《推定睡眠時間:70分分》
凄まじいばかりの爆睡鑑賞となったので全て事後推測でしかないがエンドロールに載ってる名前のあるキャストが4人くらいで名前のない役を含めても15人程度、ひたすらひたすらキアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーをベタっとしたカメラに収めていく映画で、実質キアヌとウィノナのふたり芝居っていうかふたりコントだったっぽい。
ファーストシーンはこうです。イライラしたり不安になると耳を押さえて「シー!」と怪音を出す癖のある仏頂面キアヌと枯れる寸前の植物に息を吐きかけて命を吹き返そうとするウィノナ。
次のシーンは空港。ふたりここで初対面。ひとりで6人乗り小型機の到着を待って突っ立ってるウィノナになんとなくキアヌ話しかける。
飛行機待ってるんすか? 飛行機待ってる。ふぅん。グーグルで見たけどこの会社すごい評判いいんだって。へぇ。グーグルの口コミって知ってる? 星評価で…それに私の友達も最高だったってコメントしてたね。ほぉ。機内でお菓子も貰えてそれがまた美味しいって。うむ。
自分から話しかけておいて全然ウィノナ会話ーにノらないキアヌ節炸裂なキアヌは適当に相槌を打ちながら一歩前へ出る。
ちょっと待てぇ! え? 今地味に一歩前に進んだよね!? いや、進んでないっすよ…。あれか、お前適当な会話で誤魔化しといて列に割り込むつもりだったのか! いや、そんなんじゃないっすよ…なんで急に噛みつくんすか。お前が一歩前に進むからじゃ…あまた一歩進んだ! 進みましたけど何か?
と、こういう会話が延々続く。例の6人乗り小型機に乗ってみるとふたりはもちろん隣同士。同じリゾート結婚式に呼ばれた知人の知人同士だったことを知る。
チーズおかき一個みたいなめちゃくちゃショボかった機内お菓子をウィノナが開けようとするが開かないので、キアヌアドバイス。
切り口があるからそこから切ればいいんすよ。いや、切り口なんてないから。ありますよ。ないんだって。じゃ貸してください…ほら、ここにあるじゃないすか…これをこう…これをこう…。それみろ全然切れないじゃんよ。これを…うがぁ!(袋を噛み切るキアヌ)
…とまぁ、こういうことをとにかく延々やる。延々やるって言っても以上のやりとりの後で即、まだ式場にも着かないうちに寝に入っているので延々やってたかどうかは知らないが、起きてたラスト10分ぐらいもやっぱりテンションと絵面全然変わらなかったのでそんな感じでしょう、たぶん。
なんか面白かったですよ、ふたり仏頂面コント。90分弱も見続けるのは若干つらい感じもあるかもしれませんが、最高に無様な大人セックスとか大いに見物でした。超エロくねぇ。
コントの背景でマネキンの如く突っ立ってるエキストラ的登場人物がまたおかしい。異境のゆる旅をほぼ男女の掛け合いオンリーで見せるスクリューボールコメディ的な趣はハリウッド黄金期の映画みたいですが、そこになんとも言えない空間の滑稽が加わるあたり現代コメディっぽい感じ。
20分弱しか見てないのに堂々とそう書ける面の皮の厚さすごくないですか。ぼくはすごいとおもいます。見てないけどオススメ!
【ママー!これ買ってー!】
スクリューボール・コメディの名手プレストン・スタージェスによるスクリューが効き過ぎてもはやアナーキーな恋愛コメディ。
『おと恋』の方はとくにこんなスクリューはなく、関西的笑いに対しての関東的笑いみたいなダラダラしたジワジワ笑いが中心でした(見てないだろ!)