《推定睡眠時間:0分》
楽屋落ち栄華と誤変換されたのがなんとなく良かったのでとりあえずそのままにしておく楽屋落ち映画でメトロポリタン美術館の資金集めを兼ねたというかそれが主目的なアナ・ウィンターとヴォーグ仲間たちプレゼンツなファッション展覧会&セレブ・パーティ《メットガラ》の主賓がアン・ハサウェイ、『プラダを着た悪魔』です。
このアン・ハサウェイを上手いこと使ってメットガラの最中に超高級スーパーダイヤネックレスを盗んでやろうと画策するサンドラ・ブロックがハッキング担当にスカウトするのがリアーナなのですがリアーナといったらメットガラの華。
超すげぇ的なドレスで出席してセレブ業界に話題を振りまくその人がプラダを着た(着てませんが)メットガラーなアン・ハサウェイのネックレスをぶん盗るわけですからおもしろいっすね。
劇中に出てくるヴォーグのオフィスはメットガラの舞台裏ドキュメント『メットガラ ドレスをまとった美術館』でたぶん見たのでそのまんまオフィス借りて撮ってるんだろう。
アナ・ウィンターも冒頭にちょこっと出てくるからヴォーグ全面協力だ。これ泥棒映画なんだからそんなことしたらメットガラのガラが悪くなりそうな気もするが、盗みに入るだけの価値があるんすよみたいな逆説的な宣伝になるとの判断か。
いやでもアナ・ウィンターのカメオはそういう意味で了解できますがメットガラを総括する立場のメトロポリタン美術館服飾部門主任キュレーター、アンドリュー・ボルトンのカメオ出演はそれ美術館的にいいのかっていう感じになるな。
たぶんレッドカーペットのところで顔を出していたのがアンドリュー・ボルトンだと思いますが違ったらごめんボルトン。
ほか、エンドロールを見るととても目で追いきれない量のセレブカメオが多数。メットガラを舞台にした映画はなんだか撮影現場もプチ・メットガラみたいなパーティ感だ。
人種も民族も職業も性格もバラバラなダイバーシティ泥棒連中も最後はみんな素敵なドレスを身に纏って華やかな姿を晒す。
誰でもプリンセスになれるんだぜ、とプリンセス女優アン・ハサウェイ(劇中劇として『ローマの休日』のリメイクに出演している!)を下げることでメッセージング。
みんな綺麗でしたからよろしいのではないでしょうかとは思うが半分くらいメットガラの長編CFみたいになっているというのは泥棒映画として情けなくはないか、と思わないでもない。平和で結構なことですが。
もっともそんな風に偉そうにのたまう僕はアン・ハサウェイのおっぱいとかリアーナのおっぱいとかに中学生マインドで目が釘付けになっていたのでそっちの方が情けなさが強かった。
お色気路線に走らないことの逆説的エロというものもある。着エロとも違うナチュラルスタイルのエロというものもある。「ハイスクール奇面組』でスケベの潔くんが俺はもうファッション誌しか見なくなったと高らかに宣言していたことの意味がよくわかる映画だ。
お話は単純に女泥棒サンドラ・ブロックとケイト・ブランシェットがメットガラを狙うだけ(どんでん返しあり)。シリーズとの絡みとか細かいネタも散りばめられてるのかもしれませんがオーシャンズ、一作も見たことがないからわからない。
見たことがないのは全然俺の映画触覚に引っかかってくれなかったからで、つまんなそうな映画だなぁと思って今まで敬遠していたのですが今回のはリブート的続編ということで見てみたらあんま面白くなかったのでやっぱりな的な感じになる。
スター全員集合の盆&正月系ムービーって感じで豪華カメオも楽屋落ちも満載で楽しいけれどもそれで110分とか長くないダレない。抑揚なくない?
こういう顔見せ映画こそ90分でサクっとまとめた方が面白いと思うんだけどなぁ。なんか出演時間に関する契約事項とか諸々大人の事情があるのかもしれませんが…。
あと完全に俺感覚なので誰にも同意は求めませんがサンドラ・ブロックが強盗団のリーダーって全然ノれないと思うんですよ。
こう、あの目鼻の主張が強い顔立ちとか堂々とした立ち振る舞いはジョージ・クルーニー(の役)の妹っていう役柄の説得力は感じるんですけど、でも強盗団のリーダーの貫禄がすげぇ薄くてですね…なんかヘレナ・ボナム・カーター演じる落ち目のゴス系デザイナー(これも楽屋落ちか)とかハッカーのリアーナとかっていう強盗仲間がホイホイ集まってくるんですけどなんでこの人のオファー受けたんだろうって。
すげぇ頭が切れるとかそういう感じじゃないしね。バイタリティ溢れる感じでもないしね。秘めたる闘志とか何かしら人を引きつける魅力が本当はあるのかもしれませんけど強盗仲間との絡みが少ないからよくわかんない信頼できない人っぽく映ったりして…そのへんのキャラ立ちの薄さをジョージ・クルーニーの威光で補っちゃったらダイバーシティ版として作った意味なくなっちゃうと思うんですがでも折に触れてジョークルの写真が出てきたりするんだよなこれ。そこ、雑。
強盗団の一員でストリート・チャイニーズ役のアウクワフィナという人を発見できたのはよかった。俊敏な動作とか威勢の良い口上とか悪ガキっぽくて。給仕に扮した姿はドレス姿よりもチャーミング(僕はあぁいうタイプの小悪党が好きなのだ)
【ママー!これ買ってー!】
パンフレット的にどうぞ。