モコモコ映画『ひつじ村の兄弟』を観たんで感想ふわふわ書く(ネタバレ?)

でも、全然モコってなかった。そらもう全くモコってない。
ひつじさんは確かに可愛い。可愛いが、こんな重い映画にして“ひつじ村”だなんて可愛さ全面展開するコトないだろ…。

アイスランドのひつじ映画『ひつじ村の兄弟』観てきたんで感想書く。ラスト以外は普通に展開書くので、半ネタバレになってます。
あらすじ。

地球の果てみたいなクソ田舎に住んでるひつじ飼いの老兄弟。
コイツら隣に住んで、毎年開かれる羊の品評会でどっちの羊の方がすげーか競ったりしてるが、ライバルなんてもんじゃなく完全な絶縁状態。双方憎みまくり。
はてそんな折、兄貴の方の飼ってる羊が破滅的な疫病にかかってるコトが判明。大事な羊を処分せざるを得なくなり、いよいよ兄弟の間の緊張は高まっていく…。

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イイよな風景。とにかくなんもない。不毛感漂うくたびれた草原が一面に広がって、その先に素っ気無く雪山が鎮座。で、兄弟の養羊場兼お家はソコにポツンとある。
エライ厳しそうな環境であり、浮世離れ。んな風景の中で展開されるハナシも神話的な色合いを帯びるんであった。

まぁしかし、枯れた映画だなコレ。アイスランド映画、どんなのあったかな。確か『春にして君を想う』(1991)もアイスランド映画だったハズ。
アレもアレで枯れた、浮世離れした幻想譚だったが、アイスランドの荒涼とした大地はなんや生命を枯らす効用があんだろう、たぶん。
93分とランタイム短いのがせめてもの救いだったが、あまりに枯れた作風なんで長々と見るのはツライ。
少ないセリフ、くすんだ色調、画面に映るのは仏頂面のジジィだけ…とくりゃ、どんな映画か分かろうとゆーもんだ。

ドライな中に緊張感があった。ひつじモコモコのフワフワした映画なんかでは全くなく、いつこの二人は殺し合うんだろう、と思えてくる。
なんせ、病気で倒れた兄貴を発見した弟がなにをするかといやぁ、ショベルで雑に拾い上げて病院の前に捨ててくる。
そして兄貴の方は返す刀で弟の家に銃撃、ってなもんだ。
あまりにヒドすぎてちょっと笑ったが、そんぐらいド憎みまくってる兄弟なのだ。

そんなに憎いなら離れて暮らせばいいのに…と思うが、今更どっか引っ越すなんてできない。
世界の果てで代々養羊を営んできた兄弟であり、この人たちにとっては羊と養羊場が世界の全て。
疫病の蔓延で町の同業者は次々と廃業、商売の鞍替えとなるが、兄弟だけは頑として養羊道を捨てようとしない。

やがて、羊の殺処分が保健所から言い渡される。そんな兄弟なのでもちろんはいそーですかと従うワケもなく、弟の方はこっそり羊を飼い続ける。
可哀想だから、とかそんなナマっちょろい理由でなく、もはや羊を飼う以外にこの人たちは生きてく方法を知らない。
そして弟の、人生のすべてを懸けた隠れ養羊が兄の知るところとなったとき…とゆーワケですが、いやこのあたりドキドキしたなー。

ユーモアとペーソスの羊ドラマ、みたいな紹介文だったが、いやいやコレそんな甘い映画じゃないだろ。
いくら厳しいハナシでもお構いなしにメーメー言ってる羊さんたちには、さすがに脱力させられるけれど。

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弟が隠れて飼ってたのは自慢の雄羊一匹と雌数匹。病気にかかってるかもしれんが、そんなコトお構いなしで弟は繁殖を行おうとする。
いつの日か必ずや再生するハズだ。牧場がまた羊でいっぱいになるハズだ。冬が終わって、春が来るハズなんだ…。
羊のハナシはいつの間にか、死を間近に控えた老人のハナシになる。
オレはこのまま死ぬのか、孤独に死ぬのか、いや死なない、死にたくない…しかも兄弟で互いに憎み合いながら、なんて。

やがて隠れ養羊が保健所の若いアンチャンに見つかってしまう。
ちょっと面白かったのは、コレ兄弟にとっては死活問題なのに、保健所の職員は「はぁ、困りましたねぇ。処分してくださいって言ったじゃないすかぁ」と呆れ顔。
なに羊にこだわってんだか。さっさと転業すればいいのに、面倒くさいジジィだなぁ…ぐらいにしかこの人たちは考えてなさそう。
ジェネレーション・ギャップだろか。

しかしともかく、弟にとっては一大事。生きるか死ぬかの瀬戸際だ。
ってなワケで吹雪の中、弟は羊とともに旅立つ。火山帯なら羊は越冬できる。保健所が処分しに来る前に、ソコに羊を隠してしまおう…。
きっと、生きては帰れないだろう。なるほど、構わん。羊さえ生きていれば、羊だけが、オレの唯一の希望なんだ…。

吹雪の猛り狂う夜の雪山。闇と雪に閉ざされ、右も左も分からない。
生きてるんだか死んでるんだか、現世なんだか常世なんだかサッパリだ。
そのうち羊の姿も見えなくなる。もうなにも分からない。
旅には兄も同行していた。兄弟しか存在しない世界で、果たして二人は何を見出すんだろか…。

コレ新宿武蔵野館で観たが、ココはディスプレイに力を入れていて、ディスプレイってゆーかちょっとしたアトラクションみたいになってるコトもある。
この映画も凝ったディスプレイで、壁一面に羊の並んだスチルを引き伸ばして、そのおケツにモコモコのウールをくっつけてた。
「さわってみてね!」の文字とモコモコウール…絶対こんな厳しい映画だとか想像できないが、宣伝勝ち。だって可愛い映画だと思って観ちゃったもん、オレ。

予想は大いに外れたが、でもまぁしかし、イイ映画だったよね、コレ。
逆に、映画観てからあのふわふわした可愛い感じの予告編とか見ると、そのすっとぼけ感が面白くて仕方が無いとゆー映画なのでした。

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プレミア付きまくり。再販してくださいマジお願いします。もっかい観たいっす。ホント、心に染み入るイイ映画なのだ…。

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