幸福の映画『天使にアイム・ファイン』を観たからインスピレーションで感想書く!(ネタバレあり)

《推定睡眠時間:0分》

あまりに毎回映画観ながら寝るんで今回から睡眠時間(推定)を記入するコトにした。世の中には寝ながら映画を観といてエラそうに感想垂れるなんて許せん! とゆーマジメな方もいるだろうが、これによってそういった方が読んで不快な思いをするのを事前に防ぎ、睡眠時間が多ければ多いほど信頼度も下がるので、逆にコッチは無責任なコト書き放題になるってシステムである。やるな俺。

ほんで何弾目かわからない幸福の科学映画『天使にアイム・ファイン』ですが、もう、ハナっからケツまで一睡もしないで観てしまった。
だいたいの人が勘違いしてると思われるので言っておくが、面白い映画とつまんない映画があったらつまんない映画の方が寝る確率が高いが、つまんない映画とクソつまんない映画があったらむしろつまんない映画の方が寝る。クソつまんない映画はつまんな過ぎて眠れないのだ。

このことは念を押しておきたい。『天使にアイム・ファイン』、これクソつまんないのだ…! 昨年の幸福の科学映画『UFO学園の秘密』はとってもよく出来てて面白かった(その証拠にちゃんと寝ている)のにコチラ『天使にアイム・ファイン』の方は作りがチープで雑、演出もシナリオも単調で全然面白くない!
ちょっと待て! 幸福の科学の動員力と資金力を駆使すればもっと面白いの出来たろう! 大川隆法の原作を丸々変えるコトは出来ないとしてもだな、もうちょっと脚色の方法あっただろう! お前ら本気でプロパガンダする気あんのか!

…いや別に、幸福の科学の信者でも支持者でもないが、どうせよくある宗教プロパガンダ映画だろと見くびってた『UFO学園の秘密』が思った以上に面白かったんで、今回はどうなるだろうと思って観に行ったらあまりにつまんなくてガッカリしたのだ…。

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教会はその教えるところの宗教的世界に身を委ね陶酔するための場所だとか言い、あのシスティナ礼拝堂に足を踏み入れ頭上一面に広がるミケランジェロを目にしたなら別にキリスト教徒でなくとも圧倒されるに違いないが、その意味で言えば暗闇の中でスクリーンに広がる映画世界に身を委ねる映画館も同等の機能を有する、とたぶん誰かが言っている。
映画は宗教である。映画と戦争といえば西洋映画史研究の一大テーマらしいが、シネマカメラは軍事と足並みを揃えてその必要性に応じて発達してきたし、映画は誕生早々にして軍事プロパガンダとして利用された(ポール・ヴィリリオの『戦争と映画』とかに書いてあった)。自意識の喪失と平面的なスクリーンの中で繰り広げられる深みを欠いた、そして観客の手によっては操作不可能な光景への没頭と同一化という映画の体験は実に宗教的なものだと思われるが、であるからこそ映画は軍事プロパガンダ装置として最適だったんである。

そのような認識があったかどうかは知らないが『天使にアイム・ファイン』はどっかの壮麗な感じの劇場から始まるのだった。
無人の劇場。誰もいないのに拍手喝采。で、幕が開くとそのスクリーンの中で『天使にアイム・ファイン』の物語が始まるんである。
ホラこれは映画を観てるあなたたちの物語なんですよ、と観客に訴えかける目的があんのかもしんないが、まず曲がりくねったフォントの英語スタッフ・クレジットでとてもダサい上にスクリーンと本編映像の合成が自主映画的にチープなのでこの時点でワリと萎える。

ほんでどんなストーリーが展開されるのかといえば群像劇なんであった。
成績が良いばかりにクラスメートの嫉妬を買ってイジメられる女子小学生、八百屋の実家が貧しく(※風評被害で野菜が売れなくなったため)大学に進学できないことに悩む福島の高校生、最愛の姉を亡くして悲観に暮れるアイドル志望の少女、末期ガンを宣告され自暴自棄になったかつての大物女優、そして背水の陣で挑んだ国政選挙に敗れて政治家の道を断念しようとする幸福実現党の候補者なんかが出てきて、そんな悩める彼らを天上から天使(アイドル志望の少女と一人二役)が見守ってるって寸法。で、そのうち天使は彼らを助けたいなぁと思って地上に降りてくんである。

なんか面白そうである。なんか知らんが面白そうである。あれだろう、天使が地上に降りてきてちょっとした奇跡を悩める人たちに施して、ほんでバラバラだった悩める人たちが少しずつ繋がってって風が吹けば桶屋が儲かる式になって、その結果みんな幸福の科学に入信しておっきな奇跡が起きてみんながハッピーになるとかそんなだろう。それ面白いじゃないか! 『普通じゃない』(1997)みたい! (いやまぁ、『普通じゃない』がそもそもつまらないという声もあるが)
…だがそんなコトには別にならないんであった。バラバラなエピソードはあくまでバラバラなままオムニバス的に進行し、誰かが困れば天使がそれぞれの前に現れて前世なんかの幻視を見せる(『クリスマス・キャロル』だ)、するとその人はハッピーになる、その繰り返しがつまりは五人五回分続く。物凄く芸の無い脚本である。

