映画『ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄』&『金メダル男』で感想供養(ネタバレ無法地帯)

おそろしげな姿に秘められた過去の悲劇を探り出し語るということ。
恐怖の対象を合理的な物語として再構築し伝達する除霊術の有効性はそれが独立した一義的な言説を流通過程で解体し不合理にも無数の相反する意味や価値を接続してしまう高度情報化社会の中にあってかつてほど機能しないこと(『リング』とか)が暗黙的に共有されているにも関わらず、むしろ、そうであるからこそ、分かりやすく「裏のない」物語が、ひとつの問題にはひとつの答えが、とうに駆逐されたものとして見過ごされてきた野蛮な過去の亡霊が理性を食い尽くすかのような今日において強く求められているのではないかと思われるのですが、つまり、なにが言いたいかというと。

いたたまれないおじさん映画を二本連続で観てしまったのでちゃんと感想言って成仏してもらおうとおもいます。ネタバレはありますネタバレしかないです。

『ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄』


《推定睡眠時間:20分》

ニコラス・ケイジの息子がハロウィンに誘拐されたので一年ぐらい経ってから取り戻しにいく話。なんかオバケの国に連れていかれたのですがオバケの国には時間の概念がないので問題ないです。ネタバレてますがたぶん誰も怒らないしそもそも見ないので問題ないです。

ついでにネタバレすればケルトホラーです。カルトじゃないです。なんでもケルト神話版の鬼子母神というのがいて、子供をさらって食ったりなんかする(あやふや)。
ハロウィンはケルトのお祭り。寝てたからよくわかりませんけどなんでもそのむかし魔女狩りに遭ったかわいそうな女の人がいて、その人の怨霊とケルト鬼子母神が霊的習合を果たしておのれ野蛮キリスト教徒め復讐だ! みたいな感じで霊的誘拐してたのでした。ニコラス・ケイジ完全にとばっちりでした。

ケルトとケイジ…この組み合わせはリメイク版『ウィッカーマン』(2006)でもあったが、あれもなんか消えた少女を探して異界(キリスト教圏にとっての)に入ってそして超絶とばっちりケイジ刑事の話でしたねたしかたぶん。またこのパターンか!
既視感がすごいが既視感といえばこれはほとんどニコラス・ケイジ版『インシディアス』(2010)で、最後の方に出てくる冥界なんて映像使いまわしてないかと思うくらい同じ印象なのですが違うのはダース・モールが! 『インシディアス』はつまんないけれどダース・モールがラスボスで出てくるから良いんですけど『ペイ・ザ・ゴースト』にはダース・モールが出てこないのだ!

いや正確にいえばケルト鬼子母神がラスボスで出てくるのですがまったく歯が立たないニコラス・ケイジ。どうしよう…困ったケイジは叫ぶ。こどもたち! 助けてくれ! すると毎年毎年ハリティーにさらわれて二百人分ぐらい溜まった子供たちの魂が蜂起して彼女を連れていってしまうのでした。ドラクエ7では、どとうのひつじがとにかくつよい。
いやそれぐらいは節約しないでがんばって戦ってくれよとおもう、つまんなくておもしろかったいつもの困り顔ニコケイ映画です(サントラがわりとバラエティ豊かでよかったです)。

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『金メダル男』

《推定睡眠時間:0分》

始まると内村光良が自分の半生を語りだす回想形式の映画なのですが明示的か暗黙的かを問わずモダン映画のこの語りはといえばやはり終わったものへの労い、幾分の悔恨を含んだ死の再確認といったニュアンスがあるもので(ウッチャンが天に召されるように浮遊するシーンもあるではないですか)そのためなんの驚きもないあのオチがオチとして機能するんだろうなぁと思いますが、ちなみにこのオチというのはもう一等賞を諦めたかに思われたウッチャンが「今はゴルフで一等賞目指してます! 東京五輪が目標です!」っていうやつです。
だからなんだよっていう感じなのでバラします。

ということは、だからこれは供養映画でウッチャンは死んだ自覚のない陽気な幽霊なのであった。もう一等賞を取れなくなった中年ウッチャンがバックパックワールドツアーに出て各国でカジュアルな一等賞(ピザ大食いコンテストとか)を狙うがとくに訓練とかしないので敗北の連続、時は1996年ヒッチハイク中の有吉(森脇はいない)とすれ違ったりした末に無人島にキャストアウェイ、レッドタートルを心の支えにしながら5年ぐらい経過するのですが、いわばその時にウッチャンは死んだのだ、っていうか猿岩石ネタを当たり前のように出してくるっていう時点でなにかが死んでるだろ! と言えるのだ…。

どんな映画か全然書いてませんでしたが『金メダル男』はウッチャン原案・脚本・監督・主演の少しだけ自伝風味コメディで、やる気と行動力はあるが才能と甲斐性はなかったのでなにをやっても一等賞になれない、でも子供の頃に運動会でもらった金メダルの味が忘れられず大人になってもあらゆる分野で一等賞を獲ろうとする人の一代記。
移り変わっていく時代と変われないダメな人。ウッチャン版『フォレスト・ガンプ』(1994)みたいな感じだろうたぶん。いやドラえもんのいないのび太かもしれないなのび太も無人島生活した回あるからな。

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みどころ、すごいところ。二人一役の片割れ知念侑李が危険なレベルでウッチャン。見得を切ると本人。木村多江が漫才するところがかわいい。なんでだよ! もういいよ! のツッコミ萌え。
ジャッキー映画のオマージュもある。オマージュ精神は、ある。ナンチャンが出てくる。失業して失意のウッチャンがヒルナンデスを見るところで。そうそう音楽の使い方もすごくてとくにクリスタルキングの…。
あと土屋太鳳の扱いが壮絶に酷いので土屋太鳳すげぇなって思いましたねその女優的被虐っぷり。根性あるぜ…。

こういう映画、バラエティ映画、タレント映画、まぁ、見てしまうのでそれで結構好きなんですけれどもなんですけれどもでも、お通夜の気分でしたね『生きる』(1952)の気分。生きるッ! うるせぇ!
あとは適当に察してください。

【ママー!これ買ってー!】


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なんかナンチャンが悪霊退散悪霊退散って言うシーンなかったですか? なかったかもしれないな。

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