映画『パージ』の感想を映画自体をパージするために書く!

追記1:『パージ:アナーキー』を観た
追記2:『パージ:大統領令』も観た

現代社会ではお祭りの役割はとても稀薄になってしまっておりますが、その昔はといえばお祭りは社会になくてはならなかったというのが文化人類学の教えるところでございますので、それならばいっそのことお祭りを復活させようじゃないか、停滞する経済や少子高齢化や犯罪率の増加を一挙に打破して社会に活力を取り戻すためにみんなが参加できてとてもとても楽しいお祭りを甦らせようじゃないか、とそのような高尚な目的で年一開催国民全員強制参加のパージ・デーなるバトルロワイヤルなお祭りの日が制定されたのでございますが、これが大盛況も大盛況、暇を見つけりゃ病院通いのジジィババァですとか諸々の支援がなければマトモな生活が困難なホームレス等々の社会的弱者は日頃うっぷんの溜まった誰もがこぞって殺しにかかりますから年々膨れ上がっていたはずの社会保障関連費は抑制されまして、またカネ持ちはみんな殺せばいいですから富が一極に集中することも無くなったというワケで、その他諸々のパージ・デーのもたらす好影響から衰退の一路を辿ると思われましたアメリカ合衆国は国力を回復、国民みんな大喜びと相成りまして、パージ・デーを作ってくれた大統領はんはえろうございますなぁと政治不信まで一気に取り払われまして、メデタシメデタシ、これでアメリカも安泰じゃとなったのでした。

とマァ、『パージ』はそういう映画なのだ。
そんなワケないだろとか思ってしまう人は、そもそも観るべきでない。
感想書くが、適度にネタバレはある。
こんな長ったらしい文章はもう無い。

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それにしてもとても暑い日々が続いてるんで、なにかいらん建造物の一つや二つ爆破してしまいたい衝動に駆られたりする今日この頃。
この映画はおそらく暑さによるストレスを見越しての公開だと思われ、いやまったくアッパレアッパレ。
暑さを吹っ飛ばすのは爽やかな恋愛映画とかじゃなくてこーゆー映画だろ。

と思って観たが、いや待てと。別にストレス解消猛暑対策映画じゃないぞ、コレは。
そしてまったく不道徳でキケンな映画でもないぞ。
むしろ、コレに比べたら『予告犯』(2015)とかの方が全然アブナイ映画だぞ…。

武器の使用はある程度制限されてるとはいえ、パージ・デーってのはどんな犯罪も基本自由のドリームお祭りデー。
そりゃあもうエゲツナイあんなコトやこんなコトが起こって、うひょー! ドン引きー! でもキモチー! な映画なのかと思ったが、そもそも映画の舞台はとある豪邸だけで、しかもそこに住むイーサン・ホーク一家を襲う犯罪行為といったらチンケもいいトコなのだった。

いや要するに殺しだが、基本銃でバーンと撃って終わり。
待ちなさい、待ちなさい。君ら犯罪者諸君の想像力はその程度なのかね?
拷問するとか、家族同士殺させるとか、家族同士犯させるとか、人肉食べるとか、死体犯すとか、時間が許せばムカデ人間作ったり、パージ・デーが終わっても苦痛が続くように四肢切断した状態で生かしたりとか、なんかあるだろう、そういうの。

せっかく犯罪フリーなのにどいつもこいつも銃で撃ったりナイフ刺して終わりって…なにか、確実に人生の一部を無駄にしてるぞお前ら。
映画の中の人々は「パージのおかげで国が栄えましたなぁ」とか呑気に言ってやがるが、犯罪とはいえこんな想像力の貧困な輩ばっかじゃ国の未来は無い。
(想像力がないから殺しに手を染めるコトができんのかもしれんが)

そんなワケで「犯罪解禁!」なんて威勢の良い惹句に反してとても大人しい映画だが、ハナシが進むとその設定ももうあんま関係なく、最終的に単に家に泥棒が入ったレベルのみみっちハナシに収まったりする。
コッチのが遥かにつまんないが、なんか『要塞警察』(1976)とか『パニックルーム』(2002)みたいな感じ。
そしてたぶん『ホームアローン2』(1992)の方が泥棒撃退にヒドイコトやっている。

いや別にそれならそれでいいが、単に家に泥棒入ったぞ映画としてもおもろない。
殺しの手段も雑で全く面白味ないが、展開もエライ粗雑で単調だったりする。

っていうかコレ、ホントに荒いハナシなのだ。
豪邸の主イーサン・ホークはパージ・デーを生き延びるためのウルトラ堅牢防犯システムを売りさばいて財を成したっつー設定で、イーサン家ももちろんこの防犯システムを導入してるが、その機能とは窓に鉄製のシャッター下ろして豪邸の周囲十か所くらいをカメラで監視するだけである。
なんだそれは。『パニックルーム』とか『ホーム・アローン2』のが遥かに高度な防犯システムじゃないか! コッチの時代設定は近未来なのに!

