キューブリックもの。
テンサイ映画監督スタンリー・キューブリックをネタにしたフィクション映画とゆーのは『スタンリー・キューバ。』(2007)とか『アイ・アム・キューブリック!』(2005)とか、なんかやたらある。
フィクション映画によく出てくる映画監督とゆーとオーソン・ウェルズとかいる。革新的かつウルトラスタイリッシュな画作りをしてた映画監督とゆー点で共通しててなんかオモロイが、どっちもやたらと(見た目からして)胡散臭いトコも共通してるから、なんかこうキャラクター的に使いやすいんだろな。
えーと、アポロ陰謀説&キューブリックもの映画『ムーン・ウォーカーズ』観てきたんでふわふわ適当に感想書きまーす。
ネタバレらしいネタバレも無いが、普通にネタバレしまーす。
あらすじ
「アポロ計画がもし失敗したらどうする! もし月面着陸できなかったらどうする!」
「はぁ、タイヘンなコトになるんじゃないすかね」
「だろ!? だから、保険をかけとくんだ! 失敗してもテレビで月面着陸映像を流せるようにするんだ?」
「はぁ、どうやって?」
「…キューブリックだ! キューブリックに偽月面着陸映像を撮らせろ!」
ってな命を受けてキューブリックに接触を図るCIA局員ロン・パールマン。しかしベトナム帰りで絶賛PTSDに悩まされ中、作戦どころではないパールマンは大チョンボ。
なんと、間違って貧乏バンド・マネージャーのルパート・グリントに偽映像の作成を依頼してしまう!
オマケにルパート・グリントが借金してたギャングまで付いてきて面倒なコトになったので、パールマンはもう全部諦めて楽しくトリップするのだった…。
結論からゆーと面白くなかったが、別の意味で面白かったのはこの映画、監督がCF出身だからか一枚画はキマってるがストーリー運びと脚本が面白くないとゆートコで、俺はキューブリック映画自体がそもそも好きじゃなかったりするが、なにがつまんないってストーリーがつまんない。
そのあたり、狙ってか偶然か知らんがキューブリック的なスタイルを踏襲してるよーであり、面白くないけど面白いなぁとゆー、なんか変な印象受けんのだった。
とにもかくにも画で勝負! とゆーのはキューブリックに倣ってもあっかもしんないが、ドラッグの映画だからってのもあんだろなぁ。
月面着陸の映像はキューブリックがスタジオで撮影したもんだった! ってな都市伝説を下敷きにした映画だったりするが、意外と映画の力点はキューブリック(じゃなくて映画の中じゃヒッピーとヤマ師だったが)がどうリアルな捏造映像を撮るか、なんてトコに置かれておらず、力が入ってんのはドラッグとPTSDの幻覚映像。
なんか色んな幻覚あります。幻覚いっぱい、みんなラリラリ、弛緩しまくった脱力な展開はドラッグ映画なので当然だったのです。ヘロヘーロ。
月面着陸捏造映画といえば職人ピーター・ハイアムズの『カプリコン・1』(1977)。あの映画サスペンスフルで見せ場いっぱいで面白かったが、そんなワケでコッチには緊張感もクソもない(いや、クソはあった。ジミヘンのレコードの上に大便が乗る。うひゃひゃ!)
果たしてドラッグとキューブリックと捏造映像がどう関係するのか? とゆーと別に関係無いが(つかキューブリックに至っては全く関係ない)、そんなちゃんとしたまとまりのある脚本とか作ろうとするヤツはバカなんである。
あるよ? マリファナ。あるよ? LSD。あるよ? もちろんヘロインだって。
ま、気張らないでリラックスしてこーぜ。関係なくたっていーんだよ、捏造とドラッグ混ぜたら超面白そうじゃーん、うひゃひゃ。
なんかそんな映画なのだった。ペローン。
なので、なんかあそこつまんなかったな、ココつまんなかったなと言うだけ野暮っちゅーかバカに思えてくるんで、言ったりしないのだ。
だいたい半分ぐらい寝てるし、俺。
なに、寝てるヤツがつまんねぇとか言うな? そんな堅苦しいコト言わないでさぁ、リラックスしよーぜ、ははは。
ホラ、みんなハッパでも吸ってふわふわする映画なんだから、睡眠鑑賞もそう失礼な観方にはあたらないって。
アレだな、キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968)も当時の観客はLSDやってラリった状態で観たという。
LSDは中毒性が報告されてないが、しかし我が国では違法薬物には違いない。睡眠による夢(幻覚)とリラックスの導入、これなら法にも触れないし健康にもイイ。なによりキューブリック・オマージュの『ムーン・ウォーカーズ』鑑賞の王道なのだ。
そういえばドラッグ・ライターの故・青山正明はその華麗なるドラッグ遍歴の末に「睡眠こそ最強のドラッグだ!」とゆー境地に辿り着いたという。
どうでもいいが、貴重な証言である。
ははは、つまり、そーゆー映画さ!
まぁそーゆー映画だから、肩肘張らずに寝ながら適当に観よう。
別に面白くないけど、トリップ映画は面白くちゃいけない。『2001年宇宙の旅』がトリップ映画足りえたのは意味不明であんま面白くなかったからだ。
キューブリックの精神とハッタリ手法に忠実な映画なんである。ってコトは、ナイスなドラッグ映画ってコトだな!(?)
ただ一つだけ言っておくけど、ラスト、主人公たちは月面映像(宇宙人とか出てくる)の捏造作戦を放棄して南米に逃げ込む。
そこでテレビ画面を見て驚愕。なんと、失敗したハズの捏造映像がテレビに映ってるではないか?
「ゴホン。諸君、アレは捏造映像じゃない。アポロは…本当に月に行って映像を撮ったんだ」
えー! と驚く主人公たち。
アポロが月に行ったのは誰でも知ってるんだから、これオチになってないだろ。と思うが、要するにそういう大事そうなトコすら気にする映画じゃないのだった。
それ、どうなの?
(文・さわだきんたま)
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アポロが捏造ならロズウェルの宇宙人解剖ビデオも捏造である! とゆー衝撃的な告発を行った映画(知ってるよ!)
コチラはもっと地に足が着いた映画で、なんせ製作国がドイツとイギリスなので、一言、地味。
でもどうやってロズウェル解剖ビデオ撮ったのかなーとゆーのをセミ・ドキュメンタリーっぽいタッチで色々見せてくれるんで、結構楽しい。自主映画あるあるみたいな小ネタもわりかしあり、映画制作に興味がある人なら楽しさ倍増。
ギャングが絡んできて主人公たちが危ない目に遭うのは『ムーン・ウォーカーズ』と同じだったりした。
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