ボグダノヴィッチ映画『マイ・ファニー・レディ』観たんで感想書く

『ラスト・ショー』(1971)、『ペーパームーン』(1973)なんかのピーター・ボグダノヴィッチ久々の新作。
懐かしい顔ぶれだらけの続編イヤー2015、ボグダノヴィッチまで蘇った。
こんなご老体にまで頼らんといかんアメリカ映画はダメだな、とか言おうと思ったが、『エクスペンダブルズ』(2010)シリーズの新作をなによりも楽しみにしてるオレが言えたコトじゃないので、やめる。

『マイ・ファニー・レディ』観てきたんで感想書く。
以下あらすじ。

コールガールのイモージェン・プーツは、仕事で一夜を共にした謎の男(オーウェン・ウィルソン)にこう言われる。
「コールガールを辞めるなら、君に3万ドルあげよう」
アレか、よくある風俗説教おじさんか、と思ったら本気らしい。説教おじさんじゃない! 足長おじさんだ! ワオ!
ってなワケで早速コールガールをやめて女優を目指すプーツ。彼女が舞台のオーディションに訪れると、なんとソコに実は人気舞台演出家だった例の男の姿が!
偶然ってあるもんですねぇ。

http://twitchfilm.com
http://twitchfilm.com ボグダノヴィッチは変わりません。

それにしてもボグダノヴィッチなにやってたのと思う。『ブロンドと柩の謎』(2001)、観てないが、コレが最後の劇映画(だった)
その後、『アメリカン・ニューシネマ 反逆と再生のハリウッド史』(2003)みたいな映画ギョーカイものドキュメンタリーに出たり自分でも撮ったり(『映画の巨人 ジョン・フォード(2006))、テレビドラマにゲスト出演したり自分でもたまに撮ったり、とまぁチョイチョイ表舞台には顔を出してるが、あんまマトモな活動はしてなかったらしい。

スッカリそのまま消えてくと思ったのだ。ってゆーか、その方がらしいよな。
ジョン・フォードに私淑する保守的な映画オタクのボグダノヴィッチ(しかし女性関係は全く保守的でない)、『ラスト・ショー』にしても『ペーパー・ムーン』にしてもノスタルジーありあり、在りし日のアメリカの空気をスクリーンに再現するコトに腐心してやがったが、そもそもデビュー作の『殺人者はライフルを持っている!』(1968)からして晩年の怪奇スター、ボリス・カーロフに最大限の敬意を表した「古いって、サイコー!」映画なのだった(この映画大好きだぞ)
あまり器用な感じの人でもない。時代と共にヒッソリ消えてったとしても、落ちぶれたとかそんなんじゃなくむしろ当然のコトと思われんのだ。

その人が今になってナゼか復活なんであるが、製作総指揮にウェス・アンダーソンとノア・バームバック、あとこの人もギョーカイ入って監督したり出演したりプロデュースしたりと色々やってるらしいボグダノヴィッチの娘の名前があった。
なんか担ぎ出されたんだろう、たぶん。映画のラストには驚き桃の木のあの人が出てるんであるが、「マジかよ! ボグダノヴィッチさん新作撮るんすか! 自分ボグダノヴィッチさんマジ尊敬してるんすよ! 出さしてくださいよ! なんならノーギャラでいいっすよ!」みたいなコトだったんだろな。

なんつーか、ずっと年下のハズだが既にして新藤兼人、マノエル・ド・オリヴェイラ的扱いです、ボグダノヴィッチ。

http://www.ew.com
http://www.ew.com キャスリン・ハーンがヒドイ。

まぁそんなワケで、なんとなく老人ホームのレクリエーションみたいな映画だったが、コレ作りは古典的な喜劇なのに、全然腕が衰えてる感じがしない。
なんせボグダノヴィッチは昔から古い人だったので、今更古い映画撮ってもそれ以上古くなりようがないのだった。
冒頭、元コールガールのイモージェン・プーツがどうやって人気女優になったかインタビュアーに話す。
なかなかあり得ないハナシなんでインタビュアーは「それホントっすかぁ?」て感じだが、プーツはこんなコト言う。

「どうせ夢なんだから、面白い方がいいでしょ?」

いまどき誰が映画に夢を求めるんだと思うが、万年時代遅れのボグダノヴィッチの映画だから別にいいのだ!

それから時は遡り、プーツのコールガール時代のハナシになる。コールガールゆーても『ティファニーで朝食を』(1961)のオードリー・ヘプバーンみたいなお洒落でカッコよさげなコールガール。生々しい感じとかそんなん無い。映画は夢なのだ。
んで、プッツは仕事で舞台演出家に出会う。そっから精神分析医やら探偵やら色んな人を交えて大てんやわんや勃発。
大仰な演技、ド直球なギャグ、ヒネリの無いストーリー…と思わせといて、全然白々しい感じがしないからボグダノヴィッチはスゴイ。
この年季の入った古さ、やはりタダモノじゃないな!

いやタダモノじゃないが、でも面白いか面白くないかといったらあんま面白くなかったな、オレは。
この、毒にも薬にもならない感。この人の映画そんな観てないが、でも『殺人者はライフルを持っている!』とか『ペーパー・ムーン』ってもっとズシンとくるもんあったと思うんだよなぁ。
ボグダノヴィッチの古臭い演出に合う俳優さんがいなかったっぽいのもツマンナイ一因かもしれん。プーツのコールガールはなんか素敵感あったんだけど、この人もコールガール役のキャスリン・ハーン、コレはヒドイなぁと思ってもた。

なにかに似てる。ボグダノヴィッチが監督した舞台内幕ものの『カーテンコール ただいま舞台は戦闘状態』(1992)。アレに似てる。
いや似てるっつってもあの映画もつまんなくて途中で寝ちゃった(『マイ・ファイニー・レディ』もしっかり寝た)から実際は似てないのかもしんないが、そのつまんなさも含めてよー似とった気がする。
VHS持ってるが別に見返す気もないので、欲しい人いたらあげます(送料自己負担)

つまり『ラスト・ショー』でも『ペーパー・ムーン』でも『殺人者はライフルを持っている!』でも『マスク』(1984)でもなく、こーゆー映画と同じように古いが、しかし古いだけで毒にも薬にもならないよーなツマンナイ映画を量産しだした(と、一説には言われる)90年代以降のボグダノヴィッチが、『マイ・ファニー・レディ』にもそのまま居座ってる気がするってコト。
このマンネリ感こそボグダノヴィッチの強み…なのか?

(文・さわだきんたま)

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ってかアレだな、三谷幸喜が『ギャラクシー街道』でやろうとしたのはたぶん『マイ・ファニー・レディ』みたいな映画なんじゃないかな。
まぁそれはどうでもいいが、やっぱ『殺人者はライフルを持っている!』、ボグダノヴィッチの才気迸りまくりでサイコーに面白いと思うぞ。
マンネリマンネリゆーてるが、若かりし頃のボグダノヴィッチは野心とか実験精神とかちゃんとあったんだろなぁとコレ観ると思う。

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