《推定睡眠時間:20分》
この間『ドラゴンボール超 ブロリー』のIMAX上映行ってきたばかりなんですが、まさかそこで見たスーパーサイヤ人ブルー形態の悟空をこっちでも見るとは思わなんだ。
いや思わないでしょう。思ったら頭が超次元でしょう。この超意外を目の当たりにしてなんでみんなそんな冷静でいられるのかと思いますよ他の人の感想とか見ていて…俺はもうあの誘拐少年が途中からブロリーに見えてきたからな! それはそれで頭が超次元だろ。
そんな軽口を叩けるような映画ではないのだったが、とはいえ最終的にはなんか爽やか、これぐらいの軽口は叩きたくなる。
誘拐されたマフィアの息子13歳。閉鎖的なシチリア田舎のことであるからまぁマフィア案件というのもあって周囲の人間は知らぬ存ぜぬを貫く。
趣味は保身です的なつまらない大人どもはともかくガキどもまであいつマフィアだからと誘拐を知りながらニヤケ顔を浮かべやがるので救いようがない。
そのマフィアの息子13歳から貰ったらしい(寝ていたので不詳)スーパーサイヤ人ブルー悟空のフィギュアを部屋に飾っている主人公の少女13歳、そんな村人どもの態度がもう死ぬほど許せない。少女は誘拐された13歳男子に恋心を抱いていたのであった。
クリリンのことかぁぁぁぁぁ! だがその叫びは誰にも届かないしスーパーサイヤ人に変身することもない。唯一、親友女子にだけはちょっと届いたので二人で髪だけスーパーサイヤ人ブルーにして抵抗してみたりするが、所詮は髪だけの抵抗、とくに誰の心も動かすことなく不発に終わってしまうのだった。
映画は少年の誘拐監禁模様と少女の抵抗捜索模様を交互に描くもので、時間の経過を意図的にボカした大胆な編集になっているからわかりにくかったが、2年間、実に2年間に渡ってこんなことが続く。
編集の上では交互に描かれる少年と少女だけれども、物語のキモはふたりがその間に直接顔を合わせないところで、ただひとり自分のことを理解してくれていた少年のことが忘れられない思春期少女の、血と怒りと無力感が支配する心象風景として少年の地獄を見ることもできる。
少年が誘拐犯に別の監禁部屋に移送されるのと呼応するように、少女の方も日に日に憔悴していく彼女を慮った両親によって引っ越しさせられそうになる。
2年間ずっとスーパーサイヤ人ブルー悟空のフィギュアが置かれた少女の部屋は彼女にとっての監禁部屋だ。その部屋の壁には激烈な筆致でルドンの眼球気球が描かれている(なにを意味するのだろう)
ゴーストからの連想はあまりに安易ですが、だからその意味で、『ゴーストワールド』のような映画だったように思う。
平凡にはなれないが異端にもなりきれない不安定に揺らめく思春期の1ページ。ありえないようでいてその一端は誰でも経験したことがあるようなよくある話。
受け入れられない現実を少女が受け入れるようになるまでを、デカダンな象徴を駆使して黒々と苦々と繊細かつ大胆にスケッチした青春ファンタジー映画、って感じすかね。
面白かったす。変則的な時間の感覚とか自然や汚れの質感とかが気持ちよくて。少女ユリア・イェドリコフスカのサイヤ人的な強い眼差しは胸を打ち。あとフクロウが可愛いですね、フクロウ。
【ママー!これ買ってー!】
そういえば『ゴーストワールド』のソーラ・バーチも髪を青く染めている。
こんにちは。
〝水〟の映画が少し苦手で、時々気付かず息を止めてるような時があって、本作も辛かったです(でも見てるやん)。
実際の事件を知るに、彼(と彼女)の鎮魂になれば、とは思いました。
そうか、彼女の頭は、クリリンか!
やってはいけないハシゴシリーズ。
◆「シークレット・チルドレン」◆
鑑賞後の脳内再生で混線しました。
「シークレット・チルドレン」知らない映画だったので検索したら、これ監督が「ア・ゴースト・ストーリー」の撮影監督を務めた人なんですね。ゴースト・ストーリー繋がり!
ティモシー・シャラメめあてで見ただけなんですが、繋がった!
「ア・ゴースト・ストーリー」は未見ですが、ケーシー・アフレックは、ずっとシーツをかぶって出演していたのかしら…いらぬ心配?
最初15分ぐらい素肌であとはずっとシーツです。
げ!