『野良犬はダンスを踊る』の悪口感想書くので嫌な人は読まないように

最初に断っておく。俺は映画監督になりたいなぁと思いながらもとりあえず脚本賞に脚本出しまくったり映画学校の初等科行ってるだけで、実にその目標と反比例して大して行動してないクソヤローである。エラソーなコト言っといて自主映画もロクに撮っとらん。
だから、これから『野良犬はダンスを踊る』とゆー俺ん中で今年最悪のクソッタレな映画の悪口書きまくるが、なんだかんだゆーて映画撮れてるこの映画の監督さんのが俺より絶対にエライのだし、結局俺の言ってるコトの半分ぐらいは野良犬ならぬ負け犬のやっかみなんである。
だが、しかし…半分はやはり真実なんじゃなかろーか! これはもうあまりにヒドイ映画なんじゃなかろーか!
信じ難い超大長文悪口になるんで、とりあえず先にあらすじ書く! 覚悟して読め!

初老の殺し屋・近藤芳正はそろそろ引退を考えている。
後の仕事は二人の部下に任せて、キャバクラのねーちゃんとでも落ち着くコトにするか…と思っていた矢先、使えない部下が仕事で大失態を犯してしまい、近藤芳正も責任を取らされるコトになってしまう。
果たして、彼は殺し屋稼業から足を洗ってキャバクラのねーちゃんと幸せな家庭を築くコトができるだろうか…。

どこがヒドイと言えば全部としか言いようがないが、ヒドイだけなら別にイイ。
なにがムカつくってそれなりに名の通った俳優さんをたくさん使ってて、渋谷ユーロスペースちゅー映画館で観たが、まがりなりにも商業映画なんだからそれなりには予算あるハズなのに隣のスクリーンでやってるインディーズ映画『螺旋銀河』より遥かに適当に撮ってやがるからであった。

更に言えば、トークショーのゲストがやたら豪華だったからでもあった。
金子修介、山口雄大、細野辰興、榊英雄、近藤芳正、本広克行…とゆー錚々たる顔ぶれと監督の窪田将治とかゆークソ野郎が上映後だかに日替わりでトークするんであるが、その面子少しでも『螺旋銀河』に回してやれよクソがと思わずにはいられない。
俺は『螺旋銀河』そんなに面白くないと思ったけど(映画『螺旋銀河』&『Dressing UP』の感想を二本立てで書く)、こんなサイテーのクソより何十倍もマシで素晴しい映画だ。
コネに物言わせてテメェのゴミみたいな映画売るんなら、せめて肥溜め落ちるか『螺旋銀河』みたいな頑張ってるインディーズ映画応援してやるかどっちかはしろ。
じゃなかったら祟るぞコラ!

…あんまり怒りだけが先走っても(もう充分先走ってるが)読んでる方は意味ワカランと思うので、どこがクソかちゃんと書いてこう。
第一に、脚本がクソである。
引退を考えつつあるベテラン殺し屋に使えない部下とキャバ嬢が絡んでるハナシなワケですが、あまりに陳腐かつ凡庸でショックを受けてしまった。
どこがとゆーか全体的にであって、例えば殺し屋の住んでる無機質な部屋(ベタ)に射撃の標的が置いてあるんであるが(ベタ?)、殺し屋は趣味とか無いから(ベタ)仕事が済んだら自室で一人ナイフを研ぎながら(ベタ)、やおら標的にナイフを投げて真ん中に突き立てたりすんである(ベタ…というかバカ?)

