押井汁だくだく映画『ガルム・ウォーズ』がつまらなくて面白い感想ならざる感想(ネタバレなし)

《推定睡眠時間:0分》

ガルルルルルル…ガルッ! ガルガルッ! ガルムッ!
なにか、犬の唸り声がそう聞こえてんだかどうか知らないが、ガルムとは北欧神話に出てくる冥界の番犬であった(と、ウィキにある)。やはり北欧神話の重要大型犬であるフェンリルと同一視されることもあるとのこと。
ガルムは神話ゲー『真・女神転生』シリーズでは下位レベルの妖獣としてお馴染みだがフェンリルの方はシリーズを通して上位の妖獣。同一視されることさえあるとゆーのにこのレベル格差はどうしたことか、などと言ったところでヒンドゥーの創造神ブラフマーがたったレベル23とかだったこともあるのにお仲間のヴィシュヌとシヴァは毎作毎作ルシファーに次ぐ最高レベルの悪魔とゆー理不尽かつ失敬なゲームなので…とメガテンやったことない人にはなにがなんだか分からないこと書いてるがメガテンはつまりそんなゲームです。
もちろん『ガルム・ウォーズ』とはなんの関係もない。北欧神話の犬繋がりで押井映画では『ケルベロス 地獄の番犬』(1991)シリーズがあるがそういやあれ観てないな。なんか関係あったりすんのかな。どうでもいいか。お前ほんと犬好きだな押井。

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『ガルム・ウォーズ』、押井守の実写映画はつまんないのが面白いんだと思ってんので面白いか面白くないかと言われればもちろん面白くないと言うしかないが結局それが面白い、と押井的に無意味に迂遠な文を書きたくなる程度には判を押井たよな押井実写であった。
ビックリするぐらい感想が出てこないのでダラダラと迂回しながら全然関係ないことばかりを書く。何故出てこないのか。すごく…すごく…すごく! これはすごく既視感の映画だったのだ。なんの事前情報も入れないで今日初めて観たはずなのにこの世界俺知ってる! この展開俺知ってる! このセリフ俺聞いたことある!
知らぬ間に同じ一日を繰り返してるんだろか。『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984)なんだろか。だとしたら俺のラムちゃんはどこなんだ…!

時の流れが止まり円環を成した時間の中で無表情の人々がオブセッション的に同じ行動を反復する押井ユニバースなのでこの強烈なデジャヴュさえ作家性と化す。
ほら見よ、現にこんな映画でも傑作だなんだと褒め称える押井教のエヴァンジェリスタがわんさと…かどーかは知らんがいるではないか。
つくづく思うがどんなつまらん映画撮ってもファンはつまんなさを前提に観に来るのでつまらんと文句を言う方が野暮なトーシロのアホに見えてくる押井とか三池崇史はまったくやり方が汚い。現代美術作家が絵を抜いた額縁だけ展示して「空虚」とかなんとかキャプション付ける感じである。
開き直ってそんなの騙される方が悪い、とちょっと思ってしまったので押井に毒されている。普通に面白い映画を観て解毒しよう。

…とこのようにとても中身のない感想なのですがそれと同じくらい中身のない『ガルム・ウォーズ』です。中身とはなんぞや? と押井または押井マニアなら立喰師的ヨタ話を延々続けてしまうのでもう立ち入りません。俺ん中ではこーゆー映画が中身が無いという。断言。中身とか哲学とかそんなん押井映画にねぇよ!
しかし中身が無いって言ってもあれだろう、これは一応バトルあるし漫画版『風の谷のナウシカ』みたいなストーリーあるわけだろう。足りないよな。虚無感が足りないよ。これじゃまだ中身があり過ぎるよ!
あれだろ『アサルト・ガールズ』(2009)くらいの中身の無さが押井の本気だろ! どうせつまんないなら『アサルト・ガールズ』みたいの観たかったよ! 強い女の人たちが荒野でカッコよく舞うだけの『アサルト・ガールズ』最高だったんだよ! つまんないけどこれじゃあまだ面白過ぎるんだよ!

それにしてもこの既視感はどうしたことかと思たら『アヴァロン』(2000)だなこれほとんど。続編的な…と宣伝されてたよな気もするが、別の押井実写映画かなそれは。まぁなんでもいいか、どうせ全部似たようなもんだろう。
結構カッコいいアーマーの造形は『ケルベロス』なのかもしれない。カシャカシャ動く義指は『GHOST IN THE SHELL』(1995)からの伝統なのか。やはりのバセットハウンド犬は歌舞伎の見得のよなもので、ファン的にはヨッ! 待ってました! となるんだろか。今回の犬は精霊ないし天使と化していた。
押井いっぱい。きっと押井エヴァンジェリスタに教えを乞うたらあれはこの押井映画これはこの押井映画とうんちくとゆー名の終わらない説教が続くに違いない。

川井憲次のデッド・カン・ダンス風オリエンタルサウンドが相変わらず素晴しいので耳がしあわせ。川井賢治の無駄遣い!
空中戦ある、荒野ある、異界の霞がかった風景ある。戦車で巨人とも戦う(新機軸か?)
おもしろいおもしろい。きっと壮大なファンサービスなんだろう。お前らどうせこれが観たいんだろ? だけで構成された押井ユニバース。天国じゃないですか!

…手垢塗れのストーリーも含めてなんだか物凄く退行的な映画な気もするが、手垢に手垢を重ねたら赤ちゃんになりました。おじいさんとおばあさんは彼を垢太郎と名付けて大事に大事に…手垢も突き詰めれば生命になる! 価値が出る! 逆にこんな手垢のついたことを今更それなりの金かけてやるなんてとその無意味さに感動すらしてしまう。だってまだうなじにジャック付けてコードに接続してるからな!
もう文句の付けようがない。文句の付けようがない押井映画。ぶっちゃけるとこれ最後まで観てもストーリーが完結しないが果たして押井映画がキレイに完結したことなどあったかと言われれば反論に困ってしまうのでやはり一つも文句が言えない押井映画です。

いや、何度も言うけど面白いかつまんないかっていったら全然面白くないけどね。

(文・さわだきんたま)

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戯言を戯言と見抜けない人は(押井映画を観るのは)難しい。

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