のっけから率直にゆーてまうと、前作より明らかにタイクツで出来の悪い感アリアリの二作目です。
でもって、まだ終わらない。三部作らしいので次で一応ハナシは終わるが、こんな出来の悪さでもそれなりに人気は続いてるらしく、前日譚やら後日譚やらがまだまだ刊行予定らしい。
ここまで来たら次も読むけど、そっから先はもういいかな…。
(10/25追記:映画版観た→映画『メイズ・ランナー2:砂漠の迷宮』の感想を原作と比較しながら書く!
一応、あらすじ書いとく。
前作の巨大迷路から脱出してさぁ安心と思った矢先、今度は灼熱の砂漠に放り出されてしまう少年たち。
なんでも迷路も砂漠もWICKEDなる組織が少年らを対象に行ってる謎実験の一環らしく、その砂漠横断という課題をクリアーすれば少年たちは助かるという。
ってなワケでしぶしぶ砂漠横断の旅に出る少年たちだったが、ゾンビ病の感染者に追われたり、少年たちと同じように迷路に入れられてた少女のグループに刃を向けられたりと散々な目に遭うのだった。
いやしかしだな、イイ歳こいてジュブナイル小説にガタガタ文句抜かすのどうかと思うが、それでも前作もっと面白かったって、絶対。
巨大な迷路がありましてな、記憶を失った少年たちが閉じ込められましてなとゆー設定一本で物語をグイグイ引っ張ってくワケで、それで読ませるだけの設定の面白さあっただろうと。ビジュアル面でも面白い感じだし。
翻って二作目になると迷路のメの字も出ないで砂漠が舞台になるが、コレ巨大迷路と比べると明らかに引きが弱いだろ。
そのあたり書きっぷりの問題もあると思え、一作目だと迷路とか少年コミュニティの描写とかそれなりにやってた気がするが、コッチは精々「灼熱の太陽が降り注ぐ砂漠…」くらいのレベルなので、読んでて物凄く面白味の無い感じだったりする。
ただでさえ迷路に比べてインパクト弱いんだから、せめて砂漠がどんな過酷なトコかぐらいはちゃんと書けよと思う。
そのうち少年たちは砂漠に屹立する廃墟の街に辿り着く。ソコにはゾンビ病(太陽フレアとかいう)の感染者が放逐されておって、わー面白くなりそう! と思ったが、少年たちとゾンビの死闘とかそんなんほとんどやらんでさっさと通り過ぎる。
ゾンビ病にかかると次第に理性を失ってって、最後はウガーと手当たり次第に破壊に手を染めたりするようになる。一応設定として、世界中の人々がゾンビ病にかかって大混乱! とゆーコトがセリフで語られるが、だったらゾンビがどんな悲惨かつ危険かぐらいは展開の中でちゃんとやれっての。
少年たちとゾンビ集団が対決する場面はあるにはあるが、物凄く手ぬるくて緊張感もクソもあったもんじゃないし、どいつもこいつも修学旅行で浮かれたガキぐらいの行動しか取らないので、ゾンビ病の蔓延で世界終わっちゃった感とか皆無に近いぞ、こんなもん。
それどころか症状の軽い、まだ理性の残ったゾンビ病患者が新キャラクターとして出てきて、すぐさま少年たちと意気投合。コイツら食いもんなくて死体食ったりして生き延びてる(とセリフで言っていた)ってんだから、もうちょっと少年たちと諍いがあってもいいんじゃなかろうかいね?
