【ネッフリ】『クローバーフィールド・パラドックス』(ネタバレあるかもしれない)

クローバ-フィールド・パラドックス[Netflix]

《推定ながら見時間:30分》

うへへ、面白かったな『クローバーフィールド・パラドックス』。しかし語呂がよくないし文字並びが美しくない。最初の『クローバーフィールド』の次が『10クローバーフィールド・レーン』になっちゃったからこれもクローバーフィールドの語がフルで付いたのか。じゃあ、いつやるかどこでやるかは知らないが、やるに決まってる次もなんたらクローバーフィールドみたいなタイトルにしないといけない。

『クローバーフィールド』との関連を明確に打ち出すために二作目は『10クローバーフィールド・レーン』の題だったのでしょうが、そこは潔く『クローバーレーン』とか『クローバーストリート』ぐらいに留めておけばよかったのにな…そしたらこれも『クローバーパラドックス』とかになったはずだ。そのようなよりよいifも考えられるはずである。よりよいかどうかは知らないが。

その『10クローバーフィールド・レーン』は面白い面白くないは別にしてどこが『クローバーフィールド』なんだみたいな不満点はやはりあったわけですが、そこは解消されていたな『クローバーフィールド・パラドックス』で。それで『10クローバーフィールド・レーン』が面白くなるかどうかも別にして。
劇場にも回さないでしれっと本当にしれっとNetflixで配信した地味続編で前作のネタばらしとか。ネタばらしっていうか前作と前々作の橋渡しなんですが、そんな隠し玉を急に出してくるとかえらい興行ギミック仕掛けてくるなぁ。よい。こういう売り方は。

一応言っておくがここに目新しい要素はなにもないから完全皆無だから。そんなこと言ったら『クローバーフィールド』もそうだし『10クローバーフィールド・レーン』もそうだから皆無だから。全部50~60年代の低予算B級SFとかの焼き直しだから。売り方で新しいっぽく見せてるだけだから、マジで。

ていうかね、もう躊躇なく最重要ポイントのネタバレしますけど焼き直しユニバースだこれ。比喩とかじゃないから。悪口でもないから。それは見ればわかると思うんだ、あのラストまで見れば絶対わかると思うんだ。意図的な焼き直し志向が。
『クローバーフィールド』の続編! と一応の期待を込めて見に行った『10クローバーフィールド・レーン』のド低予算B級SFテイストには正直言って閉口させられたが(そこが面白かったが)、今思えば今後のシリーズの予告だったんだなあれは要するに。

ぼくはその方面にはあまり明るくないが、フキノトウみたいな怪獣(?)がにょきにょき生えて地球を侵略したり、昏い欲動が透明怪物を突き動かしたり、吸血歩行植物が人間食ったり、アイディアいっぱいドリームいっぱい工夫いっぱいしかし金はあんまりない! みたいな時代の徒花的低予算B級SF(この例えだと古典も混ざってるが…)の絢爛たるアイディアの数々をクローバーシリーズはこれからどんどん直パクして焼き直していくつもりなんだろうと思ったから、ちょっとだけわくわくしてしまったよ。そのためのグラウンドは整備されたよ『クローバーフィールド・パラドックス』で!

内容に話を戻せば、これはなんか可愛らしい映画だったなぁ。面白いんですよ宇宙ステーションのクルーの腕がね腕がちょーんと切れちゃうんです。それでクルーみんなで腕探すんです。プリティでしょ。いや、キッチュでプリティなんだよ、字面だけ見れば血生臭いかもしれないけど…。

あぁそうだ言ってなかったが宇宙ステーションのお話でした。地球はいよいよエネルギー危機。いまにも世界大戦勃発しそう。そうなったら大変だ、ということで宇宙ステーションで禁断の実験が行われる。
ながら見だから詳しくはわからないがー、どうもスーパースーパー加速器を利用した素粒子の対消滅実験みたいのをやっている、ぽい。そうするとあんな小さな素粒子からとんでもないエネルギーが出てくるんだとか。へぇ。すげぇ。

まぁ映画で対消滅とか出てくると基本的に良いことは起こらないから、とくにSFとかホラーみたいなジャンル映画だと反物質はアンチクライストばりの悪事を為すから、この地球の未来を背負っているくせに普段から喧嘩ばかりしている高校生みたいな国際実験チームも対消滅実験の結果とんでもない目に遭うんであった。

どれぐらいとんでもないことになるかというとそうだな『地獄の門』、ルチオ・フルチの『地獄の門』みたいなゲログロシーンがあってひぃーってなってたら今度は脈絡なく『アダムス・ファミリー』になるんです。と、とんでもないな! なんたるデタラメ!
宇宙の法則が乱れてわけがわからなくなってしまった宇宙ステーションの船内はさながらルーニー・テューンズ的な不条理ギャグ空間であった。そこらへんをコヨーテとロードランナーが走り回っていたとしても別に驚かないね(というあたりがプリティ)。

素粒子実験ものでタイトルにパラドックスとか付いてるSF映画だからストーリーの骨子は明確だ。わけのわからない不条理ギャグ空間にあってもそこは最後まで揺るがない。
結構、ゲラゲラ笑えるタイプの映画ではあったが芯の部分はシリアスな家族のドラマで、なんだかんだ毎回ちゃんとした映画になってるクローバーシリーズの安定感を感じつつ、今一つ抜けがないような…と胸中採点表にBを付けようとした瞬間に飛び込んできたラストシーンで即座に書き換え。BBBを花丸で囲みました。

配信映画だからみんなで盛り上がれないのが惜しい。アメリカンスタイルのスクリーニングだったらあそこ、場内爆笑とイエーの渦だな。同じくらいブーイングもあるかもしれないがブーイングを恐れないケレンに感服。アッパレなB級っぷりでたいへんよかったです。

※多少書き直してます

【ママー!これ買ってー!】


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ストーリー展開的にはわりと違うのだけれども核の部分で『クローバーフィールド・パラドックス』と共通するものを感じたジェイコブ・ジェントリーのアイディア一本勝負SF。これ大好き。
ジェイコブ・ジェントリーには『パラドックス・ハプニング』の邦題でソフト化された作品もあるからシンクロニシティだ…。

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