映画『のぞきめ』をこっそり覗き見て感想をしたためる(ネタバレと悪口あり)

《推定睡眠時間:0分》

まぁ、ヒデェ。なんかアイドル主演のよくあるティーン向けホラーだろう、ぐらいのザックリした認識で観に行ったら板野友美が主演だったが、ちょっと演技ができなさ過ぎるんじゃないか、いや演技ができないのはアイドルだからまぁイイとしても滑舌が悪くてセリフがおぼつかないのはさすがにどうか…。

板野さんは新米のテレビ屋。ある日のこと、バラエティの編集のため深夜まで残業してたら電話があった。「事件だよ! 報道部呼んで!」「みんな帰っちゃいました」「じゃあアンタでいいから現場来て!」。こういうのってあるんだろか。誰か一人ぐらい残ってるもんじゃないのか、報道部なんだから。
ともかく、誰も現場に行く人間がいなかったんで板野さんは一人カメラ片手に現場に直行。若い男がマンションから落下して死んだとゆーニュースバリューのあんまなさそうな事件だったが、板野さんは運よく死体の映像をカメラに収めるコトに成功、しかも自分がレポーターとなって例のスーパー棒読みと悪い滑舌でレポートする。
次のカットは板野レポートを見た報道部の部長かなんかが「やるねぇ! 板野ちゃん、ぜひ報道部に来てくれ!」と感動して即興スカウトする場面である。こんなありきたりな事件、しかもテレビに載せちゃいけないレベルのレポートを見て板野さんに価値を見出すコイツは無能であろう(恩を売って寝ようとするセクハラ親父だった可能性もあるが)。

なんというか、『ナイトクローラー』(2015)とか見習って欲しいトコだが、別にテレビ局がどうとか本筋に関係ないんでどうでもいいといえばどうでもいい。
どうでもいいが、こんな雑な導入を許す映画なんでこの時点で既にポンコツ臭はする。いや板野さんはもういいじゃないすか。演技できない、滑舌悪い、そしてそんなに華もないし味もないし…いいじゃないすか別に! いいんだよ! アイドル映画ってそーゆーもんだろ!
この映画がポンコツだとすれば、悪いのはたぶん板野さんではない…アイドルをディスるとオタクに放火されるかもしんないので、とりあえず誰ともしれん監督が悪いと言っておこう…。

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はて、マンションから落下して死んだ男は実はオバケにとり憑かれてたんであった。その名も「のぞきめ」。覗き女なんだか覗き目なんだか知んないが、とにかく隙間とゆー隙間から覗いてくるオバケである。
コレはコワい。ふと音がして後ろを振り返ると部屋のドアがちょっと開いている。で、その隙間から大きく見開いた目が覗いてたりすんである…ギャァァァ!

しかしコワいはコワいが、のぞきめはただ隙間から覗くだけで、それを見て恐怖のあまり発狂してまった人間が勝手にマンションから飛び降りたり車道に飛び出して轢かれたりする、それがのぞきめの呪いの正体なんであった。
とり憑かれた人々はのぞきめから逃れるべく大量のガムテープで隙間を塞ぎまくるが(そして結局徒労に終わるが)、いやそんなに怖かったらのぞきめ見ないように気配を感じたら目ぇつむればいいんじゃないのか。
どいつもこいつもわざわざ自分から隙間を見に行ってのぞきめと目が合っちゃうんであるが、なんつーか、すごい片手落ちな設定かつご都合主義だなおい。
だが、映画が進むにつれてそんなの些細なコトであり、片手落ちどころか両手落ち、むしろ両手でなにかを客席に投げつけてくる映画だとゆーコトが分かる。

マンションで死んだ男の恋人から「のぞきめ」のキーワードを得た板野さんは、なんか気になっちゃったんで早速調査を開始する。具体的には、やさしい彼氏にネットと図書館でのぞきめについて調べてもらい、彼氏が見つけた呪いの震源地たる山奥の廃村、それからのぞきめ伝承を研究してる作家さんの家に連れてってもらう(報道に若干の色気を出してた板野さんであったが、そのくせ自分でなに一つ取材ができないダメな人である)。
その作家とゆーのは大きなサングラスにステッキとゆー出で立ちでなんであった。「あなたが書いたこの本を読んだんです」「この写真を見て下さい。のぞきめ発祥の地です」と本や写真を作家に見せる彼氏。こんなに分かりやすく盲人なのに彼氏も板野さんも気付かない。いや彼氏はともかく、板野さんは報道がやりたいのにその洞察力の無さは(以下略)。
ところでのぞきめ作家が実は盲目であった、とゆーのは後半になって明かされる衝撃の事実なので、コレはネタバレである。誰でも一目見れば分かるから衝撃にもなんにもなってないと思うが…。

映画はこのへんで急展開を迎える。今度は板野さんとその彼氏がのぞきめにとり憑かれてしまい、彼氏に至っては恐慌をきたして精神科病院に措置入院させられてしまった。板野さんの身にも刻々と危険が迫っていく中、やがて作家の口から明かされたのぞきめの正体、それは…であるが、コレ早いハナシが松竹版の『八つ墓村』(1977)であった。
いやもう完全にパクってるが(オマージュです!)、ぶっちゃけどうでもいい。そんなコトのぞきめの正体を知った板野さんがカメラを手に単身のぞきめの住む廃村を訪れ、白昼堂々現われたのぞきめに「アナタの想いを全部撮るわ!」とカメラを向けた瞬間に全部吹き飛んでまった。
なんでお前はオバケがインタビューに答えてくれて、しかもそれで成仏してくれると思ったんだ。コレはアレか、お話的には板野さんのテレビ屋魂が燃え上がったとかそーゆーコトを言いたいのか。板野さん、全然自分で取材しようとしないし自分と彼氏を襲うのぞきめをカメラに収めようともしなかったのに…。

