《推定睡眠時間:0分》
ポケモン直撃世代なのでこの映画でもオープニングに流れる『めざせポケモンマスター』とこっちは流れないがあの頃はみんな歌えてたなぁ~の懐古を催す『ポケモン言えるかな』はだいたい歌える。ピカチュ~カイリュ~うんたたうんたたラッタコラッタうんたたたたんた~サンダ~スメノクラゲ! 全然歌えてない。
ゲームの方は1作目は赤・緑・青をやって金銀までは買っていたがそれからはやってない。アニメの方はポリゴン回を通過してるので(さいわい画面から離れて見ていたのでなんともなかった)ある時期までは見ていたはずだがいつの間にか見なくなってしまったらしい。
流行なので追ってたんでしょうけどとくに琴線に触れるところがなかったんでしょうね。その頃ゲームのアニメは他にもいっぱいやってたし。『モンスターファーム』とか『星のカービィ』は結構長く見ていた。
そういえば劇場版も観に行ってないなぁポケモンは。というわけで『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』が初のポケモン映画体験だ。『名探偵ピカチュウ』は観に行ったがあれは番外編なのでカウントしない(面白かったけれど)
さてその内容はといえばメイン登場キャラクターはサトシとカスミとタケシ&ロケット団ふたり+1匹、登場ポケモンはカスミの連れているトゲピーと他数体を除けば全部ゲーム版1作目に出てくるやつ。ストーリーもポケモンマスターへの道を歩み始めたばかりのサトシ一行がミュウツーと出会って云々なのでアニメの初期だけ観ていた人間には非常に入りやすかった。
ミュウツーはミュウの化石から遺伝子抜いて造られたバイオで言うところのタイラント的な最強ポケモン。最強なので頭もよく誕生即己の存在に悩み始めてしまう。ここはどこだ。俺は何者だ。何のために生まれてきた。アベンジャーズにもそういう敵が出てきたな。
10秒くらい悩んだ末にとりあえず生まれた研究所を破壊して途方にくれるミュウツー。そこにロケット団総帥のサカキ登場。俺がお前の人生に意味を与えてやろうと雑な甘言を弄して見事ミュウツーをゲット、プロテクターとは名ばかりのリミッターでミュウツーの能力を縛りながらケンタロスの乱獲とかポケモンコロシアムで荒稼ぎとか最強ポケモンをめちゃくちゃショボい仕事に使う。
こんなことのために生まれてきたわけがないだろうが! 気付いてしまったミュウツーはあっさりリミッターを外してサカキの下から去るのだった。
かつて研究所のあった絶海の孤島に降り立ったミュウツーは考える。俺は最強ポケモン。人間よりも強いポケモンを超えたポケモン。ならば…ここに城を建ててメイドを雇って「けつばん」的にチート作成した最強ポケモン軍団を使って雑魚トレーナーどもを呼んで俺TUEEEEEしよう!
