最後の(?)パイソンズ映画『ミラクル・ニール!』を見ーる!感想書ーく!

《推定睡眠時間:0分》

そろそろ誰かグレアム・チャップマンの後を追って鬼籍に入ってもよさそうだが、薬物中毒で死ぬか薬物中毒者に殺されそうなネタばかりやってたワリにモンティ・パイソンの残りの面子はまだ生きてるばかりか引退すらしてないんであった。
『ミラクル・ニール!』とゆー映画は監督・脚本がテリー・ジョーンズで、ギリアム、ペイリン、アイドル、クリーズとパイソンズの面々がエイリアン役で声の出演をしてるらしい(ジョーンズも自ら声をアテている)。
パイソンズの誰かの遺作になる可能性もあるんで、普段はサービスデーじゃないと新作映画観に行かないのに通常料金払ってまでさっさと観に行く。一応犬の声をアテたロビン・ウィリアムズの遺作扱いになってるらしい。
こないだやった『マジカル・ガール』は魔法少女の映画だったが、こちら『ミラクル・ニール!』はエイリアンの力でなんでも願い事が叶えられるようになった魔法中年サイモン・ペッグの映画だった。

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そういや冒頭、知的生命体へのメッセージ(あの裸の人間の絵とかDNA配列が云々とかが書いてある板)を搭載した探査機が打ち上げられて宇宙を漂うが、去年やったギリアムの『ゼロの未来』(2013)はブラックホールに浮かぶ裸のオッサン、ってなオープニングだった。
なんやこう歳食って死期が見えてきたら宇宙の輝きと冷厳に惹かれたりすんだろか。それから探査機は巨大宇宙船に拿捕、中のエイリアンたちはそのメッセージを見てマジだせぇマジありきたりマジ地球人頭悪ぃと大爆笑すんだったが、この巨大宇宙船とエイリアンのデザインだとかCGの質感にやはり最近のギリアム映画『Drパルナサスの鏡』(2009)をちょっとだけ連想させられたりもする。

ジョーンズとギリアムはパイソンズ映画で共同監督もしてたぐらいなんで、色々意見の相違もあって大変だったらしいが、やっぱ二人ともパイソンズのビジュアル担当としてどっか共通するイメージを持ってるんだろな。
ギリアムが『モンティ・パイソン/人生狂想曲』(1983)内の短編『クリムゾン/老人は荒野を目指す』で海賊映画をやればジョーンズは『エリック・ザ・バイキング』(1989)を撮ったりする。ジョーンズが『ラビリンス/魔王の迷宮』(1986)の脚本を書けばギリアムは『ローズ・イン・タイドランド』(2013)を監督すんである。
それはともかく、このオープニング・タイトルでかかる主題歌『Absolutely Anything』はイイ曲だった。『モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン』(1979)の掉尾を飾る『Always Look on the Bright Side of Life』なんか当たり前だが、音楽がええなパイソンズ映画は。

ほんで、こんな知的レベルの低い生き物が住む星なんかさっさと壊しちゃえばいいけど、一応地球人がどの程度のレベルの存在なのかテストしてからにしようっつって、エイリアンはとりあえず平凡な教師のサイモン・ペッグになんでも願いの叶っちゃうパワーを与える(なんとなく『銀河ヒッチハイク・ガイド』的な)。
全能の力を得たペッグはどんな騒動巻き起こすんかな、地球はエイリアンに破壊されちゃうんかな、とそのようなストーリー。たしかジョーンズは絵本かなんかも出して気がするが、この人は稚気とちょっとしたファンタジーの人なのだ。

ちょっとした、とゆートコがテリー・ジョーンズがテリー・ジョーンズたる所以だと思われ、ハナシのデカさに反してエライ地味な映画だったりした。
アレだな、イギリスっぽいんじゃないの。似たようなハナシのアメリカ映画とかチラホラあると思うが、なんかこう、もうちょっと派手なコトしそうじゃん。100億ドル手に入れて遊び回るとか。一方コチラ『ミラクル・ニール!』はアメリカ大統領になりたい! とサイモン・ペッグが願うとアメリカ大統領になるが、あまりに仕事が多くて面倒くさかったんでやっぱやーめた、となる。
そーゆー、スケールの小さい絶対に大爆笑にはならない微妙な(そして妙に屈託のない)スケッチを積み重ねてく慎ましい映画であった。そもそもサイモン・ペッグの芸風が慎ましいし。

笑ったのはアレだな、ペッグが「世界中から戦争の原因を消してくれ」ってお願いする。そんでテレビを点けるとキャスターが言ってる。「世界各国で原因も理由もなく宣戦布告が…」。さすが社会契約の国というジョーク。
でもコレってさぁ、ジョン・クリーズなんかが書いてたら「世界中から争いの火種を消してくれ!」ってセリフにして、んで願いが叶ってペッグが窓の外を見ると通行人が片っ端から理由なき通り魔に殺されてく、みたいなコトになったと思うよな。
テリー・ジョーンズの映画なんでそうはならないが、パイソンズ全員出てますよってのを売りにしてたんで、なんかパイソンズ的なアナーキズムとか英国流ブラックユーモアを期待したりとゆーのはそれなりにあったのだ。

コレはコレで幼児的ほのぼの感とちょっとしたジジィのペーソスで、なんか別に期待せんでダラっと観たら面白い。
パイソンズ全員集合を謳ってるくせにものすごく大した映画じゃない気がするが、ワリに爽やかな後味とか残ったりして居心地のイイ時間を過ごせた感ある。
いやまぁどうあれだな、声の出演とはいえパイソンズ揃い踏みってだけでもうオッケーなんじゃないすか、コレは。

(文・さわだきんたま)

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テリー・ジョーンズが監督。ジョーンズとケンカしたのでギリアムは監督を降りた。
しかしエリック・アイドルが『Always Look on the Bright Side of Life』を歌うラストだけ何十回も繰り返し観てる気がするぞコレ。

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