映画『コードネーム U.N.C.L.E.』は意外にもオトナのスパイ映画だったのだ感想!

『コードネーム U.N.C.L.E.』!!!!!

なんとなく感嘆符気分なので全部感嘆符付けるつもりであるが、別にそーゆー映画ではないッ!
偶然か同時期に撮影された『キングスマン』(2015)(『キングスマン』の感想)とは領域の接する部分多々あるが、まさに感嘆符連続の極めて今っぽいセコセコした作風のアッチと比べて、コチラ『U.N.C.L.E.』は往年のスパイ映画に存分にオマージュを込めた、ユーモラスで余裕たっぷりの小洒落た映画だったからだ!

『キングスマン』の編集ッ! 『キングスマン』の音楽ッ!
芝居ッ! 笑いッ! アクションッ! 脚本ッ! …寝ながら映画を観たい俺にはちょっとキャンキャンうるさ過ぎる映画だった!
そんな人にとって『U.N.C.L.E.』はちょうどいいだろう!

『キングスマン』がチワワなら、『U.N.C.L.E.』はセント・バーナードだ!
つまり、キャンキャン吠えない! 寝るにはもってこいの映画だ! 現に俺は後半の最重要アクションシーンでキッチリ寝ている!
断じてつまんなかったからではない! それほど心地よい映画だと前向きに解釈してくれたまえ!

つーコトで『コードネーム U.N.C.L.E.』オモロかった! 感想書く!

あらすじ!

時は1960年代! 冷戦の最前線・東ベルリンを一人の男が訪れた!
彼こそ元大泥棒のスパイ、ナポレオン・ソロ! なんや新たな危機に立ち向かうべく、作戦に必要な一人の女整備士を迎えにやってきたのだった!
だが、ソコに現れたのがこれまたソ連のロボット的スパイ、イリヤ・クリヤキン!
女整備士を巡って早速対決と相成るが、実力は互角!
互いに妙なヤツだったなぁと思いながらも二人はその場を去るが、後ほどソロの携わる米ソ共同作戦にソ連側が用意した人員こそ、クリヤキンなのだった…!

タイトルバックの時点でサイコーだ!

http://www.vulture.com
http://www.vulture.com タイトルバックとは関係ないが、この色使いイイなぁ! ゴダールの『中国女』かと思った!

タイトルバック! タイトルバックは冷戦下の米ソのトピックのコラージュだ!
ケネディの演説、ネバダの核実験…後は忘れたが、だいたいそんなのを記録フィルムやらニュースフィルムやら新聞の見出しやらでヤるという、よくあるアレだな!
『キングダム/見えざる敵』(2007)とか『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006)とか、そーゆー映画でやったアレだ!
しかもコミック的な映像処理だ! よくある! 最近とてもよくあるパターンだぞ!

よくあるパターンだが! だがしかし! 俺はもうこっからして好きんなっちゃったよ!
だってビックリしたんだ! なにが? なにがじゃねぇよバカ野郎!
つまりなにがっつーとだな、この手の冷戦フッテージのコラージュ! とくにネバダの核実験フィルムなんて顕著だが、映画が現実と接するところに生ずるドギツイ恐怖やあるいは皮肉の効果を狙う…つまりショッキングなトガった演出としてこーゆーのはよく導入される!

だが『U.N.C.L.E.』は違った! ここでの冷戦フッテージのコラージュは舞台説明でしかない!
恐怖がゼロなら皮肉もゼロだ! 政治的意図なんてもちろん無い! 単に「こーゆー時代のお話ですよー」と漫画のページめくるみたいに並べてくだけだ!

…このセンス、絶妙だッ!
この軽さッ! この映像チョイス! そしてこの素っ気なさッ!
「俺のセンス、トガってんだろ?」と観てる側に押し付けるコトなく、自然に映画の世界に入っていけるサイコーのタイトルバックだ!

ここで俺は確信したね! この映画は確かに言ってる!
「大丈夫、うるさい映画じゃないよ。寝てもいいよ」と!

小洒落たやりとりもサイコーだ!

http://screenrant.com
http://screenrant.com この渋い(地味)なヤツらのやりとりが楽しい!

寝る寝るゆーてるが、実際に寝たのは二三分でしかない! 目くじら立てずにまぁいいから続きを聞け!

つまりだな、そーゆー映画だ!
アクション? ぶっちゃけあんま無い!
大事なコトだからもっかい言うぞ!

激しくて派手なアクションは、無い!

だが考えてみよう! そもそも『007』だって激しくて派手なアクションなんて本来あんま無かったではないか!
そして、マッタリしたユーモア・アクションだったではないか!

