、長いコト漂流してると段々とこう現実感が薄れてって、なんや神話的な様相を呈してく。宇宙を漂う(ように見える)クジラとかトビウオの大群の襲撃なんて、なんだか人智を超えた途方も無いスケールなのだ。
動物さんたちの表情の作り込みなんかも凄まじいが、さすが、10分近くも続くエンドロールに大量のビジュアル・アーティストがクレジットされてるだけある。
サファイアとかエメラルドちりばめたみたいな色合いも美しくて、いやまったく、こりゃスゴイ。

そんなワケでハナシの半分くらいはパイ少年の一人芝居ですが、映像に圧倒されてそれどころじゃないのだった。
でもいいのだ! 人が生きるにゃ幻想必要なんですよって映画なんだから。
めくるめく幻想旅行に身を任せちゃえばいいじゃない。
荒々しい自然に神を見ればいいじゃない。
現実を見るコトだけが現実を生きるってコトじゃないじゃない。

果たして謎の島とはなんだったのか、パイの身に何が起こったのか、そんなことぁどうだっていーんである。

『127時間』(2010)

週末だ! 自由だ! アウトドアだ!
とゆーコトでジェームズ・フランコは一人キャニオンランズ国立公園の大渓谷に出かける。
経験豊富な彼のコト、絶壁も断崖もなんのその。途中で出会った女の子を俺だけが知ってる穴場スポットに案内しちゃったりして、渓谷歩きを心底満喫。
さて帰る前に、今まで通ったコト無い道を通ってみよう…とそのとき! 不覚にも足を滑らせ、なんと落ちた先で岩に腕を挟まれてしまう!
どうしよう! 身動き取れない! しかも周囲にゃ全然人がいない! 携帯とか置いてきちゃったし!
ってなワケでジェームズ・フランコの孤独な闘いが始まるのであった…。

いやもう、極限なのだ。
どれくらい極限かっていうと、水が無いから小便飲むなんてレベルでなく、幻覚が見えてくるとかそんなレベルでもなく、動画機能付きデジカメで撮った大して可愛くもない水着の女を眺めながらオナニーしようとして、あまりの情けなさにちょっと泣きそうになるくらいの極限である。
…それ極限か? いや、飲まず食わずで瀕死状態なのにオナニーしようとするなんて、極限だろ!
なんか言うじゃん、生命の危機に瀕すると性欲亢進、みたいな。

そんな具合で、ノンフィクションを原作にしてるだけあってリアル(と思われる)な極限状況が描かれる。
ジェームズ・フランコ、スゴイよ。こう、理性と狂気を行ったり来たりすんですが、ちょっとおかしくなってヌルっと我に帰るトコとか、なにか一線を超えそうな時のためらいの感じとか、必死に痛みを堪えるトコとか、もう全然派手な演技じゃないんだけど、なんか極限感じさせてくれんだよ。
後半なんてもう、痛々しくて観てんの辛いわ。

監督ダニー・ボイルだそうなんで、例の楽しいスタイリッシュ映像とかたくさん入ってくる。
なんですか、タイムラプスとか、スプリットスクリーンとか、あとカメラは『スラムドック$ミリオネア』(2008)と同じ映画用の超小型デジタルカメラ(SI-2K Miniとかいうそうな)使ってるらしく、それでグイグイと、後ろから前から上から下からフランコに迫る。
2時間近くフランコの一人芝居っつーと飽きそうなモンですが、んなワケで全然タイクツしないっつーか、いやむしろそこらのアクション映画より遥かにダイナミックで安らぐトコの無い映画なのだった。

タイトルの出し方もすげーカッチョイイ、実にオモロイ映画だったなコレは。
あと、ビンッ! ビンッ! ってなるシーン、イタすぎ(観れば分かる)

『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』(2013)

http://www.shaanig.com
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自前のヨットで一人大海原を漂っていたロバート・レッドフォード。
が、例によってヨットが浸水。救命ボートに移って救助を待つ。
だが、いつまで経っても助けは現れず…。

