《推定睡眠時間:30分》
それが良いか悪いかはともかくとして驚くことは間違いない。予告編も見ずにすごい血の出るスプラッターという評判だけを頼りに映画館に入ったのであれが出てきた時にはそういうやつなの!? 感すごかった。思うでしょう、凶悪犯罪者たちと同乗した警官たちのバイオレンスバトルが血みどろなんだって。それはまぁ確かにそうなんですがそこも血みどろなんですが…っていうかどうなの? これは書いていいの? ムズくない? ネタバレなしで書くの。そんなもんお前の裁量なんだから勝手にやれよと言われたら何も言い返せないんだから言わないでよそういうこと…!
まぁでも途中でダイナミックな「そっちなの!?」がありますよって書いてる時点で半ばネタバレしてるようなものだわな。だから気にせずネタバレっていうかこれはあれだなって思ったの書いちゃうけど『バイオハザード コード:ベロニカ』でした。『ベロニカ』にさ、これやった人じゃないと伝わらないことは重々承知の上なんですがノスフェラトゥっていうボスキャラ出てくるでしょう。あれっぽいのが登場するんだよ『オオカミ狩り』。でそいつが超怪力で人体をギッタンバッコンと肉塊に変えていくの、普通は人体から出ない量の血飛沫を撒き散らしながら。
びっくりしたよそんな伏線なかったんだもん最初の方。そりゃ怪しいなみたいな動きはありましたよ、このフィリピンから韓国への貨物船を使った囚人護送計画の裏には何かが隠されている的な。でもそれははーんこれは警察の中なんかにも裏切り者がいてそいつが囚人を出しちゃうんだなとかそういうのだと思うじゃないですか。思ってたら『ベロニカ』のノスフェラトゥみたいなのが出てきて実はこの船には極秘で人間生体兵器を輸送していたのだとか説明されるんだもん。
もういろいろ謎だよね。まず囚人と一緒にノスフェラトゥ運ぶ意味が全然ないじゃん。完全にそれ別枠で輸送すべきだよね、管轄とかも違うし。それでノスフェラトゥが暴れ出してからは鎮圧と隠蔽のためにノスフェラトゥ所有してるらしい製薬会社(やっぱ『バイオ』だって!)が改造兵士をヘリで送り込んでくるんですけど、この規模の大殺戮やらかしといて無理じゃない隠蔽工作? あとこれはメタ的な話ですけど、なんで死を超越した生体兵器とそいつから抽出培養かなんかした超人エキスが既に開発済みの設定なのにゾンビ出さなかったの? どうせ血まみれなんだしそこまで設定作ったら警官たちとの戦いで死んだと思われた囚人たちが超人エキスでゾンビ化復活! そこに乱入するノスフェラトゥと製薬会社の改造兵! とかにした方が絶対面白かったよな。そんなことをしたらそれこそ『バイオハザード』以外の何物でもないとしても。
えー、まぁでも、これを知った上で映画を観る人は残念ながら新鮮な驚きをこの映画から得ることは難しいと思いますが、サプライズは映画の重要な面白要素ですから囚人バイオレンスと思いきや超人バイオレンスというサプライズは悪くない。そこは悪くないがしかし、サプライズをちょっと意識しすぎで逆になんか締まりのない映画になっていやしないかとは思う。こう、いかにも主人公っぽい感じで警官が出てきたりするじゃないですか。そいつその後すぐ死ぬんだよ。主人公かと思った人がすぐ死んだらびっくりするよな。懐かしの『キューブ』もそういうことやってびっくりしたし先が読めなくなって良かった。
でもこの『オオカミ狩り』は主人公かな? 惨死! じゃあこっちが主人公かな? 酷死! だったらこっちがしゅじ爆死! みたいのを約2時間の上映時間中6回ぐらいやってた。確かにびっくりはする。びっくりはするが主人公ポジションが片っ端から死んでいくので話がなかなか先に進まない。いや、いいよそれでも? 話が進まない代わりに2分に1回ペースの人体破壊と血飛沫があるから面白いけれどもさ…待ってごめん面白かったわ。いいや俺これで。たくさん人死んで血が飛んで面白かったです。
いいよねこういう元気な映画は。最近はほらスプラッターの代わりにゴア映画っていう呼称がよく使われるでしょう。だいたい同じようなもんだろうけどこれはオカルティズムとエゾテリスムの違いみたいなもので、ゴア=残酷だからゴア描写といえば血が飛ぶなどの他に内蔵がどろんと出ちゃうとかも含む。対してスプラッターは血飛沫の意ですから狭義には内蔵でろんは含まない。血がブワァァァアアって吹き出すのがスプラッター描写だよね。北村龍平なんかも言ってたけどさ、まぁ内蔵系のゴアってぐちゃぐちゃしてるから爽快感より気持ち悪さが強くて、それが観たいってときもあるけど血がブワァァァアアの陽気なスプラッターを観たいってときもある。
これそういう気分のときの映画だと思ったね。こう、後腐れないしさ。もう隠してもしょうがないから書くけど実は隠れ超人だった一人の囚人を除いて船に乗り合わせた囚人警官医療者技師船員総計50人ぐらい全部死ぬから。いいじゃないですか、みんなブッシャブシャ血を吹いて死にましたちゃんちゃんみたいな。明るいストーリーの映画では別にないけど観終わったら気分爽快だよ。人の死に様と血飛沫を楽しむ映画だからサスペンスもなにもあったもんじゃないしアクションも肉弾戦は殴り合い一辺倒、銃撃戦はマズルフラッシュの嵐でごまかしていかにも工夫がないが、まぁいいんだよそういうのは、そういうのはちゃんとした映画がやってくれることでこの映画はちゃんとした映画ではないんだから。
そんな感じだったね。あ、あとこれ続編ありまーす。今度は(も)戦争だッ!
【ママー!これ買ってー!】
これももう20年以上前のゲームなんだなぁ。っていうか『オオカミ狩り』の監督に実写版『バイオハザード』リブートシリーズの続編撮ってほしいわ。
日本版予告編では人間兵器の存在がほぼスルー。なので韓国版『コンエアー』だと思って見に行ったので、途中から『プレデター』になったのには結構びっくりしましたね。日本版予告編ではラスボスっぽく描写されていたイケメンキャラが頭をアレされる場面辺りで、数人のお客さんが退出していって結局戻ってきませんでした。
個人的にはそのサプライズは全然ありだったので楽しく見ていたのですが、続編を匂わせて、一本の作品としてきっちり風呂敷を畳もうとしない終わり方にはガックリきました。昨今のこの風潮は本当に勘弁して欲しいところなのですが…
俺も『コン・エアー』だと思ってました、配給にまんまと騙されて笑
ラストはなんか『ユニバーサル・ソルジャー』みたいになってましたね。売れたら続編で更に儲けたいという気持ちはわかるんですけど、でもあの船が最後に爆破されてみんな死亡とかの方が満足感あったよなぁとか思います。っていうかそうだったら大傑作だった