映画『高慢と偏見とゾンビ』感想書くけどべつに書くことないよな正直

《推定睡眠時間:20分》

原作の方はどうだか知らないんですけど一発ネタで二時間弱とか長いと思うのでそれでもゾンビパニックとかゾンビ血みどろぐちゃどぴゅーとかあればまぁいいかという気になるんですけどあんま無いので、あんま無いっていうかゾンビぐちゃぐちゃしてるんですけどぐちゃぐちゃが美味しく見えないのでお腹減らない眠いぐー。

これは、あれだよ。もうそういうの卒業したと思っていたが、クラスの面白いやつが面白いことをやってみんな笑っているけど俺には全然面白くない時のそこから始まる中二奈落をまぁ今はもう大人ですから落ちませんが落ちずとも確かにフィルムに存在を確認してしまったので、つまりリア充の作ったゾンビ映画ですね。リア充のおもしろいっしょが詰まった映画ですね。
いやまぁリア充のゾンビ映画はつまらないというのはそれこそぼっちオタクの高慢と偏見ですがと上手いことをとりあえず言ったので褒めてください。誰か。

で、どういうものかと言いますと『高慢と偏見』の舞台がゾンビパニックのイギリスだったらみたいな感じで、つまりちゃんと『高慢と偏見』のお話が展開されるが(読んでないけど)その横にゾンビが立ってるとかそういうあれ、そういう面白さ。『高慢と偏見』の途中からゾンビが出てきてしっちゃかめっちゃかになるのかと思ったら違いましたね。
そういうあれがタイトルロールで既に明確になるのですがなんかナレーションで言うんですよね、舞台設定ね。むかーしむかし、ゾンビウィルスが蔓延してそれでロンドン大包囲、『ニューヨーク1997』(1981)とか『ドゥームズデイ』(2008)とか例の巨人みたいに大きな壁が作られて隔離されました。でもゾンビウィルス根絶できないのでゾンビと闘うためにカンフー習得したりするのが流行りました。金持ちはゾンビのいない田舎に豪邸建てて暮らしてました。云々、と。

どうですか、このリア充。これがオタクだったらだよオタクの撮った映画だったらだよこのオープニングはたぶんやらないんですよ。いや急にこんなわけわからん世界見せられてもお客さん困惑するじゃんナレーションの説明いるじゃんっていう偉い人にたぶん泣いて抗議すると思うんですよ。そのときの言い分はこうですよ。「カンフー使いのお嬢様を出すのに説明なんかいらない!」
なぜなら、明確な世界観とルールを設定しお客に提示することはカンフーお嬢様の行動を一定の範囲に縛り付けることになるからだ。急に宇宙に行ったりできない。

なにか混乱しているのですが要するのにこういう企画は意外性の面白さだと思うのですが、そういうのが全然ない。だからあんまりおもしろくない。あれこんなに短くまとめられてしまったぞ長々書いたのに。

しかし。話の主軸は愛のない結婚でありましたが対してこれ自体は愛のない企画でありましたのでゾンビ愛もカンフー愛も終末愛もなにもないわけで辛いといえば辛いがでもこんな映画にそういうの求めてないので、なんか文句言ってるわりにはまぁいっかみたいになる。寝てるし。
パロディもショックシーンも完全一本調子なので二時間弱がやたら長い気がするが、まぁこういう題材をあれしてあれになったらあれだからまぁあれですね。いいんじゃないすか。

あとは、あれ。ゾンビハンターのダーシー大佐がですね、サム・ライリー。ライリー…ゾンビ…そしてこの映画はゾンビが普通に喋りそれが今更笑いになるわけでもないしそもそもパロディだから緊張感もへったくれもないとしても緊張感を削いでる気がしたがとにかくゾンビが喋る頭がいい…そしてロンドンを覆う巨大な壁…更には戦闘ヒロインの存在…これは、構成要素から『ランド・オブ・ザ・デッド』(2005)が妄想検出される。
サイモン・ベイカー演じる主人公の名がライリーであった。知性を獲得したゾンビが要塞都市に攻め込むのであった。アーシア・アルジェントが最強女戦士っぽく出てくるがあんま活躍しないのであった。それが『ランド・オブ・ザ・デッド』であった。
つまり、だからなんだろう!

っていう風に変なところに脱線するぐらいには人に話したくなるところがない映画。あぁでも『高慢と偏見』は読んだことないので(でもここがパロディだなって全部わかる撮り方してます)今度ほらジョー・ライトの方の映画版見てみようって気になりましたよ。ジョー・ライト、この文芸監督の『つぐない』、面白かったよね!
いや『高慢と偏見とゾンビ』の監督はバー・スティアーズっていう人なのでそれもとくに関係ないですってほら、どんどん話がズレていく…。

(文・さわだきんたま)

【ママー!これ買ってー!】


リンカーン/秘密の書 [Blu-ray]

こういうマッシュアップものは企画倒れ感以上のものをあんま感じたことないですけどリンカーンが実は吸血鬼ハンターだったのこれ、わりと面白かった気がします。内容は忘れましたがビジュアル派ティムール・ベクマンベトフだからきっと大丈夫です。『ウォンテッド』(2008)とかの。

↓その他のヤツ
ドゥームズデイ アンレイテッド・ヴァージョン [Blu-ray]
高慢と偏見とゾンビ (二見文庫ロマンス・コレクション)
(※ロマンス・コレクション…?)

Subscribe
Notify of
guest

0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments