映画『料理人ガストン・アクリオ』はアクリオさんのスター映画だった感想

またしても食の職のドキュメンタリー、食メンタリー。
こないだ『ステーキ・レボリューション』『ステーキ・レボリューション』の感想)とかやってたが、食欲の秋なのか。
アチラ同様にコチラも腹減ってしょうがない映画です。

ってなワケで『料理人ガストン・アクリオ 美食を超えた美味しい革命』観てきたんで感想書いてく。

ガストン・アクリオって誰じゃらほい

http://kosmorama.no
http://kosmorama.no 食べるアクリオ。

はてタイトルのガストン・アクリオ、食に対してさしたる探究心をもっとらんオレにはぶっちゃけ誰だよお前だが、どうもペルー製作のこの映画(TVプログラムか?)はアクリオのコトなんてみんな知ってるでしょ的に始まる。
劇中のインタビューなんかから「とにかくスゴイ人なんだな!」とゆーのはよく分かったが、なんとなく物足りなかったので公式サイトの紹介文を読んでみた。

曰く、ガストン・アクリオゆーのはペルー料理のみならず世界的に有名なシェフらしく、12カ国に自分の店を持っておる。
コトにペルー本国では国民的なスターらしく、TVなんかにもバンバン出て、なにやらペルーの象徴として大活躍なのだった。

なるほど、劇中でもアクリオに会った主婦たちが「キャー! アクリオよー!」ゆーて大喜びだったが、そーゆーコトだったのか。
ペルー製作の映画なんでガストン・アクリオについて今更いちいち説明するコトもない、そんぐらいの有名人だとゆーワケである。

確かにスターらしく、この人の立ち振る舞いはオーラ纏いまくり。
オーラというと聞こえがイイが、よーするに傲慢そう、エゴが強そう、ナルシストっぽい、無駄にカッコつけてる、なんかそんな具合。
あんまりパっとしない風貌でやたらカッコつけてんのでちょっと面白くなっちゃったが、ペルー的には笑うなんてとんでもないんだろう
インド映画のスターが日本人には如何わしいオッサンにしか見えないのと事情は似てる気がしないでもない。

映画ではアクリオの慈善家っぷりが強調されるが、この人は貧困救済事業として貧乏人でもプロの料理人を目指せる料理学校とか運営してんである。
食を通した子供たちの教育にも熱心で、そのあたり国民的に愛される所以っぽい。
ペルーゆーと南米の貧困国っつーザックリしたイメージしかないオレであるが、ともかく食を通してペルーの本気を世界に見せつけ、同時に食で国内の社会的弱者を救済しようとゆー志の超高いペルーの英雄、それがガストン・アクリオなんであった。

ドキュメンタリーとしてはそんなオモロないかも

http://www.miamiff-tickets.com
http://www.miamiff-tickets.com 料理学校の生徒とアクリオ。

さてそんなアクリオの日常にカメラが密着、アクリオ本人や色んな人のインタビューなんか交えながらアクリオの素顔に迫る。

冒頭、アクリオの言葉と共に映し出されるペルー産の食材の数々。ピッカピカに輝く鮮やかな食材に既に腹が減る。
BGMに謎のヒーリング・ミュージックが流れる中、食材にペルーの大地や大海原の映像がオーバーラップ。
…なんか怪しいニューエイジ系のヒーリング・ビデオみたいだぞ!

ココちょっと笑ってまったが、そんな風に意図せぬお菓子み…いや可笑しみが結構忍び込む。
高そうなスーツをキメてカッコつけるアクリオ、崖に立って波の音に耳を傾けるアクリオ、弟子の試作した料理を試食して「海の幸に敬意を払え!」と軽くキレるアクリオ…なんかもうほとんどアクリオのプロモであり、アクリオの偉大さを肌レベルで実感できない極東のバカ(オレ)には半分ギャグに見えてしまうのだった。

しかしギャグには見えるが、実際この人は立派なコトやってんのだ。
フランスで料理を学んでペルーで高級フランス料理屋をやってた若き日のアクリオは、ある日ふとこう思う。
「オレはペルー人だ…なのにフランス料理? しかも庶民置き去りの高級店?」

かくしてアクリオは心を入れ替え、ペルーの食材と伝統を最大限生かした料理を志すようになる。
今も伝統的な漁や農作を行う貧しい人から食材を買い付け、各国の料理のレシピを貪欲に取り入れながらもあくまでペルーに拘った料理作りに邁進。
田舎の貧乏おかーちゃんの家庭料理に触れては「美味い! 是非ウチの店の若いヤツにレシピを教えてやって欲しい!」
先に触れたよーに貧困救済事業にも乗り出し、かくしてペルーの英雄となってくのであった。

…いやそれは分かるが、立派なコトだとも思うが、もうちょっとアクリオを多角的に、なんなら本人の嫌がる部分とか、アクリオに批判的な人のインタビューとか入れ描いてくれたらもっと面白かったのになぁと思わないコトはない。
よくあるCM的な食べ物の見せ方、照明でピカーって輝かせて影を作らない、そーゆーのありますが、この映画では料理のみならずアクリオ自身がそう撮られる。
そう撮りゃ確かに魅力的には見えるんだけれども、なんか映画的に面白味ないよな。

アクリオはとにかくエライ! とゆー映画なのだった(ネタバレあり)

https://www.finedininglovers.com
https://www.finedininglovers.com カメラ越しにアクリオ。美味しそうな料理がいっぱい出てくるのでお腹が減りますが、ガストン・アクリオ満載でお腹いっぱいになります。

アレだな、面白かったのはさ、アクリオが自分の店で弟子の料理の試食してて、太っちょ弟子の料理を食う。
んで「こんな料理食わせるんじゃねぇ」って怒るんだけど、それ聞いた太っちょ弟子は舌をペロっと出して本人の前でニコニコ笑うんです。
なにこの和やかムード。こっからなんとなく和気藹々とした店の雰囲気が分かるが(「親方は頑固だなぁ、ハハハ!」とか裏で笑ってそう)、そのあたり含めてアクリオのもっとプライベートな部分が見たかったよ!

…とは思うが、スター映画にそれ言ってもしょーがない。
結局、スターのプロモ映画なのだ。ラスト、アクリオがこう明かす。
「今までの自分でいいのか疑問が生じた。それで、店を畳むコトにしたんだ」
エッ! 国民的スターまさかの引退か!?

だが次のシーンに映るのは、今までの店より遥かに立派な、ちょっとした宮殿みたいなピッカピカのアクリオの新店なのだった。
ズコー! (でも楽しげでハッピーなラストだった)

(文・さわだきんたま)

【ママー!これ買ってー!】


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アクリオのお店は高級店のクセに和気藹々・庶民的で楽しそうなのだが、コチラのエル・ブリゆー世界的超高級店はそんな余裕はない。
別に怒鳴り散らすとかそーゆーワケじゃないがエル・ブリの厨房は大層キビしく、その調理人たちの姿はまるで軍隊であった。
どうせ一生縁が無いとはいえ、こんなメシ食ってるだけで張り詰めた空気に窒息しそうになる店には行きたくない!

でも完全なる別世界を庶民に見せてくれるので、行きたくはないが映画としてはSFじみた面白さがあんのだ。

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