こわい映画二本立て感想文:『海底47m』『ザ・ウォール』

なんかこわくないこわい映画だから夏のうちに感想書こうと思ってたら8月終わってしまって不良在庫になってしまった『海底47m』ですがこないだ公開されたばかりの『ザ・ウォール』がなんやもう同じような舞台をメキシコの海からイラクの砂漠に移しただけで全然同じような恐怖映画だったため抱き合わせ販売的な感想です。
海底のケージに囚われたり不毛の砂漠に囚われたり、こわいですね。

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『海底47m』

《推定睡眠時間:65分》

サメが! サ…サ…サメが! 水中にサメがいるッ! この場合の驚きがサメと遭遇したことの驚きじゃなくてちゃんと普通のサメが海の中にいることの驚きっていう末期症状はハイスクール奇面組においてスケベの潔くんがエロ本を見すぎてもうファッション誌しか興味がなくなってしまったと語るあれに似ている。

早い話が『オープン・ウォーター』&『ディセント』というような映画らしいのですがなんか地底人とかはべつに出てこないから敵はサメ一種、サメ一種で約90分か、もう少しディッシュほしくない。
なんかあるんです。サメアタックのほかにも酸素欠乏で幻覚とか。あるが。しかし。とはいえ。
…滅茶苦茶盛り上がらない…かあるいは盛り上がっている場面は寝ていた…大きな音が出れば起きるので恐い場面は一応見ていたとは思うが…。

舞台は海底のうえ主人公ふたりはケージの中からほぼ出れないので絵的に代わり映えしないというのが痛い。痛いもなにも大部分寝ているが、寝ても覚めても同じ風景ばかりなので時間の流れに取り残されたような変な感覚に陥ってしまった。なんかアイソレーション・タンクみたいな体験である。
サメも馬鹿の一つ覚えのように噛みつくだけで芸がないし…と文句を書こうとしてサメなんだから芸もなにもなくて当たり前ということに気付く。少なくともその点に関しては映画の瑕疵じゃなくてそう考えてしまう見ている方か、もしくは無計画な粗製濫造によりサメ概念をゲシュタルト崩壊させ自らサメ資源を潰してしまったサメ映画業界が悪い。

自由経済の行き着く先がこれだ。こういう素朴で真面目なサメ映画がこれ以上バカを見ないよう、サメ業界にもなんらかの規制が必要だろう。
ちなみにどういうお話かというとなかよし女性ふたりが海底にぶっ込んだ頑丈な檻の入って間近でサメを見る体験にトライしてみたら見ている側にとっては全て想定内の想定外に次ぐ想定外の連続でたいへんというお話でした。

次に起こる恐怖な出来事を事前に台詞で知らせてくれる優秀なナビゲート機能を実装しているためあんまり画面を見なくていいというのが睡眠鑑賞者にはうれしい。

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『ザ・ウォール』

《推定睡眠時間:75分》

この予告編なんだよ。どういうことだよ。と一瞬思ったものの即座に撤回。これはアメリカ怪談、イラク戦争都市伝説の映画であるから淳二稲川ナレーションは正しいんであった。
なんでも? 2005年に? 突如としてネットに現れ世界を震撼させた? スンニ派武装グループの? 正体不明の天才スナイパー通称「ジューバ」。ネットを介して都市伝説的に広がっていった存在らしいがー、言われてみれば当時のニュース雑誌で読んだことがあるような、ないような?

ともかくその謎の人物に襲われた米兵の恐怖を描いた半実録ものという触れ込みの映画がこの『ザ・ウォール』らしいのですがたぶんですけど俺が思うにですけど興味を持って「ジューバ」で検索したりしてはいけない気がする! 検索してはいけない言葉な気がする!
つまり、淳二稲川の生き人形は完全実話として怖がるべきであって! いやそれは聴く人の自由ですけど! それが人生を楽しむということなのではないか! はいはいネタ乙みたいな! そういうお前そういう態度全然おもしろくねぇよそういう奴はおもしろくないんだよ!

それで『ザ・ウォール』ですがー、いやぁこれもしんどかったなっていうかしんどさに負けて極爆睡眠に入ってしまったからもう見てないのですが、これも、寝ても覚めてもずっと同じ風景。真ん中にただ壁がポツンとあるだけの、病んだ人の心象風景のような一面の砂漠。登場人物じつに三人。
三人! しかもそのうちの一人は狙撃されて砂漠に伏している、そのうちの一人は無線から声が聞こえてくるだけ、実質的に「ジュバ」に狙われる米兵を演じた主演アーロン・テイラー=ジョンソンの一人芝居であった。おいおいおい飛ばしてるな、なんか大和屋竺が脚本書いた若松孝二の映画みたい!

つまり極めて抽象的な実験映画なんである。『ザ・ウォール』…ピンクフロイドのというかロジャー・ウォーターズの最抽象最私的最詩的アルバムと同名というのがなんとも…寝たとはいえ変な映画すぎて結果的におもしろかったからいいが、監督ダグ・リーマン、主演「キックアス」のアーロン・テイラー=ジョンソンで共演が元WWEレスラーの悪童ジョン・シナっていう情報からそれ絶対出てこないっしょ!
なんかちょっとスノビッシュでシニックな戦争アクション的なの想像して見に行った分だけショックも睡魔も大きかったというのは理解して頂きたい…絶対想像できないっしょ!

そうだあとあの有名映画の換骨奪胎つーかダグ・リーマンという人はネタとパロディの人であるからあれをサンプリングしてアメリカ人にとっての恐怖とはないじゃいな的な批評として撮っている可能性もあるのだがあの映画とは何かを言ってしまうとネタバレになってしまい歯痒い。あれだよ! あれ!

【ママー!これ買ってー!】


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砂漠の恐怖といえば『眼には眼を』の…どことは言わないがあの場面めっちゃショッキングでこわかったよな。砂漠は人の心を映す鏡だ。海も。

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