『U.N.C.L.E.』ゆー映画はストーリーも舞台設定も演出もショーン・コネリー時代、行ったとしてもロジャー・ムーア時代の『007』にオマージュを捧げてるように思え、従ってマッタリ感おとぼけ感、そしてレトロ感はかなりのものだ!

コミック調のスプリット・スクリーン、そーゆーのはもちろんある! しかしどこで使われるかというと、ナント米ソのスパイ二人組が武装して敵陣に突入する、本来なら派手なアクション見せ放題、モブ敵ブッ殺し放題の美味しいシークエンスをチャチャっと飛ばすために使われる!
あくまでスパイ二人組+1のオモロイ絡みとストーリーが中心であり、取ってつけたようなアクションは今時のスパイ映画にして最小限に留められているのだッ!
その姿勢、感動したッ!

そんなワケで見所はヘンリー・カヴィルのアメリカンスパイ、そしてソ連スパイのアーミー・ハマーの軽妙洒脱なやりとりだ!
ホテルに泊まった二人のスパイ! 自室で目覚めたヘンリー・カヴィルは持ち前のスパイ・センスですぐさま気付く!
「ははーん、ソ連の野郎、盗聴器仕掛けやがったな」
そうして見事発見した盗聴器をそらよ、お宅ら手口が甘いなとほくそ笑みながらアーミー・ハマーに渡すと、ハマーも何かを投げよこしてこう話す!

「そいつ、お宅らの盗聴器かい? 随分と旧式だな」

ぐぬぬ! してやられたり!
だがカヴィルもハマーも表向き平静を崩さず、オトナの余裕で愛想笑いを浮かべたりするんである!
これぞスパイだ! 俺が憧れてるスパイのやりとりだッ!

キャラクターだってサイコーだ!

http://www.craveonline.com
http://www.craveonline.com ワーオ! おっしゃれー!

スパイ二人組もいいが、この映画はキャラクターがいいのだ!
結局ソコも何がイイって、程よいエキセントリックさだ!
いいか、程よいッ! コレが大事だッ!

大の女好きで元大泥棒のヘンリー・カヴィル、暗い過去を持ち怒りを抑えられない精神科医お墨付きのクレイジー野郎アーミー・ハマー、どちらもいかようにも誇張できそうな設定だが、ギリギリでリアルな人間臭いキャラクターに踏み留まる!
スーパースパイなんかじゃない! カヴィルは結構ヘマするし、ハマーは苦い過去とKGBスパイとゆー重荷と抑圧の下で人間性を押し殺しながら必死にスパイを演じる!
ハマーの親父の時計のくだり、ちょっと泣けた! こんな映画でウルっと来るなんて!

だが他のキャラクターだってちょうどいいんだぞ!
クールに構えといてなんやキュートなトコもある作戦の最重要人物アリシア・ヴィカンダー、セクシーでもコケットでも無い普通感にグっとくる!
拷問おじさんシルヴェスター・グロート、紳士と思わせといて拷問するとなるとチョットだけ喜びに震えるあたりサイコーだ! ちょっとだけってのがサイコーだ!
狂った女豹エリザベス・デビッキ、しなやかな所作が美しい! マネキンじみた表情もクールで美しいが、マネキン過ぎないトコがイイのだ!

それにしても、こーゆー程よいキャラクターをイギリス俳優で固めてるからものっそい地味に映るなどいつもこいつも!
実際、かなり地味な映画だ!
地味だがしかし滋味もある!
元のTVドラマはアメリカンとはいえ、ソコは『007』を生んだ国のプライドか!

ティーン受けを狙ったキャンキャンした映画は作らない!
俺たちはちゃんとした大人の芝居をやる!
俺たちはちゃんとリアリティを意識した映画を作る!
俺たちはド派手な映像に頼らないでも、面白い映画が作れる!

そんな声が聞こえてくる気もするが、たぶん幻聴だろう!

編集も音楽もサイコーだ!

それにしても編集が素晴しいなぁ!
緩急の付け方が見事でだな、ジックリとストーリーを追うがカットは頻繁に切り替えて、カットバックや時間軸の入れ替えを幾度か使って意外性を出す!
だがそれでいてチャカついた印象を与えない抑制と余裕を持たせた編集だ!
緊迫のアクションからパっと画が変わってカヴィルのエプロン姿が映るシーンに変わるトコのすっとぼけたユーモア、ナイス!

