マルクス・ガイドブック『マルクス兄弟のおかしな世界』を読んで感想書く

チャップリンを貶すスノッブなクソインテリどもが必要以上に持て囃す、とゆーイメージがマルクス兄弟にはある(オレん中で)
ナンセンスかつ駄洒落たマシンガントークで片っ端から人を騙くらかしてくグルーチョ、一言も喋らないで天真爛漫チンプンカンプンに動き回って場をかき乱すハーポ、二人の橋渡しをしながらシニカルな笑いを振りまく下衆男チコ、そして単なる普通の人ゼッポ(逆に可笑しい)のマルクス兄弟。
チャップリンやバスター・キートン、ハロルド・ロイドなんかと同世代、同じようにヴォードヴィルのコメディアンだったが、兄弟の映画デビューは遅かった。もう40代に差しかかろうとゆー頃になってようやく映画初出演。苦労人である。

訳書であるからしてこの本では序文とか訳者あとがきなんかでチョイと触れてるだけだったが、しかしデビュー後はアメリカ本国でチャップリンと並ぶほどの人気を博した兄弟も、日本ではそれほど受け入れられなかったらしい。
当時シュルレアリスムとかに関心あったからマルクス兄弟を観たときこれシュルレアリズムじゃんと思った、とかなんとか植草甚一が序文に書いてるんであるが、要するにアメリカではそこらのオッサンがゲヘゲヘと笑ってた観てたようなマルクス喜劇、たぶんにフランスのインテリ業界かなんかを経由して日本ではスノッブ方面で人気に火が点いたらしいのだった。

訳者の中原弓彦(永井淳と共訳)なんかはあとがきでマルクス兄弟の素晴しさを熱弁、この良さがワカラン貴様ら大衆はクソバカだと言わんばかりだったが、なんかまぁそんなワケでだいぶネジくれた受容がココ日本では為されてしまったので、いやいや別にそんな肩肘張らんと普通に適当に観ればいいじゃない、普通に観ても充分面白いじゃない、と思うところ。
で、普通の人が普通にマルクス兄弟の映画を観ようと思ったら、そのちょうど良いガイドブックになりそうなのがこの本なのだった。

http://www.craveonline.com
http://www.craveonline.com すっかりグルーチョ(ヒゲメガネ)が長男だと思ってたが、長男がチコ(左)、次男がハーポ(金髪パーマ)、グルーチョはその下らしい。

本はマルクスの生い立ちとその後がちょっと、他は全部マルクス兄弟映画のプロット&ギャグ解説、それぞれの作品の製作背景や公開時の批評で構成されてる。
こう、ジャーナリスティックな視点とゆーか、だいぶクレバーな文なんですが、チョイチョイとナンセンスなユーモア入れてくる。
なんとなく空回りしてる感とゆーか、そのギコチナイ感じが逆にちょっと面白かったりする。

しかしアレだよな、これグルーチョ単独出演作を除く兄弟の全映画を解説してくれてて、各々の作品の立ち位置を明らかにしてくれてっから良いガイドブックにはなりそうだけど、ギャグ解説ってなぁ難しいよなと思うよな。
だって、野暮じゃない。つか文字に起しても基本面白くないっしょ、ギャグって。いやそのあたり例のクレバーな文章が効いてる気がしてて、こう素っ気無くこんなギャグですよと提示されるとなんか可笑しかったりするが、やっぱ実際の映画で観ないとどう面白いのかよー伝わらん。

つっても取り上げられてんのはグルーチョの言葉のギャグ中心で、コレ兄弟の映画を日本語字幕で観ても中々どんなギャグなのか分かりづらい。
英語もできないオレはコレ読んで「あぁ、こーゆーギャグだったのか!」と頷かされるトコ多々あったんで、これから兄弟の映画を観る人のガイドブックにもなりそうだけど、とりあえず映画を観ちゃった人でも読むとタメになるかもしれん。
そーゆー意味でゆーと、日本で出版されたコトにとても意義のあった本なのかもしんないなぁ。

出版は73年。なんでも、マルクス兄弟再評価の機運が高まったコトを受けて出版されたらしい。
評論とゆーよりクレバーな作品解説に徹してんのはそのあたりの事情なんだろか。ゴタクはイイからとりあえずお前らマルクス兄弟観ろ、ってワケか。
今だったらもっと深くて詳しい(そしてきっとインテリな!)マルクス兄弟論の本とかたくさん出てると思うんで、マニアックな人にはたぶんとっても物足りないこの本、どんだけ需要があんのか分からんが、とりあえずマルクス兄弟の全貌に触れてみるにゃ最適なんじゃないすかね。

逆にとゆーかなんとゆーか、インテリ用語皆無の超々一般向けライト層向けマルクス兄弟映画本、貴重なのかもしんないなぁ。
(マルクス兄弟のヴォードヴィリアンとしての出自が強調されており、そのあたり意図したコトなのかもしんない。マルクス兄弟はインテリだけのものじゃないぜ! みたいな感じで)

(文・さわだきんたま)

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マルクス兄弟はイイぜぇぇぇマルクス兄弟はぁぁぁ! 真面目! スノッブ! インテリ! 金持ち! そしてバカと貧乏人! 全てをネタにして敵に回す!
ロックだよマルクス兄弟! パンクだよマルクス兄弟! 甘いバラードと自己憐憫に溺れてる暇あったら、マルクス兄弟でも観ろ自称ロッカーども!

ほんでコレ面白かったよな! 『我輩はカモである』! ストーリーとかブチ壊して不謹慎ギャグだけで突っ走る感じが! アナーキーだぜアナーキー!
なんかもう真面目に考えるのアホらしくなってくるよね! こーゆーの観ると!
まぁ、内容とかあんま覚えてないけどね!

↓その他のヤツ
マルクス兄弟のおかしな世界

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