映画感想:『スクランブル』『あさがくるまえに』

このような映画を称してなになにという業界用語もあるには違いないがその方面に明るくないので背伸びしないでここはフォーマット映画と呼んでおこう。
フォーマット映画二本見た、見たっていうか寝たので感想書く。本当クソみたいな感想になったな。

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『スクランブル』

《推定睡眠時間:40分》

イイオンナ、イイオトコ、イイクルマの三題噺を今やるアメリカ/フランス映画。ランタイム潔く94分、しかもケイパーもの。まだ生き残っていたらシネパトスか新橋文化直行だったが無くなってしまったから行き場が無い(無理に行き場を作った配給の人ありがとう)。
内容はあれですスコット・イーストウッドとフレディ・ソープの凄腕車泥棒兄弟がなんか色々あってギャング同士の対立に巻き込まれて騙し騙され殴り殴られ抱いて抱かれたりしながらカーアクション繰り出す映画です。フォーマット感に溢れている。

どこが被ってるんだか知らないが『ワイルド・スピード ICE BREAK』のスタッフが手掛ける的な定型文が添えられていたので、『ICE BREAK』でワイスピファミリーに加わったスコット・イーストウッドが主演てのもあり気持ちワイスピ・ユニバース。
『ICE BREAK』もかなり寝てるが構成上の睡眠配分(おもに主人公の密かな悩みとかパートナーとのすれ違いを派手なカーチェイスの後で言い訳のように入れてきたりする部分)が共通していたから同じような、というかシリーズがまだ辛うじてBREAKしてなかった4作目5作目ぐらいのテイストを子イーストウッドでっていう感じ。
とにかくまったく新作な気がしないのがすごい。

冒頭のクルマ奪取アクションが小気味よくて出だし快調、睡眠によりそのあと知らない、起きて最後はクラシックカー大行進。始まりと終わりが良かったからなんかおもしろかった気はしたな。
MVPはリアル小物ヤンキーな面構えが立派だったしゃくれアゴの人(役名・演者名ともに不明)。喋りの芝居に入るとそうでもないがスコット・イーストウッドは黙ってると親父の面影すげぇ。

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『あさがくるまえに』

《推定睡眠時間:45分》

美少年が窓から家を抜け出して深夜の街にチャリで繰り出すアバンタイトル、良いよね。誰もいない街をサーッとチャリで流すの最高。ほんでそのうちスケボー少年合流。更にもう一人加わって車乗る、海行く、サーフボード乗る、波に乗る。やってるうちに朝、来ちゃった。
原題は知らないが『あさがくるまえに』はダブルミーニングぽく、日々のしがらみから唯一自由になれる夜明け前のひとときを刹那的に謳歌しようとする美少年くんさんたちの心情、ほんで夜明け前を刹那的に謳歌しすぎて事故&脳死になっちゃった美少年の臓器を取り巻くいろんな人の心情のようであった。
やっぱ人間が人間らしく生きられるのは夜つーことでしょう。夜を懸命に生きよう、朝なんて嫌いだ。

だが問題はその『あさがくるまえに』の劇中であさがくるまえに何が起こったのかよくわからない。なんか臓器移植の話のようだったが…ていうか宣伝文にそう書いてあったからそうなんだろうが…よくわからない。仕事帰りにレイトショーで見たら随分とまた寝てしまった…。
まぁある意味では朝が人間を殺すを裏付けるような鑑賞にはなったがただ実際そういう映画だったかどうかもわからないわけだから、じゃあもうなんなのっていう感じになる。なんだったんでしょうね。映画を見るってなんだろう。映画ってなんだろう。そういう文字数稼ぎは人としてどうなんだろう。

いや、本当を言うと寝るには寝たがそこそこ見てはいた。そこそこだが本当に見てはいた。見てはいたが、ただかなり俺の苦手な映画だった…。
なんていうかこれは、というかこれも、フォーマット感がかなり前に出てた気がしてキツかったっていうか。映画学校の優等生が登竜門的な映画祭向けに撮ったような評論家人種が評価するポイントをよく押さえてる巧みな映画っていうか、その巧みが見え透いていて嫌っていうか。
本当素晴らしいと思うけどな冒頭の夜の街と少年たちの息遣いとか。こう、生の躍動と…その後に訪れる死にたいっていうんじゃなくて今なら死んでもいいかもっていう感情のあわいみたいなのが透明な画の中に…ていうかだからそれがなんか出来すぎて嫌とかそういう話で。

いや、伝わらないでいいよ! こういう嫌さ別に伝わらないでいいんです! 伝わらないでいいけれども、例えばだよ例えば、この映画エンディング曲がデヴィッド・ボウイの『Five Years』なんだよ! 臓器移植の映画で『Five Years』っすよ! どうなんだろう! それはどうなんだろう!そりゃ泣きますけれどもさ!
でもちょっとあざといんじゃねぇかなっていうのがあって…あざとさと巧さが直結してる映画はどうしても素直に受け止められない。これはもう趣味の問題だからしょうがない。誰が悪いとかではない。

寝てる映画を悪く言うのは映画好きとか映画好きじゃないとか以前に人倫にもとる気もするが…それで困るのは人としての信頼値が暴落する俺の方なんだから別に構わないだろう。大事なのは今この瞬間。今この瞬間の気持ちに正直に生きよう。たぶんそういう感じの映画。

【ママー!これ買ってー!】


グラン・トリノ (字幕版)
グラン・トリノ (吹替版)

スコット・イーストウッドは『グラン・トリノ』でエンディング曲歌ってたか作ってたかしてたからクルマ映画に出てるんだなぁアメリカのクルマ魂を父イーストウッドから受け継いだんだねぇ良い話、って思ってましたが『グラン・トリノ』でエンディング曲歌ってたか作ってたかしてたのカイル・イーストウッドじゃん。

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