四文字言葉が「シャック」なる造語に置き換えられるくらいなので、なんやお子様に色々配慮したのかもしんないが、コレはちょっとヌル過ぎんだろう。
前作はもうちょっと切迫感あったと思うんだけどなぁ。
せめて、砂漠の廃墟でのゾンビ生活にでもページ割いてくれれば良かったのに、砂漠の廃墟で暮らすゾンビたちって悪くない設定なのに…と思うが、そのゾンビ病患者の新キャラすらロクに少年たちと絡むコトなくさっさと退場してしまうので、なんかもう色んな意味でダメだと思うぞ。
そもそも冒頭からしていかにもタイクツで、前作の直後から始まるが、ぶっちゃけどうでもいいコトの連続。
ちなみにココでも新キャラのテレパス少年が出ててきて少年たちと行動を共にするが、50ページも進むともう存在が忘れられてしまう。
最後の方で唐突にハナシの前面に出てくるが、なんせこの人についてロクに描かれてないんで「だから何?」感ハンパないのだった。
そういえば、迷路を脱出した少年たちの一人に名前が与えられ、コイツがどうハナシに絡んでくるのかと思ったが、次のページくらいで死ぬ。
殺されるためだけに即席キャラクター作るなんて…なかなかヒドイ作劇である(実は生きてて少年たちと共に砂漠を進むが、いつの間にか消えてしまった)
キャラクターといえば、前作のメインキャラクターは続投。
前作の終わりで後先考えずに重要そうなキャラクター殺してしまった為、どうでもいい(でも俺は好きな)脇役だったフライパンがやたら喋るようになった。喋るようになったが、それだけで別に大した存在意義はない(そしてすっかりキャラが変わっている)
しかしもっと問題だと思われんのは、ミンホとかニュートとかいう前作でハナシの推進役だったヤツらがハナシの半分も過ぎるとこぞって消えてしまい、半ばモブと化してしまうあたりなのだった。
全体として、無意味に登場人物だけ増やして後はほったらかすような作りになってんのだ。
こーゆーのはひたすら意外性と伏線をバラ撒くコトだけを狙ったと思われる散漫で場当たり的な展開の弊害だろうが、別にそれで面白くなるワケでもない。
ゆーても前作の面白かったトコの一つとして迷路の中での少年たちの微妙な均衡を保った人間関係とかあったが(『蝿の王』を参考に書いた、と訳者あとがきにあった)、そーゆーのは無きに等しく、代わりに主人公の恋愛がどうとか、恋人役のテレサの正体はとか、謎組織WICKEDの狙いは…っていうのにページを割く。
そのくせ種明かしは全部次に持ち越しなので、消化不良もいいトコなのだった。
気の利いたセリフとか一切ナシの、それどころかキャラクターの書き分けすら危うい会話なんかも超絶ダメに思え(前作はちゃんと書けてたのに…)、最後に出てくる電球ゾンビ(体中に電球付けて発光していて、そこが弱点とかいう設定)に至っては子供騙しにすらなってねぇだろバカってなもんだ。
この電球ゾンビと少年たちとの戦いがクライマックスだったりするが、「彼女は発光人間の攻撃をジャンプして避けた」みたいな適当なコトを普通に書くやる気の無さ。
こんなもんジュブナイルだとしてもイイ歳したオッサンが書くコトかっつーの!
もう良いトコ面白いトコとか基本無いと思うが、でもまぁアレか、だいたい190ページくらいまでいったあたりで急に筆が乗りだして、ちょっと面白くなってくる。
少年たちが砂漠の嵐に遭遇して、ゾンビ街に駆け込むこのあたり、なんとなく気分が高揚する感じあんのだ(その後はまったく面白く無くなるが)
あぁあと、恋人に裏切られたりゾンビ殺したりして段々荒んでくる主人公くんが良かったかもしんない。
ゆーてもその内面描写も淡白でユルいので、ソコもっと強調すりゃ良かったのに…とも思うけど。
そんな感じかなぁ…なんだ、気合の入った見せ場とか基本ないんで、このまま行ったら映画の方もすげーつまんねぇと思うよ。
砂漠とか廃墟とかゾンビとか、映像にしたら多少マシになるかもしんないが、少なくとも文字で読む限り魅力ゼロ。
とにかくこの著者の方はもうちょっと筆力を…あともうちょっと考えて書いた方がいいんじゃねぇかな…。
(人のコト言えるのか俺は)
追記:映画の予告編観たらそこまで悪くなさそうに見えてきた。この原作からあの映像引き出すんだから、ハリウッドの映画屋さんはスゴイっすね。
【ママー!これ買ってー!】
一応貼っとくが、やっぱつまんないと思うぞ。
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