お前ら人殺したくてたまらないクズ犯罪者どもをナメてんのかと思うが、案の定遊び半分で人を殺しに来たクズガキ犯罪者どもに電線切られて豪邸は停電、アッサリとシャッター破られて侵入されてしまう(バッグアップ電源くらい用意しとけよ!)
しかしそもそも、防犯システム起動させてシャッターを下ろす前に、イーサン家の色気づいた長女のボーイフレンドが二人の交際を認めないイーサンを殺そうとこっそり家に侵入してたんである(見回りぐらいしとけよ!)
ついでに言えば、パージに疑問を持ったイーサン家のオタク長男は自らピッピッピってパスワード入れてシャッターを開けてしまうんである(教えとくなよ!)

「本当に解除しますか?」程度のメッセージすら出せない防犯システムは完全に欠陥商品だと思うが、それ以前にイーサン家の教育と状況認識に致命的な欠陥がある。
なんやかんやあって、最終的にイーサン家の繁栄っぷりを僻んだお隣さんがやってきて一家を皆殺しにしようとする。
コイツら「実は…アンタが憎かったのよ!」みたいな感じで殺しにかかってきてイーサンのカミさんはガーンってなるが、いや、だからそーゆー日なんだってば!
パージが制定されて十何年くらいは経ってると映画ん中じゃ説明されるが、お前ら何も学ばなかったのかよ! ってかよく今まで生きてたよお前ら!

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いやまったく、思い出せば思い出すほどしょうもない映画に思えてくるな。
つかさぁ、しょうもないならしょうもないなりに(そもそも設定がしょうもない)開き直ってバカでもグロでもやっちまえばいいじゃない。
こーゆーハナシ、なんかトロマとかネクロストームのグロバカ映画でいかにもありそうだし(というかあったと思う)

なんですか、犯罪者どもにはウルトラ変態犯罪野獣になってもらってさぁ、お子様バイバイの極悪犯罪模様を繰り広げてもらうとかさ。
んで対するイーサン側はウルトラ防犯システムで人間のクズどもに反撃すると。
イーサンがボタンをポチーって押すと豪邸の外壁からセントリーガンがジャキンと出てきて、豪邸に侵入せんとする人間のクズどもを蜂の巣にするとか、もいっこボタンをポチーって押すと今度は落とし穴が開いて、落ちた人間のクズが硫酸かなんかでドロドロー! …みたいな!

そーゆーグっとくる画がありゃあさぁ、別にハナシがどうとかそんなのどーでもよくなるのになぁ。
それが無理ならさぁ、せめて被害者と思われたイーサン一家が実は殺人マニア一家で、イーサン一家を殺すためにやってきた人々はまんまとおびき寄せられてたのだった! ぐらいのヒネリみたいのあってもいいんじゃないのか…。

まったくもってツマラン映画だと思うが、続きが来月公開されるらしい。
今度はカメラがパージ下の街に繰り出すらしいが、どうせ大したコト起こんねぇんだろうなぁ。
(しかし予告編はちょっと面白そうだから困る)

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これからもっと暑くなってくるとタガが外れて犯罪行為に走る輩も増えてくると思われるので、コレでも観て防犯意識を高めたい気分。

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ビヨンボ

確かにツッコミどころはある映画だよね。だけど犯罪解禁にしてはおとなしいと言うはものの、それはその犯罪者自身も殺されてしまう可能性があるからじゃないかなぁと思うところ。
セキュリティを欠陥システムだとは言うけどじゃあそこでムカデ人間よろしくやったらそれこそ、、、って感じがするのよね。まあ深く考えないで見る分にはちょうどいいくらいの作品だと思う。

ラガー

セキュリティしょぼすぎィ!

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