ついに来た!
映画史上最も危険な映画と(やや大げさに)評される『ネクロマンティック』と続編の『ネクロマンティック2』、そして『死の王』と更には『シュラム 死の快楽』まで――って要はドイツ映画界の異端児ユルグ・ブットゲライト監督の日本で公開された全長編(中篇)映画を全部ひとまとめにした『ネクロマンティック-死の3部作- Blu-ray BOX』が、4月2日に発売されるぞ!(『シュラム 死の快楽』のみDVD)
…って熱くなってるけど、誰だよ?ブットゲライトって。なーんて人もいるだろう!そうだろう!
ってことで今回はブットゲライトがいかにスバラシー監督で、どんなオソロシー映画を撮っているのか書いてくぜ!
撮る映画撮る映画片っ端から危険すぎて上映禁止処分を受けちゃうドイツの鬼才に、今こそ注目だ!
※精神にネガティブな影響を与える可能性も否めない危険な映画ゆえ念のためNHKオンラインのメンタル関連相談窓口リンクを貼っておこう!
長編
『ネクロマンティック』
冴えない死体清掃員の男。彼はネクロフィリアで、こっそり現場から死体を盗み出しては、やっぱりネクロフィリアの恋人とともに解体したりヤっちゃったりしていた。
そんなある日のこと、男は職を失い、死体を得ることができなくなってしまう。
その日から恋人の態度は冷たくなり…。
動物虐待!死体損壊!死姦!
言葉を並べるだけで危険な雰囲気漂いまくりなこの映画だけど、なにより危険なのは、そんな危険な事柄が限りなーく美しく描かれることだ!
死姦をソフトフォーカスで撮ってみたり、そこにお耽美で愉快なサントラを乗せてみたりする!
だけど美しいだけじゃないぞ!
死体しか、あるいは死体を介してしか人を愛せない登場人物たちにブットゲライトはそっと寄り添って、その哀しい性に同情さえしてみせる。
過激過ぎる描写にばかり注目されがちな映画だけど、実はかなり泣きの映画なのだ!
まぁ、死体のアソコに鉄パイプかなんかブスって刺したりするところなんか笑えるけどな!
エロスとタナトスとかいう難しくてカタそうな概念をド直球で表現した、フロイトなら苦笑間違いナシのラストも必見の、異端の名作だぜ!
ブットゲライト本人も清掃員役で出てくるぞ!
『死の王』
月曜日、一人の男が自殺した。
死の直前に男が出したチェーンメールに誘われるように、次の日から手紙を受け取った人間が次々と死を選んでいく。
前作『ネクロマンティック』は低予算ながら世界最高峰のエログロが炸裂した傑作だったけど、一転してこちらは過激な描写を控えた詩的でデカダン文学っぽい雰囲気すら漂う映画。
どんな内容かっつーとオムニバス形式で、月曜から日曜までの一週間に死んだり殺したりする人々の姿と、その間に腐敗していく死体の姿を交互に描く。
アマチュア精神爆発の実験的な映像の数々も面白いし、腐敗していく死体の姿も見ものだけど、そうでないところにこの映画の凄みがある。
音楽もなく淡々とスナッフ・フィルムが流れるパート、自殺の名所の映像に自殺者の名前だけがテロップで流れるパートは素晴しい。
死者へのレクイエムみたいなオルゴール曲のかかるエンドロールでは、屈託のない笑顔を浮かべる子供たちの写真が次々と映し出される。
青臭いといえば青臭いけど、とても真摯で泣ける場面だ。
出たがりブットゲライトは今作にも劇中劇の映画にナチの将校として出演してる。
『ネクロマンティック2』
前作でネクロフィリアの恋人と別れたネクロフィリアの女。
普通の生活を送ろうとする彼女だったが、どうしても死体の味が忘れられず…。
エログロを抑えてちょー真面目に撮った前作『死の王』でフラストレーションが溜まったのか、『ネクロマンティック』以上に異常なエログロにブラック・ジョークを大量にふりかけて、隠し味にファンタジーを加えた大怪作!しかも死体解体レシピ付き!(そんなのいるか?)
相変わらず描かれるのはネクロフィリアの孤独で、今回ネクロフィリア女はノンケの恋人を作ったり、動物虐待愛好者グループとお友達になって一緒に虐待ビデオとか見たりするけど、その欲望と孤独は決して癒されることがない。
孤独を癒すのは?
死体だ!
ということで女と死体とノンケの三角関係(?)の話になっていく。
生きてる彼と死んでる彼、どっちを選ぶの?
なーんて切ない女心に、泣く!
死と現実とモラルを超越してメルヘンの世界に突入する、衝撃(笑撃?)のハッピーエンドは必見だぞ!
今回のブットゲライトは映画館の観客役だ!