最強ポケモンの考えることはよくわからんという話であった。
それにしても3DCGで描かれるキャラクターの動くフィギュア感。リアルだったりコミック的な方向じゃなくてオモチャっぽいキャラ作りがなされていて、こういうCGアニメの作り方もあるんだなぁとなんだか感心。
上映前の予告編でも流れていた『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』もその路線っぽいが(こっちはもう不安しかない)良かったすねフィギュアな質感、『名探偵ピカチュウ』みたいな可動域の多いリアル型のポケモンも別に嫌いではないんですけど、どっちが面白いかと言えばこっちのポケモンの方がオモチャ屋にディスプレイされてるポケモンフィギュアが動いてるみたいで面白い。
でも映画としては『名探偵ピカチュウ』の方が面白かったっていうかこれは対象年齢がもう少し低いんだろう。意外と、編集がタイトで見せ場の連続。でもやってることは孤島に城建ててメイドに世話させてるパワー型引きこもりが自分から呼んだ対戦相手にさんざん当たり散らしてちょっと反省するっていうだけなのでTVスペシャル版みたいな話のスケール感っすよね…その盛らなさが良いんだという向きもあるんでしょうけど。
ポケモンバトルも技出して食らって技出してみたいな単調さ。最終的には同型ポケモン同士が技なしルールで殴り合うだけになってしまう。ポケモンフィギュアが動いているところを見るのは楽しいが殴り合いだけっていうのはちょっと。ここは、フィギュア感がアダになった感さすがにあるぞ。
シンプルで慎ましい物語は嫌いじゃないですけどポケモンバトルまでシンプルを極めないでもいいよな。ゲーム準拠のシンプルさだとすればすごいですけど(面白いわけではない)
以下面白かったところ列挙。
・ギャラドスの分類がきょうあくポケモン(普通に生きてるだけの動物にその分類はないだろ)
・所持ポケのキングラーが怒りだしてしまいその巨大ハサミを必死に押えるモブトレーナー(ポケモントレーナー命懸けだなって思う)
・大時化の海をヒトデマン1匹で渡ろうとするカスミの鬼畜っぷり(せめて自己再生できるスターミーに進化させてからにしろ)
・石化したサトシを救おうと電気マッサージのつもりで電撃を浴びせるピカチュウのナチュラルな危なさ(死ぬ)
・ミュウツーの築城センスが最悪すぎる(PS『サガ・フロンティア』でアセルスが居た城みたいな感じ)
・ミュウツーの近所のポケモンセンターから女性職員を攫ってきてコスプレさせるオタク行動がキモすぎる(超能力でなんでもできるので使用人とかいらないだろ)
・ミュウツーの自分ルールと自分レーティングで格差ポケモンバトルを挑んでおいて相手が負けると勝手に失望する態度が酷すぎる(対戦したくないタイプの人である)
・結局ミュウツーは何がしたかったのかわからない(本人もわかってないから悩んでいるんだろう)
・コダックはかわいい
まあ馴染みのあるポケモンの面々がいっぱい出てきたら懐古厨それだけで面白いすからね。おもしろかったですよ『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』
それにしても野生のギャロップってどうやって生活してるんだろう。いつも燃えてるからすぐ山火事とか起こしてしまうだろうアレ。ギャロップ害のニュースとか流れてるのかあの世界では。ギャロップの群れが移動してくると農村の男たちがおーいギャロップが来たぞーって集まってドラ叩きながら追い払うとか…生き物と関わるの、大変。
【ママー!これ買ってー!】
もう10年以上旅してまだポケモンマスターになれてないんだからそろそろ諦めたらいいんじゃないの。
↓オリジナル版
この脚本家(故人)は子供向け作品でもシリアスだったり哲学的な内容を書く人だったりします。
ポケモン映画でも「ポケモンの登場により滅んだ“動物”の存在に気付いた科学者の話」をやろうとして没くらったそうな。
あと、テレビ版の最終回として「ポケモンと人間が戦争するようになり、サトシとピカチュウがなんとか止めようとする。しかし結果的に活躍したのは『お喋りニャース』だった。ニャースの通訳により両者は和解した」って話を構想したけど、ずーっと放送するようになったから作る機会を失ったとか…。(ニャースが喋る設定も、この最終回の為のものらしい)
えええ!そんなエピソードがあるとは知らなかったです…でもそれなら劇中でのニャースの描かれ方にも納得がいくというか、どの程度具体的な構想としてその幻の最終回があったのかはわかりませんが、そこに向けての伏線としての意味もあったんですねたぶんあれは…いや驚きました。ボケモンの他にもあの世界に動物がいた設定(これは構想に終わったのか、アニメやゲームの方でその後触れられているのか知らないのですが)というのも衝撃的です…
詳細リンクです。ドラクエユアストーリーとダブってる展開もあります。
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%B2%A1%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88