映画『コップ・カー』、これ思わぬ拾い物感あって面白かった的な感想

《推定睡眠時間:0分》

おもしろかった! 『コップ・カー』おもしろかった!
それにしてもなんて引きのない安直なタイトルだろうと思ったが、これは、観たら膝を打った。パトカーのお話だから『コップ・カー』。それで別にええよねってゆー、素材の味をお楽しみ下さい系の余白ありあり骨組みだけみたいなシンプル映画なのだった。

二人の悪ガキが見渡す限り何も無い平原を歩いてる。どうも家出少年らしいが、こいつらが無人のパトカーを見つけた。
やったぜ警察ごっこができるぜ! つってパトカー乗り回して遊ぶ悪ガキどもだったが、その持ち主がダーティ保安官ケヴィン・ベーコンだったコトから恐い大人どものイザコザに巻き込まれてまうのだった…とそんなお話。

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冒頭、悪ガキ二人組が「オッパイ」「…オッパイ」「クソ」「…クソ」「アソコ」「…アソコ」となにやらダーティなワードをひたすら繰り返すだけの遊びをしてるが、これだけでもうグっとくる。何が面白いのと思うが俺もこーゆーコトやってた。ポケモンに「おっぱい」とか「ま○こ」とかそんな名前付けたりしてた。男の子はバカである。

この映画なにがイイって10歳ぐらいのバカな悪ガキをよく分かってるトコがイイよな。無人のパトカーに石を投げつけて「待て! 石に指紋が付いてる! 逮捕されるぞ!」なんて慌てるトコとか、手にした銃の引き金が引けない(セーフティがかかってる)からと銃口を覗き込んだりとか、まったくコイツらバカだなろくでもねぇなと思いつつ自然なキュートに目が離せない。映画的な子供らしさや正義感を振りかざしたりもせず、悪ガキのキャラクターに嘘がないって感じある。
悪ガキ二人組の片割れ、ジェームズ・フリードソン=ジャクソン。コイツの面構えなんて実に可愛げがなくてサイコーだ。もう一人の悪ガキ(ヘイズ・ウェルフォード)に「車なんて運転できるの?」と聞かれて、「マリオカートやってるぜ?」。サイコーである。

ガキどもが面白すぎるんでもうそれだけで成立してるよーな映画だったが、実際、悪徳保安官が何者でどんな犯罪に手を染めてんのかみたいのはほとんど描かれず、なんか知らんがとにかく恐い大人に追われるハメになった悪ガキどもの面白反応ばかりを『はじめてのおつかい』的に追い続ける。
地平線まで続く平原とそこを横切る一本の道路、と大アメリカンな舞台同様にストーリーもキャラクターもアメリカン極まるシンプルさだったが、バカガキの目から見りゃ世界はこんな風に単純にしか見えんだろってトコで、どこまでもガキ魂とガキ目線に忠実なユーモラスなジュブナイル映画の快作が『コップ・カー』とゆー映画だったんである。

ところでガキどもに翻弄される悪徳保安官のケヴィン・ベーコン、サングラスに口髭っつー出で立ちの上に途中までほとんどセリフもないんで最初この人だと気付かなかった。ランニング姿で汗だくになりながら平原を駆けずり回ったりするが、さすが『フットルース』(1984)ではなく『トレマーズ』(1989)のケヴィン・ベーコン、サマになり過ぎている。やっぱこの人は牧草と牛の香りがあるな。

いやしかし、人死にが出てるとはいえチンケなハナシ。登場人物実に五人。汚いガキと粗野な保安官と太ったババァと…ぐらいな感じだったが、些細な事件も田舎にとっては一大事ってコトでどいつもこいつも大騒ぎ。その横を牛かなんかがのんびり歩いてたりして笑える。
この素朴でのどかな世界観、ガキ魂も感じるがアメリカも強く感じるよなぁ。大平原、道路、ダイナー、車、銃、ドラッグと殺人、あと肥満と悪ガキと保安官。アレだな、よー考えるとコレはアメリカの戯画のよーな映画だ。アメリカ的なるものをバカガキの目を通して眺めたらこんな風に見えるんじゃなかろか、とそう考えればかなりクレバーな映画なのかもしれん。

まぁなんつーかそんな映画だった。こりゃあね、ちょっと拾いもんすよ。パトカーを走らせるガキどもとランニング姿で走るケヴィン・ベーコン、ド田舎の風景を見てるだけで面白い、笑える、絵になる映画。地味地味しぃがすげーセンスあるなって思ったなぁ。
意外とコーエン兄弟の映画とか『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(2007)なんかに近い感覚もあったよーな気する。でもあーゆー映画みたいに作家性全開って感じじゃないんで88分とかで終わってくれる。これは素晴しい。やっぱ映画は90分とかでキチっと終わって欲しい。

『コップ・カー』、愉快でアメリカンなクソガキ映画であった!

【ママー!これ買ってー!】


グライド・イン・ブルー [DVD]

全然関係ないが大平原と道路とパトカーのアメリカ、とゆーキーワードから頭に浮かんだりした。
おもしろいよね『グライド・イン・ブルー』。

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