映画二本立て感想:『地獄愛』『めだまろん ザ・レジデンツ・ムービー』

異形譚、二本立の感想文。孤独女が禍毒女へ大変身の『地獄愛』、それから奇天烈祝祭的目玉団レジデンツの正体を負うドキュメンタリーの『めだまろん』です。
『地獄愛』の字面が良かったので最初は漢字語句三文字縛りで感想書こうと思いましたが即座に挫折してます「奇天烈」のあたりぐらいまではいけるかなと思いましたが無理でした。

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『地獄愛』

《推定睡眠時間:15分》

うるっせぇよもうマジうるせぇよ黙れよお前未就学児じゃねぇんだぞドッタンバッタン地団駄踏んで! 床抜けるっつーの! テーブルも叩くな! テーブル壊れるっつーの! ババァを殴るのもやめろ! ババァし…おいババァ死んだけど!?
こういうことを都合三回くらい繰り返すがその度にこの殺人カップルの男は頭が痛くなってその場にうずくまってしまう。殺してもなお興奮が治まらないカップルの女の方は死体を殴ったり首を絞めたりしながらひぎゃあああああっとこう、赤子の如く喚き散らす。

地獄シチュエーションめっちゃキツイが最大級にキツイのは意外やデートの場面だった。男の要望でリバイバル上映されていた『アフリカの女王』を見に行く二人。そのうち興が乗ってきて、男は人目も気にせず劇中のハンフリー・ボガートの真似をし始める。大爆笑の女。女が大爆笑なので男もますます物真似に熱中する。アラフィフ男女が映画館で映画を見ながらである。
…D・Q・N! その行動原理完全にD・Q・N! 内縁の夫が連れ子に暴力を振るうが捨てられたくないからと虐待を黙認しているうちに子供死んじゃって毎日毎日怒鳴り声とか壁を殴る音でうるさかったはずなのに急に静かになったことを不審に思った近隣住民の通報で殺人死体遺棄が発覚し逮捕されその後児童虐待の闇に迫るルポルタージュの題材になって荒廃した地方都市の風景描写からその物語が始まるタイプのD・Q・N!

いやぁ。解体予定の全裸死体の傍らで唐突に女が歌い出してミュージカルになったりする鼻持ちならねぇスカした演出が文字通りの意味での血の気の多さも相まってギャスパー・ノエを連想させたりしたんですがー、このキツさのベクトルはどちらかつーとノエじゃなくてダルデンヌ兄弟とかの方に向いてたな。
古典的変態映画『ハネムーン・キラーズ』で取り上げられて以来何度となく映像化されているマーサ&レイものですがだから例えば、『ハネムーン・キラーズ』みたいに至上の愛だなんだと偉い人に言わせるような隙というのはもう全くないわけですよ。
この超不快で不親切な高校生の8ミリ撮り自主制作みたいな映像の連なりは底辺の人の主観的な現実でしかないよね。圧倒的な現実に詩が入り込む余地がないっていうそこ、変態映画っていうかちょっと硬派な社会派って感じだった。

ところで『ハネムーン・キラーズ』が削ったマーサのシングルマザー設定はこちらでは復活していて、どうもこれが主題になっているというのが『ハネムーン・キラーズ』と『地獄愛』を遠く隔てる部分かもしれない。
『地獄愛』というが、愛とか嫉妬とか性欲とかあまり本質的なものとは思えなかった。徹頭徹尾身勝手に、欲望のままに振る舞う移民シングルマザーのアラフィフ女の姿を見ていると、この人が手に入れたかったのは男の愛なんかじゃなくて享受することの叶わなかった自由な子供時代だったんじゃないかなぁと思えるのだ。

唐突なラストに(このギャスパー・ノエ気取りが!)と一瞬だけムカついたがそう考えれば、金目当ての凡庸な殺人を少女を生贄とすることで愛の寓話に昇華する『ハネムーン・キラーズ』への激烈なアンチテーゼになっているのがあの結末だったとも言えるのでやっぱ生真面目な映画だよね老女の尺八とか風呂場で解体とか絵面は超きったねぇけど…。

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『めだまろん レジデンツ・ザ・ムービー』

《推定睡眠時間:25分》

レジデンツ知らない。なにもの。検索かけると変な音楽やる目玉の前衛アートっぽい人たちと出る。人によって目玉も色々あると思うがぼくの目玉はノイバウテンの一つ目である。
ノイバウテンとか、スロッビング・グリッスルとか関心範囲であるが、そういうあれすべてのかどうかは知らないがニューウェーブ的なものの先駆けがレジデンツというので、じゃあ見なければいけない。

ていうことで見に行ってみたが結構寝てしまったからザ・レジデンツが何者なのかは結局よくわからなかったがでもちゃんと見てもよくわからないんじゃないかと思うがわからないというかこれはあれですか聖飢魔Ⅱが地獄の悪魔じゃないことはみんな知っているが知らないことにしているみたいなことですか? そういえばレジデンツはKISSより早かったぜとか言ってる人が出てきてたな。

どうでしょう。ナビゲーション系のドキュメンタリー映画としてはオーソドックスな作り。俺みたいに完全部外者だとそんな面白くないかもしれない。そういうもんだろナビゲーション映画。
印象的だったのは幅広い商品展開であるとかメディアミックス的な手法とかアーティスト支援の仕組みであるとか商業面の言及が多かったことですね。いやなんか、もっとアートアートした切り口かと思っていたので。一番売れたのTシャツだよーとか言ってました。レジデンツはアメリカのバンドだ、とか。
ポップアート的なものの奇形的派生みたいな感じなのかな? …まぁ、そのへん詳しい人が教えてくれるだろう! よくわかりません!

DEVOがYMOとかクラフトワークと並置されるテクノポップ文脈の基礎的記述に多大なる違和感を覚える。これはたぶん後追い世代あるあるで、ビジュアルとかイメージ戦略を含めたトータルのコンセプトがテクノポップ、と言われればなるほどとは思うがCDで音だけ聞いているとどこでYMOクラフトワークと繋がるんだよってなるのです。
DEVOの人が出ていた。匿名性のコンセプトでずっとやってるレジデンツはすごいよね、DEVOはダメだったのに…だそうです。かなしい!

【ママー!これ買ってー!】


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『地獄愛』涜神だーみたいな感じで焚火囲んで踊ったりするんですがそのメンヘラ的幼児性にラース・フォン・トリアーがチラ見えした気がする…。

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