バカな大人の本気ギャグセッション映画『劇場版 僕とロボコ』感想文

《推定睡眠時間:0分》

わっはっは! くだらねー! 面白かったわ『僕とロボコ』! 最初から最後まで笑いっぱなし! 原作漫画もテレビアニメ版(3分アニメらしい)も観たことないけどなんの問題もなかったわ。だって某国民的ドラえもん漫画をベースにしたパロディギャグものだもんな。しかも劇場版ということで今回は往年のジャンプ漫画・アニメのパロディがテンコ盛りだ。ぼく中年、下手したら今どきのジャンプ読者ヤングパーソンよりも楽しめてる可能性あるよ。

こんな映画にあらすじは不要と思うが一応書くと…時は西暦20XX年、超高性能家庭用メイドロボが普及し主人公の平凡な小学生ボンドくんのもとにメイドロボ・ロボコがやってくる。破天荒な言動のロボコに翻弄されつつも楽しく過ごすボンドくん。だがそんなある日、ボンドくんの前にケンシロウを思わせる謎の原哲夫型ロボコが現れる。いやそれだけではない。尾田栄一郎作画風のロボコ、お色気路線のジャンプラブコメ風ロボコ、さらには昭和ギャグ漫画風の二頭身ロボコなどが次々と現れたではないか。いったいなにが起こっているのか。劇場版だからキッズだけではなく中高年客にも訴求するための策略か…? ロボコたちが闘いがいま、始まる!

このマルチバースからやってきたロボコたちであるが原哲夫ロボコの声優はアニメ版『北斗の拳』においてハイテンション次回予告で強烈な印象を残した千葉繁。なんと豪華なと思っていたらそれどころではない。ワンピース型ロボコはアニメ版『ワンピース』でルフィを演じている(という説明はいまさら無用だろう)田中真弓、お色気ラブコメロボコは上坂すみれ、そして昭和ギャグまんがロボコは野沢雅子ということで少々時機を逸した表現だがまるで『アベンジャーズ』である。同日公開の某探偵コナンがトリプルエーの大作コンテンツであるのに対してこちら『僕とロボコ』は上映時間も65分とコンパクトな低予算B級コンテンツだが、声優の豪華さでは某探偵コナンを遙かに凌駕していると言っても過言ではない。

もはやその声優チョイスが面白いのでそれだけでオッケーという感じなのだがとにかく全編がギャグとパロディ、掲載誌が違うが『スーパーマリオくん』みたいなコロコロ・ボンボン系のギャグ漫画を彷彿とさせる1分1~3回のギャグ高回転率で、主人公のボンドくんがすべてのボケにツッコミを入れていく作りは『銀魂』というよりは『花さか天使テンテンくん』、俺はその世代の古老なので懐かしさもありガッツリ笑った(てか絵柄が似てるから『テンテンくん』の小栗かずまたの漫画かと思ってた)

ちなみにパロディギャグはお子様にも見せられるようにマイルド調整を施した『幕張』のようなものだが、『幕張』作中で木多康昭は同時期にジャンプ誌上で『テンテンくん』を連載していた小栗かずまたをイジリ倒しリアルにガチ切れされていたので、『テンテンくん』と『幕張』が長い時間をかけてこの『僕とロボコ』というまったく関係のない漫画の中で和解したんだなという気がしてその点ちょっと感動的である。あとマイルド調整を施した、と言っても最初の方に出てくる「ネットで炎上して公開中止になった映画もあるから炎上しないように大人しくしてましょう」なんてネタは炎上とは少し違うのだが吉沢亮主演の『ババンババンバンバンパイア』が吉沢亮が泥酔して居住マンションの隣の家に侵入した事件(※示談成立し不起訴)により今年1月に公開延期になったばかりなので、偶然かもしれないがなかなか攻めたネタで爆笑しました。『ババンババンバンバンパイア』、再公開日がやっと決まったようなのでよかったですね!

まぁいいじゃないのこういうの。くだらねーと最初から最後まで笑って65分。昔の東映アニメフェア上映作を思わせるホントに軽い娯楽しかない娯楽アニメ。最近はアニメ映画もクールジャパンだとか言われたり稼ぎ柱だから映画館が王様扱いしたりして、それで作り手の方もなんだか作家然としてきてしまったし、観客の方も「これはちゃんと観ないといけないアニメなんだ! 盛り上がらないといけないアニメなんだ! 考察しなきゃいけないアニメなんだ!」みたいな、なんか肩肘張った変な感じになってきてると思う。

でも俺は子供向けのアニメ映画なんてこんなもんで良いと思うよ。教訓も感動も美麗作画も別にいらないんだよ。映画観てる間たのしかったらそれでオッケー。そういう良い意味での子供騙し感がこの劇場版『僕とロボコ』にはあって、なんか、よかったね。ユーモアのわかる大人たちのジャムセッションの如し子供騙し。野沢雅子さんのセリフはたぶんほぼアドリブ。あーくだらなかった!

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