シャマラン映画『ヴィジット』が堪らんかったので感想書く(ネタバレなし)

すっかり忘れてたが、M・ナイト・シャマランのフィルモグラフィー観てたら『アフター・アース』(2013)観に行ったコトを思い出した。
「今も昔もシャマラン映画はずっと面白かったんだよ! なにがシャマラン落ちぶれただ! お前らシャマランが分かってねぇんだよ!」
…と書いて近作が悉く不評なシャマランを擁護しようと思ったが、『アフター・アース』があるからちょっと躊躇う。あれマジでつまんねぇからな。

でもだな、他は全部…いや『エアベンダー』(2010)もつまんないけど…つまんないけどぉ! 他は全部面白いんだよ!
『ハプニング』(2008)も『レディ・イン・ザ・ウォーター』(2006)も超面白いよ!
『シックスセンス』(1999)の一発屋? 寝言はクソでも漏らしながら言え!
シャナイア・トゥエイン!

つーコトでシャマランの新作『ヴィジット』観てきたんで感想書く。
以下あらすじ。

家庭にちょっとした問題を抱えた姉弟が田舎の祖父母宅を訪ねるコトになった。
せっかくだからドキュメンタリー映画にしよう! とゆーコトで映画キチで自主映画作家の姉はカメラを担ぐ。
で、カメラは想像を絶する恐怖と爆笑の帰省体験を克明に捉えていくのだった…。

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それにしても『アフター・アース』とか『エアベンダー』がなんであんなつまんねぇのかと考えるに、アレやっぱ分かりやすくてヒットに繋がりそうなの撮ろうとして壮絶に失敗してんのかなと思う。
『ハプニング』とか『レディ・イン・ザ・ウォーター』は批評家にも観客にも散々な言われようで客入りも芳しくなかった気がするんで、しゃーないな、ここいらで一発当てとかんとなっちゅーて自分の趣味抑えて(抑えさせられて)撮ったらクソだった、みたいな。

ほんで『ヴィジット』もなんやその延長線上にあるらしく、意外やストレートで軽い映画だったりした。
どんぐらい軽いっつーとサム・ライミぐらい軽いワケで、いつものジワジワジワジワ執拗にサスペンス盛り上げるカメラワークとか、そっからなんか起こるぞと見せかけといてのハズしの演出とか、そーゆーの「皆さん! ここ、見せ場ですよ!」みたいな分かりやすーいカタチで提示されんのだ。
それでちゃーんと面白くもシャマラン映画っぽくもなってんので、シャマラン復活! とかなんとか言われてんのもよー分かる気がするぞ。

んでね、だからそのバランスが面白いんすよ。
シャマランて自分で脚本も書くじゃないすか。それで、自分で書くからにはなんかコダワリあんのかなと思ったら、ホントにベタにベタを重ねたバカみたいな脚本じゃないすか、いつも。
で、それを超々重々しくシリアスに、バカみたいなハナシなのに超々マジメに、なんならまかり間違ってアカデミー受賞してまいそーな重厚トーンで撮るじゃないすか。
『シックス・センス』とか『アンブレイカブル』(2000)とか『サイン』(2002)とか全部そうですけど、ソコ超面白かったんすよ、シャマラン映画って。
もうバカじゃねーかと。こんなしょーもないハナシを死ぬほどマジメに撮って、なんなんだと。
で、あぁパロディだなと。あぁメタフィクションなんだ、と。

結局ソコがシャマランの悲劇で、この人はどんなにジャンル映画のクリシェで固めただけのクソ脚本で撮ってもなんとなくちゃんとした風の映画にしちゃうじゃないすか、上手いから。
それパロディ作家として一流で、あーゆークソ脚本ってのもパロディとして書いてんだけど、でも上手く作りすぎてパロディだって気付いてもらえなくなっちゃった。
俺はそう思ってるんで、『ヴィジット』って映画はそーゆーお客さんに理解されなかった『アンブレイカブル』みたいな本気の映画と、今度は逆に自分を消してお客さんに寄せてきた『アフター・アース』みたいな映画を経て、ちょうどイイ按配になったなぁと、そう思うワケです。

まぁしかしアレだな、野暮になっから映画の内容はあんま言いたく無いが、なんだろな、ホラ、こんな光景を想像してみて下さい。

アナタには恋人がいて、同棲してる。でも最近、どうも恋人の様子がおかしい。なにやら夜な夜なベッドを出て、こっそり浴室に向かってるらしいのだ。
気になったアナタは寝たフリをして恋人の様子を覗ってみる。すると今日もまた、恋人は暗闇の中を一人浴室へ。そして、ソコから獣のような唸り声が…。
なんだろう…コワい…でも真実が知りたい…!
アナタは息を殺して、忍び足でゆっくりゆっくり浴室に近づいてみる。唸り声はますます大きく、アナタの鼓動はどんどん高鳴っていく。
やがて、浴室の前までアナタはやってきた。浴室のドアの磨りガラスに、朧な恋人の背中が見える。震えているようだ。そして、今や唸り声は絶叫に変わっている。
ガクガク足を震わせながら、アナタは勇気を振り絞って浴室のドアを開けてみる。
ガラッ!
するとそこにいるのは、獣のように激しくヨガりながらバイブorオナホールでオナニーする恋人の姿なんであった…!

