事故物件映画『フィフス・ウェイブ』で大人の辛さを噛み締める感想(ネタバレあり)

《推定睡眠時間:数回計25分程度》

…これは、つまり、訳アリ物件だ…『フィフス・ウェイブ』、そのような屋号のスナックが小岩あたりにあると考えて欲しい。そしてクロエ・グレース・モレッツがチーママであると考えて欲しい。
その上でこう問いたい。「あれぇ? 君あの『キックアス』(2010)出てたっしょ? ヒットガールだったよね? なんでこんなとこで働いてんの?」なんて君ら聞きますか、彼女に。聞かないでしょう。聞くような無粋な輩はリンダ・ブレアの『エクソシスト』(1973)以降の映画全部観てから出直して来い。

人には触れてはいけない領域っちゅーもんがあるだろう、えぇ? 人類を襲う第五の波とは一体なにか、そんなの人に聞くんじゃない。クロエ・グレース・モレッツに、そして『フィフス・ウェイブ』に何が起こったか、たとえ疑問に思ったとしても心の内に秘めておけ。
それが大人ってもんだろう…大人の矜持ってもんだろう…我々の人間性は『フィフス・ウェイブ』に試されているのだ…!

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とか言いつつ俺は別に人間性とかどうでもいいので普通に文句書くんですが、アレだな、たぶんコレは再撮系だろう…チーママで言えばこれは整形の話題となるであろうから、やはりデキる大人ならば黙して語らぬべきなんだろう…いやデキない大人でも安易に整形してますかとかヅラ被ってますかとか人に聞くべきではない。

どう再撮かとゆーと、なにやらエイリアンが地球に到来、やたら回りくどい侵略を仕掛けてくる。第一の攻撃、電磁波アタックで世界中の動力源停止。第二の攻撃、地殻変動と津波で沿岸都市と島国を破壊。第三の攻撃は致死性の謎ウィルスの散布で第四は直接攻撃。そして第五は…とそんなハナシだったが、普通の映画なら一時間ぐらいかけてやりそうな第四の攻撃までを冒頭十分ぐらいでやってしまう。
ダイジェスト世界壊滅映像を垂れ流しながらクロエちゃんのモノローグで「人類は最初に動力源を失った、次に津波、次にウィルス…」とか一言二言語らせて済ませてしまう…いやそれどころか「このウィルスで私の母は死んだ」とかそれ明らかに大事な場面だろうみたいなとこまでモノローグを流してすっ飛ばしてしまうんであった。
このあたり当初はもっとちゃんと描かれてたと見た。カット繋ぎが不自然極まるのでこれは確実に手が加えられている…少なくとも超大幅にして抜本的な編集作業が行われ、クロエちゃんの説明モノローグも苦肉の策で後から付け加えられたもんだろうと想像できんのだ…。

開始十分で第四の攻撃まで行くのに上映時間が二時間近くある。なんでそんな長くなるのと思ったら、まぁだいぶ寝てたから詳細知らんがクロエちゃんと謎の筋肉青年の恋愛未満逃避行、あとエイリアンと戦うべく徴兵された少年兵たちの訓練&戦闘が並行してダラダラ描かれたりするからなのだった。
再撮が入ったかどうかは知らんが、どうもこのあたりが編集で増量されたっぽくはある。ガキどもが戦闘訓練つってジュードーしたり素人のサバゲー以下のゆる銃撃戦やって何が面白いんだよ…と俺ん中のJ・ブレイクソン監督が言ってるが、このバカ野郎『メイズ・ランナー』(2014)見てねぇのかよガキ出して適当なサバイバルさせときゃクソガキどもは喜ぶんだよそんなことも分かんねぇのか無能カントクが! との映画会社の大人の声も聞こえる。

とりあえず最終的には大人がみんな死んでガキはみんな生き残って私たち俺たちはこれからもエイリアンと戦ってくぜとあわよくば続編を狙って終わるが、エメリッヒ的な大ディザスター映画を観に行ったと思ったら『ぼくらの七日間戦争』(1988)だった、ついでにクロエちゃんがゴリラになっていた、と言えば無粋を承知で禁断の整形ネタに踏み込んだ俺の気持ちも少しは分かってもらえるだろう…。

どう控えめに見ても事故案件だったが、事故が起こってるのは編集室だけじゃなくそもそもクロエちゃん御歳19歳のキャスティングの時点で事故っている。
クロエちゃんはフツーのか弱い女の子。突然のエイリアン襲撃に怯え悲しみ困惑し、破壊された地上をただ一人生き残った家族である弟を求めてさまよいながらその途中で出会った逞しい筋肉青年と恋に落ちて…って無理があるよ無理が! そんな可憐な役をクロエちゃんにやらせんなよ!

