映画感想:『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(ネタバレなし)

《推定睡眠時間:0分》

連続殺人鬼アンジェロ役は山田孝之! とか各種宣伝で盛んに言われてもピンとくるところ皆無、原作四部は五部六部と並んで好きなジョジョではあるがアンジェロとか全然覚えてねぇよ誰だよ。アンジェロ岩とボヨヨン岩は覚えているがアンジェロとアクア・ネックレスは全然覚えてねぇよ誰だよ。
なんか、原作では序盤で丈助にドラドラされた水のスタンドを使う悪役だそうです。あぁそうだったか。あぁ居た気がするなそんなの。あぁていうか幽白仙水編の御手洗の能力は完全これだよね。

仙水編、冨樫流のジョジョ四部だよな。奔放な発想力で思いつくままに突っ走る荒木と緻密な設定の上で論理的に話を組み立てていく冨樫、という風に考えるとこの実写版は実はかなり杜王町というより(仙水編の舞台の)蟲寄市寄りの雰囲気的にもダークな映画だった気がするな。

つまりつまり、冨樫みたいに設定と世界観の説明ばかりで荒木みたいに弾けない…アンジェロ戦もそのシリアスなホラー演出からすると御手洗シーマン戦の印象に近かったなメガリカも桑原も出ないけど。バトル中のモノローグ多用とかもなんか冨樫っぽいし。

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…という風に悪口的に感想を書き始めはしましたがでも俺は四部も仙水編も好きなので全然問題ないよねいや問題はあるかもしれないが! 問題よりも面白さが先立つジョジョ実写。
ゲーム版のジョジョでこういう表現がよく使われてると思うがアクションの最中にストップモーションのジョジョ立ちが入るとか…杜王町がスペインロケの超無国籍感とか…『トイズ』みたいなバッド・カンパニーとか…神木隆之介の広瀬くん…小松菜奈の山岸さん…新田真剣佑の億泰のハマリっぷりとか…良いんじゃないかな! 良いです!

細い細いと方々から文句を言われている山崎賢人の仗助さえその演じさせられてる感が段々面白くなってくるのはちゃんと漫画みたいな映画だからなんじゃないかと思いましたね。
リアリティを追求してみたりとか。時勢に合わせた脚色してみたりとか。斬新な解釈を提示してみたりとか…そういうのどうでもいいんじゃないですか…? 漫画の映画化なんだから漫画みたいに映像にしたらいいじゃない。『ドカベン』みたいに映像化したらいいじゃない!
最終的にそれだな。『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』、実写版『ドカベン』です。

んでどういう内容かと言うとですねこれは第一章なので、本当に本当に導入部ですよね。敵がアクア・ネックレスとザ・ハンドとバッド・カンパニー。玉美ちゃんすら出てこない序の序っすよマジ。
つまり原作で言えば玉美ちゃんと間田の等身が下がる前の雰囲気。陽性ノリに振り切れる以前の四部の映画化だからシリアスなトーン、ということもないでしょうが蟲寄市寄りというのはそういうことなのです。
あぁ、早くスーパーフライとかチープトリックとかチンチロとか実写で見たいよ…まぁそういうのは第一章には期待しない方がいいっすねみんな事前情報で知ってると思いますが。っていうかスーパーフライとかこの先も出番あるかどうか怪しいけど…。

四部からの実写化つーことは三部までの積み重ねを無にして一からシナリオを書き直さなければいけない。これは中々骨が折れただろうな。結果的に折衷的というか、どうしても話の中で整合性を取るのが難しい部分はあえてそのまま残しておいたような感じになっていて、承太郎とか怪物親父とか初見の人には意味わからないんじゃないかと思われるがファン目を意識したら削るわけにはいかんちゅーことだったのかもしれない。
それでもなんとか筋を通しているから結構すごい。三部までを一旦無かったことにしつつ、『ジョジョ』全体を貫く「血」と因縁を巡る物語として四部を再構築。映画版のキーパーソンは丈助の祖父なのだがー、原作にこんなキャラいたっけと思ったのですがー、つまり四部のラスボスがどういう人物だったかということを考えれば丈助の父代わりである祖父にスポットを当てる必要があったのだ。

ゴツゴツしてるが、これは上手いよなぁ。

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血と因縁というのは三池崇史の主題であった。フィルモグラフィーを見ると脚本の江良至という人は三池と何度か組んでいるらしいがよりによってその作品が全三池映画中で最も血が濃いと思われる『ビジターQ』とかであるから、そのへん意識するところあったんじゃないすか。
これは全年齢対象のメジャー映画だから極力分かりやすく噛み砕いて自分色を消して、みたいな感じになってるわけですが、消しても消しきれない血の臭いだ。『ジョジョ』と言えば『ジョジョ』に見えるが、三池映画といえばいかにも三池映画っぽく見えるつーのは面白いところだったな。

舞台、杜王町。スペインロケのラテン風無国籍は原作再現感はあんま無いと思うが、五部でイタリア行くわけだから荒木のラテン気質を踏まえた上での解釈としては正しいんである。三池は三池で超級ラテン無国籍映画『漂流街』があるのだから奇跡的に嗜好が一致してしまった。
スタンド使いは引かれ合う。埼玉の場面をアメリカの荒野でロケする無意味な無謀と仙台のスペインロケは見えざる糸で繋がっている。

説明が多い映画なのでスタンドバトルまでが長いがそのスタンドバトルもやたらと間延びして長い。バッド・カンパニ-戦はわかるがアクア・ネックレス戦がこんな長いとは思わんかったよね。じっくりやりますよ、じっくり。これがスタンドバトルですよっていうの見せるためのチュートリアルだったんでしょね。
その点でザ・ハンド戦はスッキリまとまっててなんか良かったすね。第二章はあぁいう感じでチャッチャとスタンドバトルしまくって欲しいなぁ。説明いらないからスタンド使い暫時投入してもらって…露伴出るまでは進むよね二章? っていうか何部作の予定なのこれ。

三池崇史という人は本質的には根暗な叙情作家だと思っているが、根暗な叙情作家の常として陰と陽の振り幅が極端に大きいのでそういう揺らぎが杜王町と荒木の「奇妙」にマッチしてるように思われる。
一章も悪くないがやはりやはり奇妙に陽気な四部が見たいので…二章マジ頼むぞ今度は陽性に振り切れた三池! 『忍たま乱太郎』の三池で! …やるよね二章?

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三池崇史の奇妙学園アクションといえば『不動』ですがこれも漫画原作だなそういえば。なんかもうバトルが常軌を逸してるのでスタンドバトルみたいなもんだろ。

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