ロシアン・スーパーヒーロー映画『Zashchitniki』の予告編を探検する!

テクノロジーの発達により誰もが自由に映画を撮り、そして誰もが自由に消費することが可能となった現代…すでに飽和状態にありながらも映画界は膨張を続け、今や人跡未踏のジャングルと化しつつある。
だが! 秘境にこそ夢がある! ロマンがある! 自分だけのお宝がきっとある!
そう! 我ら謎予告編探検隊!

なにこれカッコイイんだけど。どういうシチュエーションなんだろう。どこなんだろう。そこはかとなく漂う安さ。
なにかと思たらちゃんとウィキペディアに書いてある。ロシア産ネオ・ノワール・スーパーヒーロー映画。ははぁようやく対ハリウッドに本腰を。しかしネオ・ノワールとは? 薄い記憶を辿ると確か石井隆の『夜がまた来る』(1994)のコピーで使われてたワードだった気がするが。

再びウィキを参照。残念な英語力のためよくわからんがざっくりフィルム・ノワールのスタイルに影響された映画くらいな感じだろう。誰が作ったんだかネオ・ノワールの映画リストなるものがあったが、あまりにバラバラで統一感ゼロ。『天国と地獄』(1963)と『地獄の逃避行』(1973)とこの映画が並んでしまう。この作品群をネオ・ノワールの語ひとつで括るのは無理があるのでは…。
まぁ越境性と多義性がノワールなんだからこれでいいのかと思わなくも無い。ノワールって便利な言葉ですね!

やはりカッコよい。そしてやはり安い気がするが、朽ちたレーニン像と基地の廃墟にポエムとリアリティが同居してしまうロシア映画おそロシア。こういうのはいくら金と先端技術をつぎ込んでもハリウッド映画には出せない味なんじゃなかろか。
冷戦時代に生み出された超人兵士が現代で闘う、とのこと。国策映画とまでは言わないがそれで英題『GUARDIANS』なのでロシアの国情とかソビエト回帰志向みたいのなんとなく反映してんすかね。この超人軍団には是非ともキャプテン・アメリカと闘ってもらわねばなるまい(でもあいつアメリカ捨ててたな)。

あれだな、対ハリウッド映画というと『ナイト・ウォッチ』(2004)がとても好きだったが当初三部作の予定が二部作に縮小された挙句に監督のティムール・ベクマンベトフはさっさとアメリカに逃げてしまった。リンカーンが吸血鬼とバトる映画とか撮りやがってまったくこいつは思想とロシア愛がないな! そこが面白いベクマンベトフ映画ですが。
ほんで『ナイト・ウォッチ』はいろんな土着妖怪が出てきて戦う映画だったが『GUARDIANS』の方もスーパーヒーローと言いつつ狼男とか水の妖精(ルサールカ?)なので広大なロシアン大地の香りがいたします。あの妖精ちゃんがプールにダイブするシーン、神秘的で美しいですね。ロシアは神秘の国。

土の香りと情緒と庶民感覚を大事にするロシアン・スーパーヒーロー。見てるかアイアンマン、お前に足りないのはこれです。だからお前いろんな方面から反発受けるんです。今すぐ社長室から出てスーツを脱いで畑でも耕したまえ。さもなくばせめてスタバで時給10ドルのバイトでもしたまえ!

伝統とソ連時代を結びつけて郷愁を掻きたてるっていう右翼的手法。情緒による正当化。それをハリウッド映画の製法を盗みつつアンチ・ハリウッドのスーパーヒーロー映画として大々的に売る。これは間違いなくアツイ。

(文・さわだきんたま)

広告

コメントしてあげる

wpDiscuz