いや、『ヴィジット』ってホントにこんな感じのバカな映画ですよ。

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それにしても全編に渡って笑いの散りばめられた映画で、姉にカメラを向けられるや勝手に芝居をし始める人々、顔面にヘバりつくウンコ、弟のバカラップ、四文字言葉の代わりに叫ばれる歌手の名前と、手を変え品を変えあの手この手のギャグの連続。
いつもの重厚(風)なムードは抑制され、代わりに『サイン』で垣間見せたような切れ味鋭い編集を導入。そのオカゲで全体がちょっとしたコミカルな調子で貫かれ、ながらもコワいコワいシーンと笑いを交互に置くコトで観る側の油断と飽きを許さないよーな見事な作りになってんのだった。
コメディ作家としてのシャマランの才気爆発である。ってゆーか冒頭のタイトルの出し方からして、既に笑う。

今回POVホラーなので、パロディの人シャマランはPOVホラーのベタは一通りやる。
床下での鬼ごっこ、暗闇に佇むババァ、隠しカメラに映った恐怖、オーブンの掃除…ってあたりホントにコワいが、そのPOV的手法を過剰にするコトで笑いとパロディに転化してるショットも多々あり、それでいて上に書いたよーな構成もあってバカなパロディ映画だなぁと白けさせないんで、やっぱこの人は上手いのだ。

ところで弟を演じたエド・オクセンボウルドくんとゆー子役、この人サイコーに名演であった。
ひたすら生意気で可愛げのないクソガキで、ボール遊びをしながら「演じてんだよ。ガキってこーゆーコトすんだろ?」とかのたまうトコの表情なんてウゼェことこの上ない。下手なバカラップとその振り付けに至ってはさっさと死ねって感じである(※イイ意味で)
映画の中では13歳設定だが、あと3年経ったら絶対マリファナ・パーティしようとしてバカ&ビッチ友達と古びた山小屋行ってゾンビとか殺人鬼に真っ先に殺されるだろとお前と思わせるあたり、POVホラーのパロディとしての『ヴィジット』に多大な貢献をしたのは他の誰より彼なんじゃなかろか。
薄い表情がほんのりと弱さも感じさせて、いやホント良い芝居なんだ。

しかしゆーても地獄のジジィババァが主役の映画なワケで、祖母を演じたディアナ・ダナガン、顔もコワいがゲロ撒き散らしたりヌード晒したり四つん這いで走り回ったりと、『エクソシスト』(1973)のリンダ・ブレアもかくやの体当たり演技でなんやスゴイのだ。
スゴイが、にしてもやたらベタで大仰な狂気芝居である。
コレも演出意図なんかどうかはついぞ知らんが、明らかに過剰で思わず笑ってまう面白い芝居なのだった。


そんなワケで『ヴィジット』はシャマランのケッ作だと思うが、でもやっぱり本気のシャマランが観たいなぁ…と思うトコもあったりする。
アレですよ、シャマランの本気って『アンブレイカブル』とかですよ。あの完璧なパロディ感覚でもってスーパーヒーロージャンルを解体、ダメ人間の再生物語をその形式にダブらせながら再構築して、ソコに静謐な映像美やオフビートな笑いと裏表の見事なサスペンスをノセるっつー手腕には感動すら覚えるね。
またあーゆーの撮って欲しいが、でもやったら絶対に叩かれるんだろうなぁ…シャマランもそれ分かってるんだろうなぁ…。

そのあたりのシャマランの心情は『ヴィジット』にも反映されてるよーに思え、するとこんな映画でもどこか悲劇的な色彩を帯びてきたりもする。
啓示を受けた人間…と言えば聞こえが良いが、要は電波を受信しちゃったアレな人、とゆーのがシャマラン映画ではいつも主人公で、悲劇のヒーローなのだった。
今回、電波を受信しちゃったのは主人公じゃなくて地獄のジジィババァの方である。
『レディ・イン・ザ・ウォーター』では自ら電波を受信する救世主役で出演してたシャマランだったが、普通人の感覚では電波受信者なんぞお近づきになりたくない危ない人にしか見えない、とゆー悲しい事実をしぶしぶ受け入れた結果がコレなんじゃなかろか。

いつからか無くなってしまったシャマラン自身の自作のカメオ出演だったが、『アフター・アース』みたいなシャマランが完全に消えた映画と違って、『ヴィジット』の方にはシャマランの自画像が描き込まれてる感がある。
誰がとゆーと完璧主義の自主映画作家の姉で、彼女は完璧な映画を撮ろうとしたがためにエライ目に遭うが、そこには完璧なパロディ映画を追求するあまり半ば干されかけてしまったシャマランの自嘲が込められてるのかもしれん。

そもそもの始まりは『シックス・センス』の興行・批評両面での大成功とアカデミーノミネートであった。
こうして世界中からホンモノで一流の映画作家だと勘違いされてしまった不世出の天才ハッタリ師・シャマランの孤独な旅が始まる。

その類稀なハッタリ術のゆえに評価され、そして貶められてるんだから、皮肉なもんです。

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ババァホラーといえば、こんな妙な映画があった。
死に損ないの大金持ちのババァの屋敷に集まったハゲタカ親族どもをゾンビと化したババァが血祭りにあげていく映画ですが、やけに陰惨で暗いムードとあっけらかんとしたブラックユーモアが同居して、なんだかとっても居心地が悪い。
ババァゾンビの動きも実に気持ち悪い、楽しいのにすげーヤな映画です。

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あーーー

おまえなにさま?w

1235

俺も思ったw
全部斜めに、かつ上から見下して
本人は真理を理解したようなつもりなんだろうけど
傍目に見てると痛いだけですよw

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