オープニングシークェンスでベタに殺し屋の人となりが描かれるが、これまた恐ろしいばかりのベタである。
殺し屋の過去。それは借金で母親を苦しめるバカ親父を刺し殺すとゆーもの(ベタ)
殺し屋の現在。それは淡々と殺しをこなすばかりの単調な日々の合間に女を買ったりするが、心にはポッカリと空洞が空いてるとゆーもの(ベタ)
タバコはもちろん吸いまくる(ベタ)。セックスが強くてどんな女もメロメロにさせてしまう(劇画的ベタ)
逆に、散々と殺し屋映画がやりつくされた現代においてこのベタさを貫き通すのはスゴイと思う。

しかしだなぁ、よーするにそのベタとゆーのは一昔前の、せいぜいが80年代前半ぐらいまでのベタであって(完全に大藪春彦の世界である)、ソレをそのまま現代を舞台にやったらどーなるかとゆーと、こんなもん出来の悪いパロディコントにすら見えないのだ。

その時代錯誤は深刻なレベルに達しており、たとえばヤクザの依頼を受けた殺し屋はまんまとホテルの一室におびき出されたターゲットを殺しにその部屋を訪れるたりするんであるが、今時どんな貧乏ホテルでも廊下に監視カメラは付いている。なんでそんなすぐバレそうなところで殺すんだろか。
殺し屋はまた、なにやら後ろ暗い金の受け渡しと騙されて人里離れた峠を訪れたターゲットを殺すんであるが、そんな怪しいカネのやりとりならビットコイン決済でもすればいい。
なにも峠まで直接出向かんでも、もっと足のつかなそうな取引方法はあるだろうよ…とターゲットは疑いを抱いて普通来ないと思うのだが。

要するに、現代が舞台にも関わらずその諸相を一切考えず中二的空想的ご都合主義的俺がルール的現代世界の中で物語を構築していて、致命的なまでにリアリティを損なってるとゆーのがこの映画の脚本の大きな問題点なのだ。
それならそれで完全な空想世界として撮ってしまえばいいが、ところがこのバカ監督はテメェのクソ脚本がリアルでクールだと思ってるらしいので、飛躍するところが一切無い。コイツの映画的想像力は信じられないほど貧困なんである。
街道沿いの峠の木に死体釣って首吊り偽装、に至っては時代錯誤とか関係なく単なるバカである。そんなトコで自殺するか!
だいたい政財界の大物ばっか首吊り偽装で殺してるが、あからさまに怪しいよそんなの!

…とまぁ既に文句が大量に出ているが、実際観てみるとそれどころではない。
キャバ嬢が殺し屋とセックスして「こんなに優しくされたの初めて…」と言ったりとか(AVの観すぎだよ!)、返す刀で殺し屋が「俺は天涯孤独の一匹狼だ…」とのたまったりとか(そのセリフ書いてて恥ずかしくねーのかよ!)、殺し屋とキャバ嬢がいつも街中で偶然遭遇してハナシが進んだりとか(少しは考えて脚本書けよ!)、データが漏洩したらどうするんだと使えない部下を叱りつける当の殺し屋の住居が依頼主のヤクザや部下に普通にバレてたり(隠せっての!)、凄腕の殺し屋と言いながら殺しは手段はいつもネクタイでの絞殺で、しかも手袋すら着けないからプロっぽさ皆無だったり(そこみんな工夫するトコなんだよ!)、脚本の段階で既に問題は枚挙に暇が無い。

そしておそらく最大の問題は、銃撃戦もアクションも、仲間の裏切りや倒すべき敵の存在も、そういった展開のウネリや意外性はおろか、なんなら殺し屋の苦悩すら皆無とゆードコが見せ場だか全く分からないあたりだろう…なにそれ?

しかし再度のコトながら申し上げておかなければならないのは、こーゆーのはやはりやっかみ混じりの物言いだとゆーコトである。俺は何度か殺し屋ものの脚本書いてどこの脚本賞送っても一次選考すら通らず落ちてるダメ人間なのだ。

ほんで、俺はそーゆーの書きながら考えるワケですよ。この方法で殺したら証拠残るかな、この場所で殺したら足つくかな、この殺しは前のシーンと同じ手法でタイクツだからもっと面白い別の殺しに替えよう…とか。
あるいは、ココちょっとベタ過ぎるな、ヒネリ加えた方がいいな、ココで展開に変化付けてちょっとしたアクション入れないとお客さんタイクツするな、キャバ嬢はこんな喋り方するかな、このキャラクターはちょっと記号的すぎてタイクツだな…とか、そーゆーのいちいち考えて書いてるんだよ!
それで色んな本読んだり映画観たりキャバクラ通ってみたりして、可能な限り緻密でリアリティあって、でもリアルなだけじゃなくてちゃんと面白い、観てるお客さんをハラハラワクワクドキドキビックリさせるような脚本書こうとしてんだよ!(キャバクラは趣味かもしれんが!)

