衝撃! 石川奥地に伝説のマンバギャルを見た! みたいな映画『黒い暴動』の感想

《推定睡眠時間:0分》

クソなヤツらクソな地元クソな毎日ふざけんじゃねぇおい授業サボって校庭で『キッズリターン』(1996)ごっこしてるバカどもテメェらみてぇのが一番おもしろくねぇんだよまだ始まっちゃいねぇよお前ら始まる前に終わっちゃってんだよクソ野郎!
それはもう何も言わずともクソの文字を体から放出してしまうほど鬱屈した石川のクソ女子高生・馬場ふみか(ストレートな欲求不満感がロック)が黒ギャル今井華(雌ライオン的な母性がロック)に電撃遭遇。これは超レア。クソ脱出のチャンスかも。ときめく馬場さんだったのですが捕獲する前に逃げられてしまったので追って人里離れた山奥の牧場へ黒ギャルGO。
そこで目にしたのはゾンビの如く奴隷労働をさせられそして女王・今井華に一心不乱のパラパラで奉仕するマンバギャルの群れだったのだということで控えめに言ってモンドな『黒い暴動』の感想です。

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ということで実在したマンバ村にカルチャーショック、自らも黒ギャルと化して息苦しいクソ文明社会に囚われた魂を解放する馬場さんなのでしたがそこで唐突に場面転換。あれから14年、とっくに黒ギャルを卒業して単なるつまらないダメな人になってしまった馬場さんの下にかつての黒ギャル同志が現れ…みたいなことになる。
思い出辿って同志と共に地元帰り。あぁあの頃の私は黒光りしてたなぁと時の流れの残酷さを痛感しながら在りし日を回想してく。

なんか良い話っぽく聞こえますが馬場さんの「あの頃」がニコラス・ローグのフラッシュバックばりの断片でしか描かれないので一体なにがあったのかよくわからない、馬場さんとマンバの交流とかそういうのは別に描かれずひたすら無言で牛の世話とパラパラするだけの人たちだったのであのギャルサーが何者だったのかもよくわからない、最終的にギャルサーとかあんま関係なくなってしまうのでなにが黒くてなにが暴動だったのかよくわからない。

とにかくよくわからない映画だった気がするが、あぜ道をカラフルなフットバイクで爆走するような謎のへっぽこ疾走感と牧場ギャルサーのモンド映画的異物感が脳に強烈な揺さぶりをかけて段々気持ちよくなってきたので黒い『おもいでぽろぽろ』(1991)と見せかけてデヴィッド・リンチ世界に突入。「外野とか空気やし!」と啖呵を切る今井華が君臨する牧場ギャルサーはまさに『インランド・エンパイア』(2006)なのでした。

あれよなバンドマンに横恋慕とか白ギャルVS黒ギャルの抗争とかギャルサー次期総長決定戦とか祭りでパラパラ披露するために一生懸命頑張るとか部活系青春ものでよくある展開とかキャラクター盛りだくさんどころか全部入ってる気がするのですが、それを回想形式で現在の馬場さんの姿と対比させながら見せてくにも関わらず上映時間75分しかないので詰め込むだけ詰め込んで圧倒的に説明してくれないしケリもつけてくれないカオスっていうのがつまり快楽物質とリンチ性の源泉。
伝わるでしょうか。ギャルサー牧場には正体不明の異形ババァとギャル男DJ(?)も生息していたのですが、このギャル男DJがおもしろいギャル男語でマンバギャルたちになんか言うが誰からも返事が返ってこないし観てるお客さんも誰一人笑ってないっていう状況のおかしみ。俺はこの映画なら五時間は観てられるなと思いましたね。

牧場ギャルサーの人たち、ブラック・ダイヤモンドとかいうリアル活動中のユニットっていうか黒ギャル連合とかそんな感じの人たちらしい。その一人がギャルサー次期総長決定パラパラバトルで馬場さんと戦うんですが、これが超キレキレでかっこよい。キレパラ。
牧場で全員一緒にパラる姿は軍隊の基礎訓練みたいな感じだったのですが、やはりギャルの脱色と脱部族化が全国規模で進行する中あえてのガングロイズムを継承するガチ黒ギャルの気合いマジパねぇと震える。

こういう人たちがしかしあんまりストーリーに絡んでこなかったりするので逆に消化できなくてインパクト絶大。つまり要するにこれはたぶんすごくバランスの悪い推敲とか編集とかしたのかよみたいな作りになっていると思うのですがそれが面白いというわけで、金沢パンクバンド「ロンドン・コーリンボー(香林坊)」を筆頭に隙あらばクラッシュ駄洒落が飛び出す映画だったりするのでこれだけは言いたくなかったが、映画自体がクラッシュしてるじゃねぇかと観客にオヤジギャグの一つでも言わせたら監督の勝ちな気がするので言っちゃった俺の負け。すいませんでした。

そういえば吉幾三マッシュアップがおもしろかったのでじゃあ柳沢慎吾の甲子園ネタと警察ネタCDを素材にして慎吾マッシュを作ろうと思い立ったことがあり、思いのほか難しく面倒くさかったので一つだけ作って辞めちゃったのですがそれが『白い暴動』に柳沢警察(無線とかバイクとか)をぐちゃぐちゃ付け足したもの。
ギャルサーとクラッシュにいかなる関連があるとも思えませんが何とでも共振してしまうクラッシュの偉大とあと金沢の文化許容力の深さを再確認しつつあげぽよな映画なのでした。

(文・さわだきんたま)

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なにひとつ接点がないと思われたこんな二本も『黒い暴動』をモーフィングすることで接続完了。

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