『シュラム 死の快楽』
孤独と劣等感に苛まれる日々を送るタクシードライバーの男。
彼は新聞をにぎわす“口紅殺人鬼”だ。
今日もまた獲物を求めて町をさ迷う彼だったが、ふとしたことから密かに恋心を寄せる隣人の娼婦と急接近し…。
相変わらず真っ当に生きられないアウトサイダーな人の孤独と、その淡くて純粋な恋(幼稚とも言う)がエログロ満載で描かれる。
いやもう、とにかく哀しすぎる映画なんだよ、コレ。
だってもう冒頭が酷い。壁の塗り替えをしていた主人公が足を滑らせて、頭を打って死んじゃう。
映画はその時に彼が見た、過去と夢と死と願望のゴッチャになった走馬灯を描くワケ。だから最初っからミジメな死の現実があるだけで、ハッピーエンドなんて絶対にないんだよ。哀しいネェ。
そんで、彼はこんな走馬灯を見る。
隣に住んでる娼婦の喘ぎ声を聞きながらチープなダッチワイフで自分を慰め、終わった後に風呂場で洗いながらうな垂れる。
その娼婦と仲良くなって家に誘い、睡眠薬を飲ませるけど、何もできなくて娼婦を罵りながらまた自慰をする。
夢の中では着飾って、幸せそうに娼婦と踊る。
えげつない映像のせいで一部の変態映画マニアしか喜ばない映画に思われがちだけど、コレはコレで死とミジメな現実を真面目すぎるほど真面目に描いた、とっても立派なヒューマンドラマなのだ。
まぁ、映画史上たぶん最悪の自傷シーンとか、マンマンが化け物になって襲い掛かってくるシーンとかあるわけだから、マニア向けなのは間違いないけどね!
ブットゲライト初期短編たち
元々は自主映画から出発したブットゲライトは、そらもう無数の自主映画を撮ったけど、ほとんど紛失しちゃったらしい。
残った幾つかの短編をまとめたDVD『ユルグ・ブットゲライト 初期短編集』が日本でも出ているから、そん中から特に面白いのを取り上げよう。
『キャプテン・ベルリン』
実家の近くに出没する悪党どもを成敗すべく、キャプテン・ベルリンが立ち上がった!
ブルース・リーの黄色いトラック・スーツに身を包み、頭にはスパイダーマンのマスクを被ったキャプテン・ベルリン(演じるはブットゲライト本人)
ブットゲライトも普通のボンクラ青年だったのだ!
内容どうこうって話じゃないけど、映画作りの楽しさがバシバシ伝わってきてイイ。
『血のエクセシーズ』
ヒトラーは生きていた!彼は前妻のエヴァを蘇らせるが、思いもよらぬ結末が…
拙い特殊効果がスゴイ。死体を解体していく場面があるんだけど、死体から新聞紙が見える。金も技術もないから新聞紙で死体を作ったのだ!
そんな場面に賑やかなマーチとノイズが被さって、なんだかとても不快。
その方法論は『ネクロマンティック』に引き継がれてる気がする。
『ホット・ラブ』
売れないミュージシャンの男が一人の女に出会う。二人はすぐに結ばれ、甘くて幸せな日々を送るが、やがて女に別の男ができてしまう。
傷ついたミュージシャンは復讐を誓う。
後に『ネクロマンティック』や『死の王』の音楽を手掛けることになるダクタリ・ロレンツがミュージシャンを演じて、間男を演じたブットゲライトにボッコボコにされる映画。
ロレンツはこの映画でも音楽を手掛けていて、その甘い旋律と汚らしくてムゴい映像の対比がとってもブットゲライトな世界を形作っている。
8ミリの自主映画として撮られるも劇場公開されて好評を博したブットゲライト飛躍のキッカケとなった詩的で素敵でチープな一本。
ってなワケで大変危険な映画ばっか撮ってきたブットゲライト。
『シュラム 死の快楽』後は当局に監視されてドイツ国内では新作が撮れない状況と噂され、実際にラジオをやったり『キラーコンドーム』って映画の特殊効果をやったり日本の怪獣映画の研究本を出したりミュージック・ビデオ撮ったりしてたらしいけど、自身の新作は撮ってなかった。
なんでも日本の会社から『ネクロマンティック3』の企画が来たこともあり、ゴジラ大好きのブッドゲライトは日本で撮影しようとしてたらしいけど、結局流れちゃったそうな。
近年では自身演出の舞台劇を撮影して映画にした『Captain Berlin versus Hitler』や朗読劇『Green Frankenstein』なんてのをやっていて、また久々の劇映画『Video Nasty』ってのを撮ったらしいけど、どうも『ネクロマンティック』みたいな劇薬映画じゃないらしい。
そんなブットゲライトだけど今年も新作が公開される(日本では未定)。『German Angst』って映画で、ホラーのオムニバス。ブットゲライトはその一編を監督した。
予告編を見る限り、これもやっぱりかつてのブットゲライト映画じゃないっぽい。でもまぁ、映画界の最深部から全世界のゲテモノ映画好きと孤独でダメな人たちを勇気づけてきたブットゲライトの新作ってことで、やっぱ観てみたいよね。
先日、『ネクロマンティック-死の3部作- Blu-ray BOX』発売に合わせてかヒューマントラストシネマ渋谷で『ネクロマンティック』が上映された。この分だと『German Angst』の日本公開もわりとありそうだ。
それまでの間、ブットゲライトが気になってしょうがないって人は『ネクロマンティック-死の3部作- Blu-ray BOX』を買って待つべし!