いや、いかに映画的に不恰好でもそーゆーハナシだと言われれば分かるよ? つまり、板野さんは夢と熱意を抱いてテレビ業界に入ってきた。でも回される仕事はつまんないバラエティばかり(冒頭にそーゆーシーンがある)。それが、のぞきめに呪い殺された男の取材がキッカケで報道部への異動が決まったと。なので、色々とのぞきめに怖い思いもさせられたが、最終的にその恐怖をテレビ屋魂で乗り越えると。これなら面白いかどうかはともかくハナシとしては分かるじゃんか。

だが…のぞきめにカメラを向けた瞬間、板野さんは気付く。「ダメだ! カメラじゃ成仏してくれない!」。じゃあなんだったんだよこれまでのハナシは!
代わりに板野さんは作家から渡されたのぞきめママの形見の品をかざすが、コレで成仏かといえばそうでもなく、のぞきめにママと勘違いされた板野さんは霊界に引きずり込まれてまうのだった。
まず、のぞきめママの形見の品とはなんだったのかよく分からない。形見をかざしたからママと勘違いされて殺されるとゆーのも分からない。そもそものぞきめの設定もいい加減すぎてよく分からんが、このあたりになると完全なる俺ルールで全てが進むんで逆に文句を言う方がバカに思えてくる。形見を持ってたらのぞきめに殺されるなら、なぜそれを所持してた作家は殺されなかったのか? 言うだけ無駄だろう。
いや原作はどうだとか知らないが、なんか色々端折ってんのかもしんないが、細かいコトなんかどうでもいいだろどうせバカガキが観るんだからと言わんばかりの作りは映画としてとゆーか映画人としてどうなんだろか…普段そんな映画ばっか観てますがね俺は!

ともかく粗を探したらキリがないが、まぁホラーなんだからコワければなんでもいいと言えばそれもそうではある。
コワいよ、のぞきめ。隙間から目が覗いてるんだもん、そりゃコワいよ。でももうちょっと考えられないか。もう、とにかく扉の隙間とか通風孔の格子から目が覗いて効果音がドーン! みたいなシーンばっかで飽きるのは間違いない。めちゃくちゃワンパターンで芸もクソもないぞこんなもん。
隙間から目が覗く、とその設定だけでアイディアなんか腐るほど出そうなもんである。オシリの穴からのぞきめが…はさすがに無理でも、耳の穴からのぞきめが、喉の奥からのぞきめが、ドーナツの穴からのぞきめが、みたいな感じにちょっと脳みそを働かせりゃ変化に富んだショックシーンが作れそうだし、そっから意外な展開も生まれそうな感じである。
そーゆーの一切しないし考えた形跡もないんで、板野さんの超絶演技だとか描写やらセリフやらの雑さも含めて、両手落ちとしか言いようのないヒデェ映画と、なんかそーゆーワケなのだ…。

ちなみに、エピローグは自ら盲いた板野さんの彼氏が作家となって「のぞきめ」とゆー本を出版するってなもんであった。
ははぁ、円環構造のメタフィクションになってるんですなぁ。盲目の作家が書いたのぞきめ本を読んだせいで板野さんと一緒にのぞきめの住む廃村を訪れて呪われるハメになったとゆーのに、この男も反省しないなぁ。
もちろん、その後この彼氏の前に二代目のぞきめ(語呂がイイ)を襲名したオバケ板野さんが現れ、先代のぞきめが板野さんにママの形見を求めたように、彼氏が渡す予定だった結婚指輪をせがんで終わるんである。

上手いオチをつけたつもりなのか。100回は心霊系OVで見たような展開だが。あまつさえ、その展開を支える細部への配慮が皆無なので、空虚さばかりが際立つクソみたいなオチだとさえ思うぞ…。

(文・さわだきんたま)

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目がコワいホラーといえばコレが脱糞するくらいコワかった。

↓その他のヤツ
のぞきめ (角川ホラー文庫)
虚空の眼 (創元推理文庫)
※べつに関係ないです

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tdk

正直原作の影もなかったですね…。
ホラーとミステリーの融合が売りの小説だったのにミステリー要素皆無でしたし。
原作小説の方は、僕は面白く読めましたよ。

no3

映画のほうは観てないけどやっぱり駄目でしたか…
そもそも原作は前置き、一章、二章、終わりにみたいな構成でそれぞれ登場人物も違うので映画向きではなかったと思います
原作者の三津田信三さんのファンとしてはあれをどうやって映画向けのシナリオにするか楽しみが少し、心配が大半でしたけど悪いほうに行ったみたいですね…
板野友美の演技もやはりよくなかったって評判ですね
正直予想はできていましたが
観てもないのにこんなこと言うのもあれなのでこの記事を参考に近いうちに見てみます

PKH

のぞきめをレンタルしましたが、板野友美の扱いに冷める。演技良くないのは、あたりまえとして、切羽詰まってる人がなんであんな綺麗に手入れされた爪を最初から最後までしてるのか。
土砂降りの中に立っているのに、霧吹きで水かけた程度しか濡れてないし。ラストで出てきた板野友美の崩れ方もいいかげん。観覧者が悲鳴あげるぐらいに崩して怖くしてもいい。微笑んで顔から少し泥が吹き出すだけ。扱いが甘すぎるわ。

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