結果的に出来てないから落選を続けているが、一方でこんな風になんも考えてないバカ脚本が商業映画になってるとゆーのはだなぁ…ゆーのはだなぁ!
クソ! ゆ…許せん! 断じて許せん!
こーのバカ監督! お前のかーちゃんキャシー・ベイツ!

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…少し落ち着いて、第二に映画自体に文句言う。
まぁなんだ、殺し屋に近藤芳正? 認めたくは無いが、その配役にはヒキあるよ、確かに。だってポスターにそう書いてあんの見て観に行ったんだもん。
だけどさぁ、近藤芳正の冴えないオヤジ風キャラが全く生かされてないのはどうなんだよと。
近藤芳正がだよ? 「俺は天涯孤独の一匹狼だ…」とか言うんだよ? ほんで女ヒーヒー言わせて、あの貧相な体つきで筋トレしたりジョギングすんのよ?
ダセェじゃん、単に。「エッ! 近藤芳正さんが殺し屋!?」みたいな展開とか演出もなくて、ハナっから最強の殺し屋としてクサェばかりのバカ台詞吐きながら出てくるんで、ダセェだけなんだよ。

そこ脚本のダメさでもあるけどさぁ、撮影に際してもっと考えるでしょう、普通。
近藤芳正さんのキャラ生かしてさ、普通にスーパーで買い物して近所の奥様と世間話するとか、移動は電車だったりとか、そーやって普通のオッサン具合を強調しといてターゲットの前では冷酷な殺し屋の顔になるとか、そーゆーの。
こんなベタな殺し屋をベタに演じさせるんじゃ何のタメにこの人を起用したのかワカランっての。

で、これも脚本の問題と重なるトコではあるが、殺し屋の性格と映画のムードを表現するに冒頭に若いデリヘル嬢と激しいセックスをするシーンを挿入するってゆーコトの短絡。ヒッデェなコレも。
別にココに限ったコトじゃなくてさ、とにかく短絡的で記号的な映画なんだよ。
キャバ嬢が何故か冴えないオッサン風の殺し屋にいきなり抱きついて「抱いて…」とか言うんですけど、仮にそこに至るまでの心境の変化とか脚本に書いてなくたって、演技の襞とかちょっとした小道具で画面に映らない部分って想像できたりするじゃん、観てる側は。
ってゆーかソコを想像させんのが映画だと思うけど、でもやんないんだよ、この映画。キャバ嬢は一人の人間じゃなくて、単に殺し屋に惚れるっていうそれだけ役割しか持たない記号ってなワケでさ。

この部分に関しては明白な男尊女卑思想が見え隠れしてもいて、ソコも個人的にはだいぶ引っかかる。
別にか弱いキャバ嬢のキャラを出すなとかそーゆーコトじゃなくて、その物語の中で全く意味がないし(別にキャバ嬢じゃなくて、近所のオバちゃんでも成立する物語なワケです)、それだけならまだしも面白味も無いのにそーゆーシーンやキャラクターをやたら入れてくんのが問題なんであって。

だから結局、キャバ嬢がいくら脱ごうがセックスしようが「こんなに優しくされたの初めて…」とか抜かそうが、ポルノにすらなってない。全くの無意味なんだよ。
無意味なんだけど、大藪春彦的ハードボイルドをただ形式的になぞるためだけに配置されていると。
内実を伴わない男尊女卑って、これほど気持ち悪いもんもないですよ(botがミソジニー丸出しのツイートしてたら、人間がツイートするよりキモイでしょ?)

