『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』はケッ作だぞ感想書くぞコラァ!

ド~ラえ~も~ん~♪ ド~ラえ~も~ん~♪ ふんぱからった~ふんぱからった~ド~ラえ~も~ん~♪
やぁこんにちは! 何か違う気はしつつもついお馴染みのアレを歌いたくなっちゃった俺だ! みんな元気にしてたかな! そうか! よかったな!
今日は『映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』という映画を観てきたぞ! みんなが楽しみに待ってたアレだな!
新・映画ドラえもんとしては11作目、リメイク作品としては6作目のこの映画、もちろんオリジナルは『ドラえもん のび太の日本誕生』(1989)だ! やっほーい! 待ってましたぁぁぁぁ! おえぇぇぇぇ!

なんだかいつもと文体が異なるのはお子様に配慮しているからだ! ドラえもんは子供のもの! 映画だって子供のもの! 映画にわかはお子様にやさしく楽しくそしてちょっぴりタメになるナンバー1お子様向け映画ブログを目指します!
お前らヒカキンなんてもう飽きたろう! あんなのほっといていっぱい映画観てついでにこのブログも見よう! 見なさい! 見ろ! そして広告を踏みまくり俺に広告収入を寄越せ! このクソガキどもが!

しかしアレだな、新映画ドラえもんは結構DVDなんかで観てる方だと思うが、映画館に観に行ったのは実はコレがお初なのだ。別になにか理由があるワケでもないが、なんとなく後回しにしてるうちに毎回見逃す。
セルフ穿った見方をすりゃ、やはり俺は旧映画ドラえもん原理主義者だからというのはあるんじゃないかな。藤子F先生が原作・脚本としてクレジットされてた記念すべき映画ドラえもん一作目『のび太の恐竜』(1980)~『のび太とネジ巻き都市冒険記』(1997)までの旧映画ドラえもんは文句なしに面白い(もちろんF先生が病気のため関わっていない『のび太のパラレル西遊記』(1988)も含めてだ!)。今でも毎週どれか一本はレンタル屋で借りてきて観てるくらいだし、F先生死後の『のび太の南海大冒険』~『のび太のワンニャン時空伝』(2004)だって別に嫌いじゃない。
『のび太とネジ巻き都市冒険記』までの旧映画ドラえもんはちょうど俺が小坊くらいの頃にやってたんでだいたい映画館で観ている。しかし新映画ドラえもんは高校生ぐらいになってから始まったんで映画館では観ておらず、ドラえもんなんて卒業したよバカ野郎とクソ気取ってたのもあるが、やはり声優はもとより作画も演出もシナリオの思想も旧映画ドラえもんから様変わりしてまったんで違和感が拭えなかったとゆーのはあるのだ。たぶんな!

そんなワケで初めて映画館で観た新映画ドラえもんだったが、いやいや、おいおい、泣かせるんじゃねぇ…泣かせるんじゃねぇよコノヤロー! バカヤロー! ドラえもーん! それが率直な感想だ!
だが何故だ…何故なんだ! 分かってたハズじゃないか! お前はオリジナルをいったい何回観たと思ってる! 展開もセリフも音楽のタイミングもだいたいは頭に入ってるハズじゃないか! 今更のリメイクのいったいどこで泣く必要がある! どうなんだ! 答えてみろ貴様!
その答えは…答えは! …ぜんぜんわからん。なんかきっと疲れてたんだろう。あと胃がとても痛かったな、胃が。

いやね、この『新・のび太の日本誕生』ね、よく出来てんのよコレ。ホラ新映画ドラえもんって隔年でオリジナルシナリオものとリメイクものやってんでしょう。ほんで、オリジナルシナリオものはこれが新しいドラえもんだぜっつってどんどん新しいコトやってみる(原作漫画オマージュを適度に含えながら)。これはまぁどれも大体評判いいし、なんか吹っ切れてて面白いよね、俺みたいな原理主義者でも。
んでリメイクだ。リメイク。今回の含めて今まで6本作られてるが、コッチは結構ファンの人の目が厳しい。とても厳しい。なんにせよ原作がある映画っつーのはクソうるせぇファンの小言が付き物ではあるが、それ差っ引いてもちょっとヒドくないか…と思うトコはあったりする。
最強にヒドいと思ったのは『のび太の魔界大冒険』(1984)のリメイク『のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い』(2007)だったが、なにを思ったかこの映画、魔界大冒険と言っといてオリジナルじゃ20分くらいあったワクワクの魔界冒険シーンをほぼ全部オミットしてしまっていた。そりゃないだろう! 異界での冒険が観たくて映画ドラえもん観てたりもすんだぞ俺は!

そらまぁ新しいスタッフが新しい解釈でどう作るかとゆーのがリメイク映画の面白いトコだろうと思い、んで『のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い』に関して言えば脚本が和製ダイハード小説『ホワイトアウト』の真保裕一なので、つまりプロの映画脚本家も映画ドラえもんと深い関わりのある人もシナリオ作りに入れてないのだ。大胆な変更が為されて当然っちゃ当然だ。それが面白いと言えば面白い。
でもだな…旧映画ドラえもん原理主義者としちゃやっぱ納得いかんのさ。いいよ別に、いいよ。いいけど、新しいだけの映画ドラえもんがやりたかったらそもそもオリジナルシナリオでやればいいってワケで、リメイクとしてやるからにはやっぱオリジナルのエッセンス残さないと意味ねぇじゃん。
で、これまでの新映画ドラえもんのリメイクものっつーのは、オリジナルとの差異のレベルは様々ではあるが、なんだかどれもオリジナルのエッセンスがあんま残ってないように感じたのさ、俺は。