追記:確実に日本には入ってこないし、そもそもドイツ国内から外に出ることのないと思われるブットゲライトのラジオドラマたち。
そのタイトルをグーグル先生に翻訳してもらった結果がコレ。
『広島のフランケンシュタイン』(2002)
『福島の獣』(2012)
『平壌のスーパーキム』(2014)
…やっぱアンタ危険すぎるよ!
【ママー!これ買ってー!】
死の王 [Blu-ray]
ブットゲライトといえば『ネクロマンティック』だろ!と面倒くさいマニアの声が聞こえてきそうだけど、『死の王』はホントイイ映画。
日本は世界でも突出して『死の王』の人気が高いらしい(ブッドゲライト談)
『ネクロマンティック』みたいにエグくないんで、ブッドゲライト興味あっけどBOXは買えねーよなー的な人はこっから入るとマイルドに腐れます。
↓その他のヤツ
ネクロマンティック-死の3部作- Blu-ray BOX (初回限定生産)
ネクロマンティック [Blu-ray]
ネクロマンティック2 [Blu-ray]
ユルグ・ブットゲライト短編集 [DVD]
昼夜2交代で、工場で毎日残業、月に100時間を超えます!
酷い時は2週間連続出勤で、朝ご飯を食べ会社のロッカールームで作業着に着替えてると
嘔吐で、トイレに走る。昼ご飯を食べ仕事して居る時は大丈夫、残業後私服に着替えていると
嘔吐で、体重が49キロに痩せて、その2年後に初めて神経内科でうつ状態と言われ、
まだレンタルビデオ(VHS)で死の王を借りて、その直後、処方されている薬を、
1か月分用意して、車ワゴン車のマフラーをパイプで繋ぎ、車内へ送りこむ(ディーゼル)
薬を全部飲んで、虫の知らせか妻が仕事から早く帰り、119番、意識不明で4日目に、
目が覚めて、助かる!2回目は死の王の風呂に入って睡眠薬1か月分飲んだが、
興奮状態で眠れず119番通報、薬大量服薬(オーバードーズ)を6回繰り返し、
医師から、精神病院へ強制入院、鍵が5つないと外へ出られず、自分より酷い患者を、
見てからはオーバードーズ止まりました!また仕事に復帰し、不眠、うつ状態、
発症してから14年間勤めましたが、ドクターストップで、27年勤めた会社を、
退職、同じ症状の人が4人も退職され、労災認定ならず、医師から(死の王)
を見てから自殺を図って、今ではうつ病患者相当いますが、自殺の引き金となりました。
そうでしたか。私自身はブットゲライトの映画に救われた部分はありますが、誰もがそうという訳ではありませんよね…。記事は一部修正しておきます。どうぞご自愛ください。
さわださん、ありがとう御座いますー!修正までしていただき、
本当に嬉しいです、大昔に(スナッフ)を見ましたが、健康な状態であれば、
見ても構いませんが、何十年も前に、精神障害で集まるチャットをしていて、
オフ会(みんなと合って飲んだり、キャンプも行いましたが、
まだ若い女の子3人が順々に自殺されて、集まったメンバーの手首を見ると、
何百回も剃刀で傷を付けた女の子、手首がパカット開いてしまうような、
手術で縫った後、チャット中にアパートの自分の部屋に火を付けて、
アパート全焼、普通の方から見ると何て言う事を!と思いますが、
精神医療患者は、ちょっとした事で落ち込み自殺を図ります!
日本全国の交通死亡事故を遥かに超えて、自殺者がダントツ1位です。
私はまだ生きていますが、例えば、明日何か(病院、結婚式、葬式等)
有る前日から、炭ン厄飲んでも一睡も出来ません!
障碍者向けの仕事や、新聞配達も、出来る状態では無くて、
妻が仕事してくれて、何とか生きてると思います!
障害年金は貰えません、統合失調症から障害年金が貰えます。
これから先も薬を飲まないと2日で倒れます、
死の王はもう見ませんが、私の心に焼き付いて居ます。
健康な方なら見て欲しいです!
すみません!誤字をしてしまいました!
前の書き込みの中ほどの、(有る前日から、睡眠薬飲んでも一睡も出来ません)
これが正規です!