映画感想:『コンビニ・ウォーズ ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』

《推定睡眠時間:0分》

これ好き! 『コンビニ・ウォーズ ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』! なんか邦題フル書きが恥ずかしい! でもケヴィン・スミスの映画だから『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』をなんとなく踏襲しつつ(スミスのデビュー作でコンビニが舞台の)『クラークス』を彷彿させるようなものをってことでこういう邦題になったんじゃないかなって気もしなくもない、そうかどうかは知らないがしなくもないから一概に否定はできない!

イイんじゃないすかコンビニ・ウォーズ! 原題『YOGA HOSERS』って言われてもわけわかんないからな! エンドロールに流れるスミス出演のポッドキャスト音声によるとどうも、スミスがたまたま耳にした”YOGA HOSERS”の語感が面白かったからこういう原題こういう内容になったらしいつー要するに前作『Mr.タスク』同様のヨタ話ですからコンビニ・ウォーズぐらいな感じがむしろちょうどイイんです!

映画マニアの人はみんな変な邦題とか配給会社の姿勢に厳しいので俺は逆に褒めて伸ばす方向で行くよ! コンビニ・ウォーズ伸ばしてもその先には何もないとは思いますが!

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ところでその”YOGA HOSERS”なのですが字幕では「ヨガ馬鹿」になってました。おいこれのどこが映画1本作らせるぐらい面白かったんだケヴィン・スミスよ…と思うのでやっぱコンビニ・ウォーズで正解なんすよ伝わらないもんその面白いの。
“HOSER”で飲んだくれた”idiot”とか”loser”の意だそうです。カナダのスラング。ふーん。まぁ、辞書的な定義だけ見てもニュアンスはわからないよなぁ。じゃあ分かったら超面白いのかというと多分そんなこともないのは『Mr.タスク』のエンドロールにも例のポッドキャスト音声がネタばらし的に付いてたんですが、こないだセイウチ人間の話聞いたとかなんとかつーてスミスは大爆笑も聴いてるこっちは別にそんな面白くなかったのだ…。

まぁポッドキャストだからな。ラジオだからな。こういう音声メディアのコンテクスト依存の笑いを一部分だけ切り取っても面白いわけがないのであって。落語のオチだけ音声で聴いてもなんのこっちゃってなもんだよね。
『Mrタスク』はちなみに“実話の映画化”を謳っていて、実は映画館で見たときそのへんスルーしちゃってたのですが、スミスが“実話”として聞いたセイウチ人間を作るマッドサイエンティストの話の映画化なので“実話の映画化”。
そのことがスタッフロールのポッドキャストで明かされるつー仕掛けだったんでそれが分かればちょっと面白いかもしれない…。

それで『コンビニ・ウォーズ』ですがこんな感想をわざわざ読んでる人が知らないつー事はまず無いと思うので説明不要かもしれませんが、『Mr.タスク』にちょっとだけ出てきた無気力コンビニバイト二人組のスピンオフ。
二人組を演じるのはジョニー・デップと元妻(事実婚てことで)ヴァネッサ・パラディの娘リリー=ローズ・デップと、ケヴィン・スミスの娘ハーレイ・クイン・スミス。
怪しいフランス人探偵のジョニー・デップも続投なので親子共演。親子共演どころかヴァネッサ・パラディも二人からスマホを取り上げるスパルタ教師として出てくるんで家族共演。

『クラークス』の頃と規模感ではあんまり変わっていないようなザの付くインディペンデント映画にしてこの絢爛たる面子は…と思ったがこんぐらいの趣味映画だから逆に実現できたんでしょねこういうの。
続投と言えば、キャラは違うがジャスティン・ロング、ハーレイ・ジョエル・オスメントも前作から引き続いて登板。近年のスミス映画の顔として『レッド・ステイト』、『Mr.タスク』で怪演を披露していたマイケル・パークスもどっかに出ていないかと探したが居ない。それもそのはずでパークス、今年亡くなっていた。
察するに悪役の“カナダのヒトラー”かマッド・サイエンティストのどちらかはパークスのアテ書きだったんだろうな。それ、見たかったので残念だった。

パークスの喪失を埋めるためかどうかは知らないがスタン・リーが呼ばれていた。出演場面、マーベル映画の完コピ。エンドロールの末尾で更なる続編にしてカナダ与太話三部作の完結編『Moose Jaws』の製作も予告されていたから、こうなってくるとスミス版シネマティック・ユニバースだ。
ここまで『コンビニ・ウォーズ』がどういう映画なのかほぼ触れてないがつまりあれですナチの残党的シンパがミニチュア兵士作って襲ってくるんでコンビニバイト二人組がヨガの秘技で戦うご近所映画です。下らなくていいですねスミスのユニバースは(『Moose Jaws』にはスミス扮するサイレント・ボブも登場するとのこと!)