編集の人の名前が表に出るコトはあまり無いから、そのジェームズ・ハーバートとかいう人をココで推しとく!
ありがとうジェームズ・ハーバート! ガイ・リッチー映画を支える最大の功労者はたぶんアナタじゃないだろか!

編集も素晴らしけりゃ音楽も素晴しい! もうなんか全部褒めてるぞ!
どんな音楽だったかあまり覚えてないが、なんかイイなと思ったから良いサントラだったに違いない!
いい加減なコト書くな? だったら公式サイトでも読んでろバカヤロー!

とにかく、覚えてるのはエンド・クレジット曲がニーナ・シモンの『Take Care of Business』(↑)だったコト、そして挿入曲のクレジットにエンニオ・モリコーネとジェリー・ゴールドスミスの名前を見つけたコトだ!
マカロニ・ウェスタンっぽい曲が流れたのはたぶんモリコーネだったんだろう! ゴールドスミスはオリジナル版のスコア書いてたらしいから、ソレ使ってんだな!

だがなにより、『Take Care of Business』! サイコーだ! この映画にピッタリじゃないか!
苦々しい感じがある! でもしゃーねーな、やってやるか! そーゆー感じもある!
労働者階級の悲哀と気概が、ニーナ・シモンによってスパイの世界と接続された!
繰り返すが、それこそ『007』を生んだ国イギリスのプライドなのだ!

つまり全部サイコーだ!

http://variety.com
http://variety.com そういえばこのシーンは素晴しい出来なのだが、何が素晴しいかはご覧になってご確認頂きたいッ!

好きなシーンもいっぱいあるが、書ききれん!
でも一番好きなのはアレだな! ハマーがヴィカンダーとホテルの一緒の部屋に泊まるシーンだ!
画面の手前で酒をあおるハマー! その背後で突然踊りだすヴィガンダー! ヴィガンダーはハマーを踊りに誘って、ハマーは嫌々踊りだす!
シリアスからロマンティックなラブシーンに、そして緩やかにちょっとしたサスペンスに移行してくこのシークエンス、サイコーだ!

東ベルリンの闇、西ドイツの澱み、イタリアの陽光、コロコロ変わるヴィカンダーやデビッキのレトロポップな衣装に小道具にプロダクション・デザインに…そんなのも全部サイコーだ!
いったい俺は何回サイコーを言ってるんだ!

そんなワケで『U.N.C.L.E.』はサイコーなのだ! もう何度でも言う!
なんか最近こんな落ち着いた感じのアクション映画観てなかったから、とにかく新鮮で面白く映ったのだ!
なんつーか、臭いのある映画だ!
洒落てるクセにイギリスの空気と労働者の汗の香る映画だ!
こーゆーのが観たかったんだッ!

チャカついたハリウッド映画に食傷気味の人もそうでない人も、面白いから観てネッ!
俺ももっかい見るヨッ!
そしたら普通の映画に見えると思うけどナッ!

(文・さわだきんたま)

【ママー!これ買ってー!】


レッド・スコルピオン ドルフ・ラングレン LBXS-008 [DVD]

どうでもいいが、何故か主役のスパイ二人をアメリカン・スパイ=シルベスタ・スタローン、ソ連スパイ=ドルフ・ラングレンに勝手に脳内変換して観てしまった!
スタローンがスパイやってた気億は無いが(やってたような気もする!)、『暗殺者』で泰然としながらもどこか憂いを秘めた殺し屋をやっていた!
その姿がこの映画のスパイたちにダブり、そしてアーミー・ハマー! この人に関しては完全にラングレンだ! やたらデカくて怪力の鉄面皮KGBスパイって、それラングレンが演じてんの何度も見たよ!
つまり、『U.N.C.L.E.』とはスタローンとラングレンが拳を交えた『ロッキー4 炎の友情』(1985)だったのだッ!

そんな戯言とは全然関係なく、ラングレンがソ連の暗殺マシーンを演じた『レッド・スコルピオン』(1988)は誰がなんと言おうとケッ作だ!
体制の下で人間の顔を捨てたラングレン…しかし赴任地でネイティブの飾らない素朴な生活に触れたとき、映画史上最大のビッグスマイルを浮かべる!
いや、やはり関係なくなどは無い! 『U.N.C.L.E.』におけるアーミー・ハマーのキャラクターはこの映画のラングレンそのものだ!
ハマーにグっときたら、次はラングレンを観ろ!

↓その他のヤツ
KINGSMAN / キングスマン(初回限定版) [Blu-ray]
Man From U.N.C.L.E. (サウンドトラック)

広告

コメントしてあげる

wpDiscuz