『マグニフィセント・セブン』a.k.a荒野のスカベンジャーな感想文

《推定睡眠時間:0分》

のっけからのおんなこども虐殺行為によってまだタイトルすら出ないうちに一分の同情も必要ないことを教えてくれるある意味やさしい強欲資本家を今日フットサル来るっしょぐらいのノリで集められたマグニフィセントなガンマン連合がぶちのめす痛快仕事帰りアクション。
銃・金(資本家)・女(ヘイリー・ベネット)と仕事帰りの映画館に必要そうなものが揃っててゴージャスでいいじゃないですか。やっぱりみんなが憧れるものを見せるのが映画ですよね! ヘイリー・ベネットは最高だしこれは映画のキャバクラだ!

…違うとおもうけど観た直後の感想にそう書いてあったので寝て起きて冷静な頭で今その続きを書いてますな『七人の侍』(1954)のリメイク『荒野の七人』(1960)のリメイク『マグニフィセント・セブン』感想です。

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たぶんこれは『シェーン』(1953)の引用だと思うのですが退色したテクニカラーの山々を背景として映画がはじまる。雄大な、とかそういう印象は全然なくて銭湯の富士山みたい。
味があるとも言えるかもしれないのですがこのへん既に好みが分かれるかもしれず正直言えば(こないだの『ネオン・デーモン』もあったので)またマッシュアップ映画かよもういいよそういう古典への目配せみたいの…と個人的な第一印象はかなり悪かった。

つーのもですねこれ上映前の予告編が『キングコング 髑髏島の巨神』とか『ブレードランナー2049』とかだったわけで…あたらしい景色を見せろよ! 西部劇のしかもリメイクを観に来ているのになんて筋違いな文句。基本的に映画の問題ではなく自分自身の問題なのでまるでキャバクラに来て嬢に説教するオヤジの如しだ。あぁ嫌だそういう大人にはなりたくなかったのに…。

映画はその後も引用とクリシェをバラ撒き続けるのですっかり腐って斜に構えて観ていたのですがここで結論を先取りするとすいませんやっぱり俺が悪かったです。
アツイよ『マグニフィセント・セブン』! いや、というか、これは、熱気はあまり感じなかったのですがとても良くできている映画なんじゃないですかだって見たいものしか入ってないじゃないですか任侠ガンマンとか戦闘寡婦とかあとはもう勧善懲悪大戦争ですよそれだけでなにが悪いの!

つまりだから仕事帰り映画で西部劇キャバクラなんだよ! スケバンキャバクラっていうの見たことありますけどあれすぐ潰れちゃったな!

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上映前予告編が『キングコング』の映画で俺はキングコングより偉いんだと叫んだデンゼル・ワシントンが主役の偶然。かっこよかったなデンゼル・ワシントン。あんま喋らないしよく考えたらそんなに働いてないのにみんな勝手についてくるから人望ですよね。すごいよコマンチ族の戦士をスカウトする時なんて仕事内容さえ話してなかったのに向こうから仲間になったもん。男は目と背中で話す。

そういえばあの黒ずくめファッションは『荒野の七人』のユル・ブリンナー準拠なのでしょうが最重要ブラックムービー『スウィート・スウィート・バック』(1971)のメルヴィン・ヴァン・ピーブルズぽいんじゃないかという気もする。虐げられる者の怒りと抵抗のシンボルとしてあのイメージが引用されてんだろうと考えればついぞ白人社会に打ち勝つことのできなかったスウィートバックのウン十年越しのリターンマッチがこの映画ということになるのかもしれない。
そういう含意というのは人種も国籍も様々な連中が緩く連帯しながら強欲資本家と闘うストーリーの中ではちょっと、重いもんありますね昨今いろいろあるし。

超おもしろいコリアン無国籍ウェスタン『グッド・バッド・ウィアード』(2008)から本場の西部に流れてきたイ・ビョンホン(色気ありますなぁ)が人見知りのためイーサン・ホークとだけ楽しそうに話している光景がBLと評判だそうですがイーサン・ホークは戦争後遺症に苦しむ元南部軍の兵隊という役柄、イーサン・ホークといえば…『トレーニング・デイ』(2001)で例のキングコングより偉いデンゼル・ワシントンに振り回される新米刑事!
映画を超えての和解に少しだけイイ話を感じつつ聖書を詠唱しながら斧で殺しまくるサイコ野郎ヴィンセント・ドノフリオが「銃は女じゃないぜ!」とかなんとか言えば『フルメタル・ジャケット』(1987)で銃を彼女にしていた頃のドノフリオの姿も見えてくるってなもんです。ネタてんこもり。たのしいたのしい。

個人的には“新橋系”というジャンル。新橋文化劇場でB級アクション二本立てとして居眠りする外回りのサラリーマンどもと一緒に観たかった系の映画がこれなのですがB級洋画二本立てといえば浅草中映の幕間BGMは『荒野の七人』のメインテーマだったなぁと思い出し、このメインテーマが今回も流れるのですがまぁそこで流れるだろうなとこれも斜に構えて嫌な客になったつもりではあったが実際に流れると脈拍数が急騰する。俺べつに『荒野の七人』とか好きじゃないんですけど。

あともう一回言っておきますけど戦闘寡婦ヘイリー・ベネットが超素敵だったんですけどあんなにおっぱい出しちゃいかんとおもいます。ストーリー入ってこないから…。

【ママー!これ買ってー!】


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なんとなくリメイクのアプローチが近かった気がしたんですけどそうだ『マグニフィセント・セブン』はやってることの非道に比して敵のキャラが弱すぎる気がしたのでこの稲垣吾郎ぐらいの狂キャラだったらよかったのになぁとおもう。

↓その他のヤツ

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