【ネッフリ】『パラドックスの瞬間(とき)』の感想

『パラドックスの瞬間(とき)』

《推定ながら見時間:45分》

途中でライブ映像に移行する。だから出演してるのも…なんかポストアポカリプスっぽい荒野にコミューン作ってジャンクを発掘したりしながら暮らしてるみすぼらしい男たちがいるんですが…あれがバンドの人だと思うんですが、今のニール・ヤングの。
困ったな。なんて言えばいいの。実験映画っていうか、ファンムービー? 劇映画とかそういう感じではないなカメラとかシネマカメラじゃなくて古い民生機のDVとかで撮ってるぽくて…実際劇場にかかってるわけじゃないし。

一応ストーリーの残滓とかみたいのはあるんですが、ストーリーがどうとか演出がどうとかそういうことではなく。なんかえらいリラックスムードの親密なプライベートフィルムみたいになっていた。ツアーの合間とかに結構即興で思いついたシーン撮っちゃってたんじゃないすかね。
それがそのなんていうか、ポエティックだけど別に面白いものでもないので…ニール・ヤングに興味がないと極めてつらい。ライブはかっこいいけど。

ダリル・ハンナが脚本書いて監督してるつーことですが、レジェンド級ロッカーをこんなふざけた調子でカメラに収められるのはすごい。仲いいんだろうな。そこらへんの関係性を楽しめればまぁ、多少はおもしろく見られるのかなぁ…(※まったく知りませんでしたが交際してるんだそうです。なぁんだ)
内容的にはヘボヘボであるけれどもメッセージは明確。メッセージのための映画だろうと思われる。

この終末荒野には男コミューンと女コミューンがあった。女コミューンの人が種を植えて作物育てて繁殖日を決めて子どもも育てているので生殺与奪の権を握っているのは女コミューン。
男コミューンの人たちはジャンク漁ったり歌ったりなんかするばかりであんまり生産的な仕事はしないっていうかできないので、物々交換の世界では頭が上がらないのだった。

しっかり者の女と情けない男の調和的な関係っていうのが俺はもう生理的なレベルでダメなので見ていられない。そういう牧歌的な単純化が現実の性差別とか権力関係を見えにくくするのであって…いや別にいいけど、いいんだけど、でも今こういう内容の映画(?)をダリル・ハンナが発表するってことはさぁ、たぶんハリウッドの女性蔑視に物申す的な意図が確実にあると思うんだよ…だけどこれじゃあ素朴すぎて何の問題提起にもならないし何のエンパワーメントにもならないと思うんだよ…。

ちょっとそのヒッピー幻想は。もう、ちょっと今の時代に見るのキツいっすね…少なくとも俺はキツかったよ…。ニール・ヤングとダリル・ハンナの『ジュテーム・モア・ノン・プリュ』みたいなものかもしれないが…あれも俺は聴くのが苦痛なので、総じてミュージシャンの惚気作品に(俺基準で)ロクなものはない。

【ママー!これ買ってー!】


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ニール・ヤング(とディーヴォ)出てるからという理由で貼ってはみたものの見たことない。

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