『新・のび太の日本誕生』のなにがよく出来てるなぁと思ったかって、そこだよ、そこ。今までの新映画ドラえもんリメイクものと比べると随分保守的な作りにはなってるが、それは必ずしも守りに入ってるってワケじゃなくて、本筋には手を加えずにとっても細かい部分で微妙に手を加えたりっつー丁寧な作業がされてる。オリジナルのエッセンスを大事にしつつ、それにちょっとずつ肉付けしたり削ったり、あるいは同じシーンでも解釈を変えたりして、ほとんどオリジナルと同じような映画に見えるのに言わんとするコトが全然違う。で、それが実に映画ドラえもんらしいもんになってんのだ。こりゃ凄いことだ。
俺は原理主義者であるからしてどちらが面白いかと言われれば誰になんと言われようとオリジナルが面白いと言うが、少なくともその完成度において『新・のび太の日本誕生』がオリジナルに劣ってるとは思わない。いやむしろコッチの方が出来がいいんじゃないかとすら思う。

図らずもラストに至って涙してしまったとゆーのもそのあたりに根があるのかもしれん。よくやったな、すごいな、この人たちは映画ドラえもんを大事にしてるし理解もしてる、その上でどうやったらオリジナルより面白いもんを作れるか血反吐を吐きながら練り練り練りまくったんじゃないかと、その結果がこの映画なんじゃないかと、そう考えると確かに感動的ではあるぞ!

そもそも藤子F先生における(そして旧映画ドラえもんの多くを監督した芝山努監督における)映画ドラえもんってぇのはなにか声高にメッセージを発する教育映画なんかじゃなくてただ単純に活劇の面白さを追及した娯楽映画の面が強かったりすんので、クサい道徳メッセージとヌルい感動を大いに盛り込んだあの情緒的な新映画ドラえもんとは設計思想が違うのだった。
早い話が藤子F先生と芝山監督はSFと西部劇を知ってるが、新映画ドラえもんの作り手の多くは(たぶん)SFも西部劇も知らない。あるいは意図的にそうした方向性を外してる可能性も、お客の嗜好の変化に合わせての方針転換の可能性もあるが、とにかくそのようには作られていない。
オリジナルのエッセンスがうんたらと分かったようなコトゆーてるが、『新・のび太の日本誕生』はその点でちゃんと活劇たろうとしてるらしく、F先生及び芝山監督的な映画ドラえもんの作りになってると、それがエッセンスだとそう俺は思うのだった。

細かな変更点ちゅーのはネタバレになるからあんま言えないが、たぶんオリジナルを何度も観た人ならちょっと展開が強引だなとか肩透かしだなと感じるだろうと思われる部分において為されていて、それをオリジナルにあった要素を再構成するコトで処理してる。いかに作り手がオリジナルを研究してるかとゆーコトでもあるし、むしろ物語終盤に突然展開が駆け足になって尻すぼみに終わるコトも多い藤子F先生脚本が非常によく整理されていて、あまつさえオリジナルでは決して前景化しなかった自立と成長のテーマを少しも嫌らしくなく、オリジナルと全く同じ道具立てで自然に表現してる。
コレはもうオリジナルが習作でコチラのシナリオが完成稿じゃないかと、いやホントにそう思ったりもすんのだ。
(あと、ネタバレにならない変更点はタイムパトロール隊員がみんな女の人になってたコトです。時代ですね。カッコよかったです)

シナリオが、と言ったのは、それでもやっぱり映画として面白いのはオリジナルだよなと、繰り返しにはなるがそう感じるからだな。
こりゃあもうすげー良く出来てる。ビックリする。けれどもそれを映像に落とし込んだとき、必ずしも面白くなるワケじゃない(いや面白いけど)。
大きいのは、たぶんテンポじゃないかな。ちょっとリメイクの方はテンポが早すぎるような気がするし、それでメリハリが効いてない気がすんのだ。
倒れたかな? と思った敵が再び立ち上がるのが早すぎるとか、会話の間をオリジナルより詰めてるとか。それ大したコトないじゃんと思われっかもしんないが、結局こーゆー部分でメリハリとケレンが効いてるんでどんなに強引な展開でも次はどうなる次はどうなるってドキドキしたり、会話の間の中にセリフには書き込めないキャラクターの微妙な心情が読み取れたりして、多少粗いシナリオだとしても自然と納得させられて面白く感じちゃう、そーゆートコがオリジナルにはあった。
あんま文句とか言いたくないが、もしこの映画になにか文句が言えるとすりゃ、たぶん理知的すぎんのだ。明快な論理をただ並べられても面白くはないよな。

でもどうあれ、少なくとも俺は、新映画ドラえもんのリメイクものに限ったとして(限定するなおい)、この映画がいっちゃん面白いと思ったな。
よくできてる。おもしろい。ありがとう。そして最後に、スタッフロールの後に毎回付くドラえもんのメッセージに返答してやる。

「来年も観てねー!」

もちろん観るよドラえもぉぉぉぉぉぉん!!!!!

(文・さわだきんたま)

【ママー!これ買ってー!】


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あぁそうそう、そういえばもう一点だけ残念に思ったり思わなかったりした点がリメイクにあった。
雪山で倒れたのび太が夢に見るシリーズ屈指の名ギャグシーン、「ドラえもん裁判」。これがリメイクには、無い…!
とゆーか全体的にギャグが薄いな、リメイクは。その分、物語としてまとまりが良くなってたりもすんので、一長一短て感じあるけどな。
いや、何度も言いますが俺は絶対にオリジナル派ですけどね!

↓その他のヤツ
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大長編ドラえもん 4 (藤子・F・不二雄大全集)
大長編ドラえもんのび太の日本誕生 (My First Big)

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