閑話休題。男尊女卑がどーとかそんなの置いとくとしても、この記号性・短絡・形式の反復は全くタイクツにも程がある。
様式美? ご冗談を。様式美と言えるほどに、形式を徹底してるワケでさえ無いのだ。
なんとなく大藪春彦的ハードボイルドっぽい脚本書いて、なんとなくコネ使って撮ってみたって、そーゆー映画ですよ。
映画はディティールで決まると分かったよーに言う方もいらっしゃるが、そんなワケでディティールの配慮もゼロだ。
子供の遊びだ、こんなもん。

…子供の微笑ましい(そして時として恐ろしい)無邪気さも無いから、子供の遊びほどの価値も無いだろうがね!

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とゆーコトで悪口いっぱい書いたんで先に書いたハナシに戻る。
こんな救いようの無いクソ映画を、このバカはコネ使いまくって作り上げてやがるんである。映画人口が年々減ってく中で、むしろ観たら映画が嫌いになるよーな映画をコネ使いまくって売り込んでやがるんである。
こんなの怒るなとゆー方が無理がある、と言い切りたい。

コネコネ言ってるが、もう経歴書くのすらムカつくからwikiのコイツの項を貼っとく。各自ご確認下さい。
それテメェが書いただろバカが的な翼賛記事になってて笑えるが、こんなヤツが普通に商業映画撮れてるって現実に切なく…いやでも、結局そーゆーもんか。
なんだかんだゆーて世渡りの上手さがモノを言う。そーゆー意味で窪田将治とかゆー人はとても有能なんだろな。
映画の才能は一切無いけど(引退しろとまでは思わないが)

あぁそうそう、このクソバカ映画「モントリオール世界映画祭出品!」って文字が公式サイトとかポスターにデカデカと躍っておりますが、すげー個人的に言わせてもらえばモントリオール世界映画祭「出品」なんて惹句の邦画は全部ゴミです。
篠原哲雄『命』(2002)とかそーでしたが、アレはアレでガン患者の真面目なハナシ(しかも私小説が原作)なのにムチャクチャ適当な演出っぷりで怒り心頭であった。

そろそろ悪口書くのが嫌になってきたんで、最後に傲慢カマして終えるコトにする。
たぶん俺は日本で一番この『野良犬はダンスを踊る』とゆーゴミクズ映画について詳細かつ粘着質に語っている。少なくとも映画ブログやレビューサイトで俺よりこの映画について書いてるヤツはいないだろう。当然だ、書く価値ないんだから。
おい窪田将治、クソバカ監督! だからテメェは俺に感謝せい! 甘んじて宣伝に協力してやってんだからな!

そんでコレ読んでる皆さん! 近所の映画館でこの今年サイテーのクズ映画がかかってたら是非ともご覧になって下さい!
ホントにヒドイよ! エド・ウッドの映画が傑作に見えるレベルでヒドイよ! もうカルト映画になるかもしんないぐらいヒドイよ!
あまりにヒドイから、友達と一緒に見に行けば大爆笑必至だ!

そうだ、俺がムカムカムカムカしてんのは、映画館でこのクソさを笑いに転嫁できなかったからなのだ。
こーゆー映画は、笑うべし。笑う角には福来る。笑いながら映画館出るって幸せなコトだ。
そう考えると今年一番笑える(かもしれない)この映画、実はすげーイイ映画なのかもしれん…ってそんなワケあるか!

バカヤロー!

(2016/5/5追記:これ書いた頃は色々と余裕なかったんだろなと思う…映画はつまんなかったけどこんな酷く言うことないのでなんかすいません)

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なんか知らねぇけど、こーゆーのやりたかったんじゃねぇの。

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あ
2016年3月25日 6:34 PM

見てないけど、そもそも日本で殺し屋ってどうなのよって思った。