こう、緊迫のシーンで横顔に照明を当てたりすると物凄い迫力と立体感を帯びた劇画顔になり、ちょっと鼻水垂らしたりすると漫☆画太郎にすらなるクロエちゃんの顔面戦闘力はハンパではない。
十年来のレスリング経験があるとしか思えない重量級の肉体もありありと戦闘力の高さを感じさせ、単身敵陣に乗り込んでエイリアンを素手で殴り殺す(!)、曲がり角で遭遇した武装した男を出会い頭に武装解除、瞬時にその銃を奪い取って相手に向けるなどといったシーンでの滑らかで力強い動作と殺気には惚れ惚れとさせられるが、あくまで可憐な女の子的な役柄なので筋肉男が川で沐浴してるとこを目撃して頬を染めたり目を潤ませてキスするような場面ばかりがフィーチャーされるのだった。
…そこじゃねぇよ!

なんだかボタンを掛け違うどころか左右半分ずつ違う服を着て靴紐の代わりにかんぴょうを縛ったような映画だったが、クロエちゃんはもとよりアクションはやたらキレていて、例の筋肉男が銃を片手にエイリアンと格闘する場面なんかちょっとした『リベリオン』(2002)的にスタイリッシュなのだった。
どうしてそこを売りにできなかったんだとつくづく思う。対エイリアンのガキ部隊にしたってゴスなバスケス上等兵みたいのが出てきて超カッコ良かったのにこいつロクに活躍しないじゃないか…ゴスバスケスとクロエちゃんがあのキレたアクションでエイリアン殺しまくる映画だったら激燃えだったのに…!
ガキだからそう思うが、しかしそうはならない大人の事情があったんだろう…。

ちなみに散々煽ってるエイリアンの第五の攻撃、フィフス・ウェーブその驚愕の内容とは…ですが、子供たちを兵士に仕立て上げて生き延びた大人たちをエイリアンだと騙して殺させるとゆー作戦なのでした。理由は自分たちの手で人間を殺すのがイヤだったから。エイリアンは潔癖です。

…やはりなにか間違ってるとしか思えない映画だが、スナックのママが間違った知識を披露しても君らいちいちママ違うよと訂正しますか? しないでしょう。それが大人ってもんです。訂正したくて仕方が無い無粋なガキはジョデル・フェルランドの『ローズ・イン・タイドランド』(2005)以降の映画全部観て出直して来い。
ついでにダコタ・ファニングとハーレイ・ジョエル・オスメントとマコーレー・カルキンの映画も全部観ろ。全部観終わった頃には世の中には触れてはこともある、大人には色んな過去と事情があると学んだ立派なデキる大人になっていることだろう…そして大人の辛さを噛み締めていることだろう…大人は大変なんだよバカヤロー!

(文・さわだきんたま)

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訳アリ物件映画も世には色々あるだろが、そんな映画を観てしまった日にはこの現代アメリカ映画界の二大巨匠キャリア初期の触れてはいけない映画を観ながら大人になるとはなにかをしみじみ実感したい。
大人には事情がある…いい加減キャメロンがB級映画批判をするたびに『殺人魚フライング・キラー』(1981)を持ち出すのはもうやめてあげろ!

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匿名さん

寝てる時点で批判とかする立場じゃないでしょ。
散々書いてて、寝てたからわからんとか面白い。
勝手な想像をあたかも事実かのように述べるあたりも。
まずしっかり観て、作品の情報を調べたうえで「何がどう駄目だったか」簡潔に述べたら??変な訳のわからん例えを使うのではなく。

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