《推定睡眠時間:20分》
最近は税込み880円の高額パンフレットが当たり前になっちゃって昔のパンフレットといったら500円ぐらいだから観る前にとりあえず買ってましたけど最近はそういうこともなく本当に気に入った映画とか支援したい映画のパンフレットだけけ映画を観終わってから買うようになってなんだかなぁと思っているわけですがそんな時代にあって『ハングリー/湖畔の謝肉祭』の配給TOCANAのパンフレットは毎作600円の良心価格、それでいて中身が手を抜いているわけでもなく映画鑑賞のお供として欲しい情報はだいたい入っているわけですからありがたい限りということでこれも買ってから観るつもりだったのだがつい買うのを忘れてしまった。
もちろん上映後にもパンフの売店は開いてるから買うことはできる。それは事実だがこんな映画を観た後にパンフを買えるかと言ったら心情的に買えない。買ってどうするのだろう? だいたいちょっと恥ずかしい。「え! 買うの!?」とか店員さんに思われそうで…思わないでしょうけどね! 知ってるんだそれも知ってるんだしかし! それでも! 何かが俺をパンフから遠ざける! 何だ…これはなんだろう…もしかしてもしかしてだけど…しょうもない映画だったんじゃない? うんしょうもなかったすごく!
だがあえて言えばそれも知ってた! なにせこれはTOCANA配給の洋画なわけですから。TOCANAの洋画なんかすごい面白いやつは論外として普通に面白いやつが来ちゃっただけでも「TOCANAなのに!?」って思います。そんなTOCANAのポンコツ映画シリーズの最新作に当たるのが本作ということでそうだねぇこれは比較的Z級! あくまでも比較的だから今までのTOCANAポンコツ映画がこれより断然面白かったということはないがそれにしてもだよ! なんなんですかこれは!
これはもう…パンフレット買うしかないね! 今度別の映画を観に行った時に買います! TOCANAパンフレット的には恒例のお前誰だよっていう監督のインタビューが載ってるらしいんでそれは見たいよ! だってないでしょ今後この監督のインタビューが商業媒体に載ることとか! めちゃくちゃ貴重なインタビューですよ! 貴重なだけで価値はないかもしれないけど知りたいしね! こんな映画作っといてお前…お前どういう神経してんだよっていうのは知りたいでしょ! さすが知的好奇心を刺激するTOCANAの映画とそのパンフ!(※買ったんですが監督インタビューはなかったです。代わりに大学の先生のカニバリズム解説がありました)
全然映画の内容の感想に入って行きませんけれどもこれがどういう映画かっていうとこれぐらい本題に全然入らない映画でした。殺される用の若者たちが処刑地には足を踏み入れるまでがまぁ長い長いしかもとにかく会話がどうでもいい。やたらキスやらペッティングやらで尺稼ぎもするわけだがそれがまたもう本当にヌルいくてですね…いかんよ言葉がもう「本当に」とか「とにかく」しか出てこなくなってしまったよ! しょうがないだろとにかく本当にそういう感じのポンコツ映画なんだから!
で処刑地に入ってからもひたすらショボイ。これはオマージュなのだろうがオマージュの仕方が雑すぎてむしろオリジナルというトンチキ映画特有のアート性を獲得してしまっているわけだが殺人覆面一家が殺しまくり食いまくるという感じではまったくない。いや食うけどね! 生きた人体に直に噛みついちゃうぐらい食人については躊躇いのない家族ですけどだったらもっと本気で食おうとしろやっていうか。そんな食いっぷりでは飛ばし邦題はともかく原題『CANNIBAL LAKE』が泣くぞ。泣きはしないか…。
演技がポンコツなのはそんなもの誰も期待してないからまぁ別にいい。カメラワークとかは素直に酷い。これはこの監督の作風なのか単に節約撮影術なのか知らんがカットを割らない。たとえばライターでタバコに火をつけてそれを床に広がるガソリンかなんかに投げてバーッと燃やすみたいなシーンがあるとしましょう。よくある映画だとライターを持ってる人を撮ってそれからタバコに火かつく瞬間をアップで撮って床のガソリンを撮ってそれからタバコを投げる姿を撮って…って風にカットを割ってシーンに緊張感とかリズムを作るじゃないですか。この映画それ全部ワンカットでやるんだよ。構図にこだわってとか長回しでとかそういうことじゃなくてカメラの置ける位置にカメラ置いてそこからそのシーンで起こることを全部役者にやってもらう。まぁそうだねそれも利点はあるねその撮り方だとたぶん準備に時間かかんないから撮影めちゃくちゃ早いと思います。ただ仕上がった映画を観てる方としては全然面白くないけれども!
音響もこれ整音とかやってんのかちゃんと。だいぶ音のバランス悪かったぞ大丈夫か。まぁでもそんなの気にする映画でもないか…すごいなと思ったよ、予告編を観るとこんな映画でもそれなりに(あくまでもTOCANA基準で)面白そうに見えるんだもんね。あれは予告編のプロの仕事ですよ。ボロカスに言ってますけどなんだかんだ楽しめなかったわけじゃない。プロに騙される楽しさってあるじゃないですか。マジックショーとかそうだよね。今の映画興行は本物志向でそういう見世物的な楽しさを感じることはあまりないから、観終わった後には苦笑いしつつ、でもちょっとだけええもん見せてもらったわって思ったよ。こんなに何の驚きもないどんでん返しを堂々と見せられたら逆に感服するしかない。
※あとフェス女の人が謎に美人で謎にクセの強い芝居をしてた。
【ママー!これ買ってー!】
ポンコツ映画にはポンコツ映画をぶつけんだよ!