《推定睡眠時間:20分》
よくわかんなかった。シェイクスピアぐらい英語圏の基礎教養だと思われるがそもそもその英語圏に住んでいないし英語も出来ないのでシェイクスピアに触れる機会があまりない。舞台ならどうか。確かにシェイクスピア劇は有名俳優とかが出てるやつが年中やってる気がするのだが困ったどうしよう俺舞台も観に行ったことが人生でたぶん一度も無い。このジョエル・コーエン版『マクベス』は極めて舞台劇的な映画でほとんどライブ・ビューイングに近い。映画的な説明というかわかりやすさというがないので、観客にある程度のシェイクスピア知識を要求するところがあり、俺のようなシェイクスピア未開人にとっては時代背景とか状況設定などなど結構ちんぷんかんぷんなのであった。
お話がわからないなら目で見て楽しむしかない。美術は大幅に簡略化された細部や大胆なフォルムがなかなか面白い感じである。これも映画の美術っていうか舞台美術で、モノクロというのもあって表現主義的な書き割りスタイルなわけですが、舞台的なものを映画に持ち込んだのが表現主義なので一周して元に戻ってしまった。撮影はこのセットを中心になされていて風景ショットとかは基本的にないので史劇という感じはあまりしない。むしろ衣装やセットの汚しの無さやマクベス役がデンゼル・ワシントンという配役の妙が映画的リアリティを破壊して虚構性を強調するので、トータルでその世界観に浸るタイプの映画ではなくその舞台の上で俳優のお芝居を楽しむ感じになる。
えー、俳優のお芝居。困ったこれは困った、俺そういうのも善し悪しがよくわかんない。映画のお芝居でもよくわかんないのにしかもこれは心の声を大声で言うとか明確に舞台芝居なので更によくわからず…いや、デンゼル・ワシントンのまとう狂気のムードとかはわかりますよ。フランシス・マクドーマンドの怪婦っぷりとかさ。砂漠の魔女のモダンダンス風のパフォーマンスもおもしろかった。でも、ねぇ。それぐらいしか言えないからなぁ俺には…。
剣闘も迫力はあったけれども。しかし照明なども含めて舞台の撮り方だから…多少は映画でしかできないカメラワークとか映像トリックなんかもないではないけど基本的には舞台の撮り方だからなぁ。逆に舞台をすごい観てる人とかはこれをどう受け取るかっていうの気になりますよね。それこそ斬新さとかはまるでないわけでしょ、翻案含めて古今東西大小無数の『マクベス』が今までに演じられてきたわけですから。あくまで映画に限定すれば黒人マクベスはそれなりに冒険要素と言えなくはないとしても、『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』とかなんかそういう時代考証をあえて無視したモダン史劇みたいのって最近映画でも珍しくないし…まぁだからね、結局俺にはよくわかりませんでしたこの映画!
【ママー!これ買ってー!】
やっぱこういうの読んどかないかんのかね。でも読んで面白いものでもないんじゃないかなぁ。
シェークスピアだったら『タイタス・アンドロニカス』が面白い、前知識なしで読んだらたまげるよ
『オールドボーイ』の元ネタの一つでもある
え、じゃあ…何も調べないで読んでみます(オールドボーイ大好きなので)
「タイタス・アンドロニカス」はジュリー・テイモアが映画化してます(「タイタス」)。あらすじは概ね原作通り、でも時代背景とかかなり読み替えがあってそれなりに面白いです。余計な予備知識は要らないと思うけど、シェイクスピアの中でも殺し殺され最多賞みたいな感じ。
死体が多い方が見やすいのでそれ見てみます!