散々「それ一人芝居映画か?」みたいのばっか観てきたが、ようやっとマジモンの一人芝居映画である。
無線から二言三言誰かさんの声がして、ほんで誰かさんの手がチョビっとだけ出てくるが、他の役者が出てくんのはそこだけ。
とにかくアタマからケツまでロバート・レッドフォードただ一人の演技を観るだけの、しかもセリフなんて数える程しか無いとゆー、描かれる状況とゆーより映画的な意味で極限な感じの映画がコレなのだった。
(といってアート映画ってワケでもないんで、なおレア度が高い)

ところで、コレ遭難一人芝居映画つっても他の似たような映画たぁちょい違う。
早いハナシ、レッドフォードは生きる気があんま無いのだ。
冒頭、ヨットの前に漂流したコンテナがプカプカ浮かんでて、でそのままだとヨットと激突して穴が空いちゃう。
一応レッドフォードは回避しようとすんだけど、結局あぁ無理だなと諦める。
立ち尽くして、刻々と近づく漂流コンテナを眺めるレッドフォード。
で、案の定ドーンてなる。

このあたりのワビサビっつーか無常観ってすげーんだけど、ワリと全編そんな調子で、盛り上がりそうなトコとか全部かわしてく。
だいたい遭難映画っちゅーのはどうやって生き延びるかみたいなのがハナシの軸になるんだと思ってたが、コチラは死との闘いなんてハナっから放棄して、やがて訪れるであろう孤独な死をどう受け入れるか、みたいな感じになる。
それをドキュメンタリーっぽい撮り方でやるんで地味さ倍増だが、しかしこうなると遭難がどうとかあんま関係ない、シリアスな老人ヒューマンドラマだよなぁ。
うーん、老人と海…。

http://www.worldfree4u.me
http://www.worldfree4u.me 徘徊中の痴呆老人に見えなくもない。

コレ監督は『マージン・コール』(2011)のJ・C・チャンダーとゆー人らしいが、そういやアチラはアチラでドキュメンタリーみたいに淡々とした金融ドラマだった。
だったが、無表情に己の役割を全うするだけに見えた金融屋さんたちがフッと感情を露にするよーな瞬間があり、淡々としてる分だけよー心に響いた。

コチラ『オール・イズ・ロスト』もそーゆー作りで、無言の淡々サバイバルが延々と続いた末にレッドフォードが叫ぶ例の四文字言葉はズシンと来る。
単に淡々としてるだけに見せといて、ギリギリ飽きて来たトコで突発的なアクションとか展開があったりもして、緩急のコントロールっぷりはかなり自在。
ちなみに『マージン・コール』はビルの屋上から眺めるウォール街の夜空に金融屋さんたちの孤独と不安が映し出されてるようで素晴しかったが、コチラは水面下からレッドフォードのインした救命ボートと海を捉え、レッドフォードの孤独と諦観が伝わってくるようである。
あるいは死の神秘を感じさせるような感じもあり、そのあたり、ワリと詩的な映画でもあるのだ。

そのヨボヨボノロノロした動作も含め、レッドフォードはどこまで演技してんのかもはや分かんなくなってくる。
ボーっと海を眺めてるだけみたいなカットも結構あるが、セリフ忘れて途方に暮れてるトコだと説明されても納得しそうである。
船が通りかかり、助けてもらうために火を付けて合図をしようとするシーンがあるが、そこでの手の震えっぷり、思うように体が動かねぇっぷりなんかマジいいな。
なんつーか、役柄と自分の区別すら存在しない境地だ。
ボケとも言えるが、いやそれこそ俳優が追い求めるもんだろ。

そんなワケでロバート・レッドフォード一人芝居、もう遭難らしいワクワクドキドキするトコとか皆無ですけど、コレ、かなり面白いっす。

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とにかくアノ手コノ手で楽しませてくれてイイんだよなぁ~。
あと、上映時間94分でバシッとキメてるあたりも素晴しいよなぁ~。

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