いや芸があるとか無いとかそれ以前の問題で、要するに天使が現れて全部問題を解決してくれるので人間関係がどうとか人間心理がどうとか葛藤がどうとかサスペンスがどうとか緊張がどうとか興奮がどうとか演技がどうとか伏線がどうとか小道具がどうとかディティールがどうとか、そんなん全部捨ててまってるんである。それ映画に必要な全てじゃないか! 『UFO学園の秘密』はそこんとこちゃんとしてたぞ!
だがとにかく困ったときには天使が助けてくれる。天使の救済を見せるためだけに構成された脚本なんで論理飛躍とかハンパなく完全に壊れてるが、なら天使が助けてくれるトコが見せ場になるのかとゆーと救済パターンが全部同じであるし、そのエフェクトなんか映画学校の生徒が片手間で作ったみたいであるし(しかも全部同じ)、だいたい天使役の幸福の科学アイドル・雲母(※「きらら」と読みます)ちゃんが昭和アイドル的ブリっ子演技をずっとしてんので面白いどころか若干腹が立ってくる。

もうプロパガンダでもなんでもいいので、これ映画なんだからちょっとは面白くなるよう工夫して頂きたい。信者以外にも俺みたいな一般客だって観るんだから…ってゆーか一般客を幸福の科学に引き込むための映画じゃないのか?
むしろ、その壊れた一般客完全無視の一人よがりな作りに熱心な信者以外の人はドン引きなんじゃないだろか。逆効果だぞこんなの…。

とはいえ、意地の悪い人が観れば面白い映画かもしんないんである。ツッコミどころは大いに満載。楽しもうと思えば全編爆笑のお笑い巨編かもしれん。
幸福実現党の候補者が落選を受けて選挙事務所で弁解する。
「私は国土防衛という当然のことを主張しただけなのですが、マスコミによって歪曲され危険な右翼候補者のレッテルを…」
すると選挙員から怒号が飛ぶ。
「言いわけするな!」「自分の責任じゃないか!」
そして怒った選挙員が事務所で乱闘騒ぎを起すんであるが、後日代議士の道を諦めたこの男が街を歩いていると支持者を名乗る見知らぬ男が「テメェこの国を守るんじゃなかったのか!」と叫びながら殴りかかってくんである。
…どう考えても危険な右翼勢力じゃないか! と大いにズッコケる。

末期ガンを宣告された元女優が総合病院を訪れるシーンではこんなセリフがあった。治療はどうするのと聞く元女優に対し、医師はこう答える。
「治療をと言いますが、治療よりも心が大事です。あなたの病気は心の問題です」
誰かコイツから医師免許を剥奪しろよと思うが、やってられるかと病院を飛び出て車を走らせる元女優をこの医師は小一時間くらい追っかけてって(仕事をしろ!)どこの馬の骨ともしれん辺鄙な集落のババァ宅に軽く拉致るカタチで預けるんである。
お食べぇ、美味しいよぉ、とテーブルいっぱいのご飯を差し出すババァ。胃ガンの元女優は全然食べる気がしないが、一口食ったら意外と美味かったんでついつい完食。ババァに言われるままお風呂に入ったり村祭りを見に行ってたらいきなり天使が現れてガンを治してくれる。ババァ関係なかったじゃん!
ババァと元女優の会話とか心の交流とか一切ない。支離滅裂で意味わからんエピソードだが(まぁ西洋医学なんか信じるなってことでしょうが)、ちなみにこのババァの正体はおろか名前すら最後まで明かされないのだった。誰だよお前…!

そういえば悩める人々を救おうと地上に降り立った天使の雲母ちゃんだったが地上界では誰にも見えないしなにもできない。
でも彼らを助けたいの! と雲母ちゃんが祈ると天界に光の柱みたいなのが上がり(ものすごく安い画)、それを見た雲母ちゃんら美女天使軍団は大感動して翼を広げて天界を飛び回る。そして再び地上に降り立つと雲母ちゃんに奇跡を起せる力が備わってるのだが、果たしてなぜそうなったのかは神(エル・カンターレ)のみぞ知るところだろう…俗世のチープな価値観に囚われた凡人の我々としてはなんだそりゃと愚かに笑うコトしかできないのだった。

そんなん書いてたらいつまでも終わらないのだが、雲母ちゃんの力で武士だった頃の前世を幻視した幸福実現党の候補者が吉田松陰先生の魂と話したり、それでハッピーになったこの候補者とその妻を取り囲んで大勢の信者(?)たちによるミュージカルが始まったり、誰にでも思いつきそうなアイディアで風評被害に悩む実家の八百屋を救った高校生を雲母ちゃんが「すごい! インスピレーション、あった!」とグっとくる名言で褒めたり、そして最後は幸福の科学アイドル・雲母ちゃんがカメラの前で歌って踊る!
なんかもう笑うしかない気がするが、してみると『時をかける少女』(1983)もかくやの大アイドル映画であったのかもしれん。第二の原田知世として雲母ちゃんがアイドル業界に旋風を巻き起こす可能性は…まぁ、ないだろう!

とにかく、そんな映画が『天使にアイム・ファイン』であった。
あれ、書いてたらなんか面白い映画な気がしてきたぞ? そして観終わった直後はゲッソリしてたけど、今はなんとなく元気だぞ?
そう、これはつまり・・・アイム・ファイン!

ぼくはこうふくのかがくえいがはもういいです。

(文・さわだきんたま)

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この幸福の科学映画は面白そうだぞ。なんか誇大妄想的スペクタクルが繰り広げられるんじゃないか。それが観たいんだよ、それが!

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