映画『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』の感想を原作と比較しながら書く!

いやもう極めてフツーのよくあるティーン向けハリウッド映画じゃないか、こんなもん感想もクソもないよ、まったく。
しかし芸が無い映画だな、延々と場所だけ変えて追いかけっこしてるだけじゃないか…と物の分かった方は仰るかもしれないが! GA!
俺は大いに驚いたんすよ! そんでちょっとだけ感動もしたんだよ!
何故か! 映画になってたからである! 映画だったからなんであるッ!

なに言ってんだコイツと思われるでしょうが、とりあえずそんな感じで『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』の感想書いてく。
こんなあらすじ。

前作で迷路を脱出したトーマスたちは隔離施設に入れられた。
外にはフレアなる危険なウィルスが蔓延しており、しかも感染すると全力疾走ゾンビになってしまうとゆーコトでそんな措置が取られたのだった。
だが、どうも怪しい…疑問に思ったトーマスが探りを入れてみると、なんと施設の運営者がトーマスたちを迷路に放り込んだ謎組織WICKEDと繋がっていたコトが判明。
またコイツらに利用されたら敵わんわいとトーマスたちは施設を脱走、外に広がるゾンビ地獄の砂漠に足を踏み入れるのだった…。

http://www.dailymotion.com
http://www.dailymotion.com この画を見てもみんな「だから何?」でしょう。でもこんな風にちゃんとした普通の画があるコトに感動を覚えるのだ!

いやつまりだな、何に感動したかとゆーとだな、この映画の原作は死ぬほどクソなので、それが真っ当な映画になってるとゆーコトになのだ。
立ち読みすんのメンドウクサイなら原作の感想ちょちょいと読んでもらえばいいが、とにかくこんな中学生の落書き以下の駄文が商品として流通してる事実には畏敬の念すら抱かずにいられない…ってぐらいヒドイんである。

こんなんじゃ売りものになんねぇよ、とゆーのは映画に携わった人はみんな分かってたらしいので、かくして脚色のレベルを結構はみ出した抜本的な解体・再構築と改変が行われた。
たとえばこんな具合。

・フレア病の感染者を『21日後…』(2002)的な凶暴なゾンビに再定義する
映画だと病気が進行すると凶暴ゾンビになるが、原作だとバカなヤンキーになる。
だからなんだと思われるかもしんないが、ヤンキーと走るゾンビじゃ緊張感が全く違うだろ。
それにそもそも、原作はやたらと長いワリにはフレア病の感染者に主人公が襲われるのは実に一回だけなのだ。
映画の脚本ではソコを大幅に増強してゾンビ映画としてそれなりに観れるよーにしてるワケで、「ゾンビと追いかけっこしてるだけではありませんか、しょうがない映画ですねぇ」な人は一回原作読めである。
追いかけっこには違いないが、原作には少しでもハラハラさせてくれる追いかけっこすら無いんだからこれでも遥かにマシなのだ。

・あまりに貧相なビジョンを刷新する
筆力の問題なのかやる気の問題なのか知らないが、原作の一作目にはまだ多少あった情景描写は二作目になるとほとんど消えてしまい、「そこはなにもない空間だった」とか「一面の真っ暗闇だった」とか書くだけで済ませようとするのだった。
それはまぁそーゆー書き方なんだと言えなくも無いが、主な舞台となる廃墟の都市すらどんなトコかロクに書かないので、読んでるコッチも極めてどーでもよくなってしまったりした。
で、原作では砂漠に屹立していたこの廃墟の都市を、映画は地球規模の砂漠化の進行で砂に埋もれた大都市と捉え直し、冒頭で主人公たちが囚われていた隔離施設ともどもそれなりに迫力と説得力あるもんに仕立て上げてんである(この隔離施設とゆーのも、原作ではホントに貧相でなんも面白味ないのだ)

