《推定睡眠時間:30分》
最近はとんと見なくなったがNHKをぶっつぶす党(通称)も一時期はなかなかの勢いがあったよね。あれはNHK解体っつー目的を超えてなにか若年層の変革願望に訴えるところがあったんだと思う。俺何年か前に銭湯行ったとき中学生ぐらいのガキ男子が兄貴みたいな奴にN国がいかに悪辣NHK(彼の世界観では)から自分たちを守ってくれるか熱心に語ってるの見たんですよ。兄貴は偉かったね、N国なんか単なるポピュリズムで中身なんかなんもねぇよってきっとわかってたんでしょう、ガキ男子の話を静かに聞きながら時折「それで、N国は実際に何をしてくれるの?」みたいなクリティカルな質問を繰り出す。真正面から否定するとあぁいうのにハマってる奴は意固地になって逆に信仰を強化するからカウンセラーにでもなったつもりでまずは話を聞いてやんないといけない。まったく大変ですよ扇動家の術中にハマっちゃうと、本人も周囲も。
とはいえそんな連中の一時的な台頭を招いてしまったNHKの詐欺まがいの強引な集金方法にもやはり問題はあるだろってことで同じような問題はこちらイギリスにもあり、本作主人公は公共放送BBCの受信料を支払いたくないばかりにBBCの映らないテレビを自作するぐらいのアクティブな義賊的変人、それぐらいならまだいいがある日突然美術館からゴヤの絵画を盗み出してきてしまい対BBC資金に充てるべく身代金を要求するのであった。原爆を作ってローリング・ストーンズの来日を要求した『太陽を盗んだ男』の沢田研二ぐらい「そんなこと!?」な要求である。
軽妙洒脱ないかにも英国的な小品て感じだったなこれは。見物は法廷に引っ張り出された主人公が検事の質問に答えるところ。この人はどんな時もユーモアを忘れないのでいちいちジョークを噛ませて返すわけですがそれで庶民連中で溢れた傍聴席「静粛に!」の声をガン無視して大盛り上がり、ジョークばかり言っているかと思いきや生活もままならない退役軍人の老人たちからも受信料を取るのはおかしいですよの正論も吐いたりして感極まった傍聴人連中はイギリス国歌を高らかに歌い出すのであった…ってすごいなイギリスの法廷、エンターテインメントだ。
なかなか突飛な話だがこれは実話なんだとか。アメリカの実話ネタ映画と違ってイギリスの実話ネタ映画は過剰な盛り付けがなくていい。ちょっとしたどんでん返しは落語の人情噺のようだ。主演ジム・ブロードベントの老いたルパン三世みたいな飄々としたキャラクター、ヘレン・ミレンの英国式恐妻っぷりもよかった。
【ママー!これ買ってー!】
とくに関連作的なものを思いつかなかったので。
こんにちは。
これ面白かったです。邦題に苦労しただろうなぁ。
私が思い出したのはこの映画でした。
いや、全く関連ないんですけどね…↓
https://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%81%AB%E4%B9%BE%E6%9D%AF-DVD-%E3%82%A8%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%A5/dp/B00313O3WO
原題『THE DUKE』ですからね笑
『人生に乾杯』も義賊的なお達者老人の映画ってことで確かに通じるものありますよね。