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映画はリリー=ローズとハーレイ・クインのヘタウマラップで幕を開ける。場所は勝手に改造したコンビニのバックルーム。歌い終わって外に出ると店の前に客が並んでる。隙を見ては入口に鍵を掛けて遊ぶ二人なのだ。
もうこの時点で満足度は『Mr.タスク』超えたね。続編のが前作より面白い映画つーのは『フレンチ・コネクション2』とか『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(※異論あり)とか色々ありますが、見ていてそのことを実感するまでの時間でいったら最短の部類に入るんじゃないすか。『フレンチ・コネクション2』なんて二つの意味で最後のショットを見るまでわからないのに!

いやもうなにが素晴らしいってこういう下らない趣味の映画をテメェの娘主役に据えて楽しそうに撮ってるところですよ。なのに趣味の押しつけになってないところですよ。ラップを捻るリリー=ローズとハーレイ・クインの楽しそうなこと!
なんかこういうの久しぶりだよな。最近のスミス映画っていうと渋いというか…こう、捻りの効き過ぎたというか…ケヴィン・スミス基本的にコンテクスト依存の笑いの人じゃないすかパロディとかオマージュの多用も含めて。

『レッド・ステイト』とか『コップ・アウト』とか面白くないことないんですけど楽しむのにかなりコツが居るっつーか、多層コンテクストになっていてかなり作り込まれたインテリっぽい映画だったじゃないすか。『クラークス』とか『ジェイ&サイレント・ボブ』みたいになんとなくダラーっと見ておもしろい感じじゃなかったよね。面白がるには結構頭使う。

それはそれでええのですがー、でもケヴィン・スミスって聞くとやっぱしょうもない適当なバカ映画を期待するところはある。適当だからこそ適当な中にしかない偶発的ユーモアとか鋭い洞察を捉えてしまうようなところを。
それ、『コンビニ・ウォーズ』にはあったと思いますね。ダラーって適当に見れる気楽なバカ映画なんですけどだから、なんかなぁ懐の深さを感じて良かったなぁ。生き生きしてるしねキャラクターが。

危ないヨガ・グルのジャスティング・ロング、「ヨガ・フェット!」ってなにそれ? 映画マニアのマッド・サイエンティストのバットマンものまねを聞いたリリー=ローズとハーレイ・クインが似てないと言えば海賊よりも楽しそうにジョニー・デップが訂正する。「あれはアダム・ウェストの真似でクリスチャン・ベールじゃないんだ」。
ミニチュア・ナチスの襲撃シーンをTPS的な構図で捉える『パペット・マスター』等々の人形ホラー定番演出がノスタルジックな拘り。そのミニナチを電子レンジに詰めて破裂処分といえば『グレムリン』だ。

おもしろかったです。

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よーく

そういえば先日見てきた。
感想の第一声としては「セイウチ人間出てこねぇのかよ!クソァ!」だったがまぁよく考えればあんなの出オチみたいな一発ネタだから作品を跨いでまで出す必要ないよな、うん、別にセイウチ出てこなくても面白かったし、という感じでしたね。
ケヴィン・スミスはこれと『タスク』しか見てないんだけど『タスク』はまだギリギリくだらねぇ内容の中にちょっとだけ深い示唆も含まれてるかもよ?みたいな印象だったけどこっちはもうホントそういうのゼロだな。徹頭徹尾くだらねぇバカ映画を撮りましたけど何か?みたいな姿勢は嫌いじゃない。むしろ好きだ。なんだよ「ナチスの残党」と言えば何でも許されると思いやがってクソが。
なんか色んな意味で優しい気持ちになれる映画だったな。公開してるうちに見れてよかった。
『タスク』は映画館で見れなくて近所のTSUTAYAのコメディコーナーを散々探したけど無くてホラーコーナーの棚にあって脱力したことを思い出した。まぁ確かに結構ガチなホラー描写してるけどさ…。あと思い出したついでで『タスク』を初めて見たときは「松本人志はこういう映画を撮るべきだったんじゃねぇかなぁ…」と思ったことも思い出した。
あと面倒なのでついでに書くけど『トニ・エルドマン』も一緒に見て面白かったです。ええもう非常に良かったね。今年なら『沈黙』と『ルーのうた』に次ぐヒットですね。面倒だからあんま長い感想書かないけどあのエルドマンおじさんにある何か諦観のようなものがとても現実的な愛でよかったと思います。ただ
>年甲斐もなく『セッション』で喧嘩していた町山菊池が共にわかりやすく異なる角度から絶賛するのが『トニ・エルドマン』であり
てのは知らなかったな。ちょっと笑った。個人的に『セッション』は好きではないっていう感じで菊池派だったけど両者の『トニ・エルドマン』の評価も見てみたいですね。
では。

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