・場当たり的な展開を再構成する
ワリと全面的にヒドイのでどこがとか言いにくいが、とにかく原作は場当たり的に展開するので、通して読むと支離滅裂で意味不明なんである。
いや、コレに関しては是非とも冒頭50ページくらい本屋で立ち読みしてみて頂きたい。とりわけその部分が色々な意味で物凄くヒドイので、俺の言わんとするところはご理解頂けるんじゃなかろか。
映画の冒頭30分くらいに関しては特に脚色が激しく、いくつかの要素は残しつつも無駄と思われる部分は全て削ぎ落とし、代わりに原作の要所要所に顔を出す主人公の夢の一部、そしておそらくは原作の第三巻で描かれたであろう謎組織WICKEDに関わる部分が組み込まれた。
のみならず隔離施設でWICKEDのオッサンに言われるがままにテレポートマシンに乗せられ、辿り着いた謎の大暗室で人食い銀球(?)から逃げていたら砂漠に辿り着いた、とゆー原作の無駄にシュール&バカな展開は、映画では隔離施設とWICKEDの繋がりを知ってしまった主人公たちが兵士と戦いながら逃亡を図るとゆーサスペンス&アクションに置き換えられたのだった。
その他、全体的に映画は支離滅裂な原作がとても整理されていて、いくらなんでもそりゃねぇだろ的なバカを片っ端から潰してった印象がある(原作のラスボスにあたる謎の電球ゾンビみたいなのも出てこない)

・新たなキャラクターを肉付けする
たとえば廃墟の都市に住むメキシコ人の新キャラが出てくるが、原作では登場したかと思えば急に退場、その後に再び現れて主人公たちと行動を共にするが、セリフも無けりゃ何かこの人について書かれるコトもないので、もはや何のための人物だったのか、そもそも必要だったのかすら怪しい。
映画ではこの人の立場と目的が明確に設定され、いやまぁそれにしたって大したコトないが、これまた原作より遥かに味と意味のあるキャラクターになってたのだった。
映画でも原作でも一作目で大活躍だったミンホだニュートだとゆーメイズランナーな面々は、二作目では新キャラに押されてとても存在感がない。
ココどうにかならんのか、コイツらもっと見たかったのになぁと思ったが、それでも原作だともっと存在感が無いので、なんというか、推して知るべし。
(逆に、これまた原作の新キャラであるテレパス少年は、映画ではテレパス設定がオミットされたコトから単なる陰気なガキになった。うーん)

…とまぁそんな風に列挙してみたが、こんなのは一例なんである。
原作の脚色度合いは映画版(実写版)『進撃の巨人』(2015)の比ではなく、原作と全然違うじゃん映画でお馴染みの『ブレードランナー』(1982)に勝るとも劣らない。
確かに結果的に出来上がったのはよくある普通の映画だとしても、あの原作のストーリーを可能な限り損なわないカタチで普通のレベルの映画に作り変えるにいかほどの労力を要したコトか。
監督のウェス・ボール、脚本のT・S・ノーリン(と、クレジットされてないが脚本に関わった人たち)はじめ、スタッフの方々には最大限の敬意を表したい。
感動したッ!

http://popinsomniacs.com
http://popinsomniacs.com この人たちは基本セリフとかないし大して活躍しません。

しかし感動はしたが、別に普通のティーン向けハリウッド映画なので、大して面白いワケでもないとゆーのが悲しいトコなのだった。
コレ失敗だよな。いや出来がっていうか、一作目で完結させなかったところが。
誤解なきように言っとけば、原作にしたって一作目はソコソコ面白いのだ。ただカネに目が眩んで続編に色気を出したところ、信じ難いクズが出来上がったとゆーだけのコトなのだ。

まぁやっぱ巨大迷路に比べてゾンビの跋扈する砂漠化した都市って、いくら頑張ってもインパクト弱いっすよ。
ちょっとした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)みたいに終末世界の色んな集団とか人間模様を出したりしてるが(ちなみにココも映画で強調された部分であり、原作ではそんな感じほぼ無い)、それがなにか物語に大きなウネリを生むとかそーゆーワケでもなく。
WICKEDとは何か? とかやってるが、ぶっちゃけそんなのどーでもよく、である。
迷路と迷路の中の少年集落には敵わんて。

でもアレか、いかにも最近のトレンドに即した間を作らない見せ場の連続って感じの作りで、そんなに面白くないとしても飽きるとゆー程でもなかったな。
134分の長尺も、体感的にはもっと短い。ワリとあっとゆー間に終わってしまった。
原作もの映画として考えれば、コレはやはり大成功なんじゃなかろーか(成功のハードルがだいぶ低い気がするが)

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全く関係無いが、なんとなくコレを健やかなティーン向けに薄めたのが『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』と言えなくもない。
いや言えないが、ウィルスと近未来の部族社会が出てくるんだからやはり似たようなもんだろう。
ってゆーか『ドゥームズデイ』(2008)とにかくサイコー(にバカ)なんでみんな観て下さい。

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