《推定睡眠時間:0分》
聞くところによればマイケル・ベイが監督した『トランスフォーマー』シリーズ(とくに後期)に比べればこの新生トラフォー1作目(?)の『バンブルビー』はめちゃくちゃ大人しくてちゃんとしてるそうでシリーズ1本も観てない俺は震えましたよ。
いやこれだって全然ちゃんとしてないだろ…破壊力の高いネタだらけのバカ映画じゃないですか…ファンにはこれがちゃんとして見えるってマイケル・ベイのトラフォーどんだけ壊れてたんだよ…!
っていう驚き。その驚きが見終わった後の感想の半分くらい。残りの半分の半分はもう80年代ノスタルジーとかどうでもいいよっていう呆れ(安易にザ・スミス使ってんじゃねぇよの苛立ち微量あり)。もう半分の半分はなんかガシャガシャしてて下らなくて面白かったかなぁ? みたいな疑問形の喜び。あくまで疑問形で。
だってもうこんなのなぁ…どうせなんでもありのシリーズっすからみたいな感じで開き直っちゃってるからなぁ…全部が全部ネタだから逆になんか萎えるよなぁ…はいここ面白いところでーす笑ってくださーい突っ込んでくださーいってずっと言われてる感じでさぁ…。
あらすじとかいります? いらないかもしれないけど一応俺のために書いておこう。宇宙の果てに機械星があってそこではロボットたちが戦っていた。劣勢になった方の一体が反撃の拠点とすべく地球に到来。彼は追っ手ロボットとの戦いの結果記憶を失い言語機能も失って、黄色いビートルに化けたまま休眠状態に入ってしまった。
それからしばらくして一人の機械いじりとザ・スミスが好きな少女が例のビートルを手に入れた。ちょっといじったらロボットは復旧。友情を育んでいたらまた別の追っ手ロボットがやってきて戦うことになるのだった。
ところで観ていて脳裏をよぎったのは去年の『ザ・プレデター』なのだったが、『ザ・プレデター』の5倍くらいバカなのに5倍くらい面白く感じられないのはなんでだろうと考えて、敵の“血が出るなら殺せる”感が皆無だからではないかと閃いた。
完全に地球文明では太刀打ちできないオーバーテクノロジーの持ち主同士が地球で代理戦争をやってるだけなのでいやそんなのもう勝手にやればいいじゃんと思ってしまうし、それぐらいやるんなら逆に人間の事情とか考慮してくれなくていいから潔く星ごと壊してくれた方が面白いのにとかも思ってしまう。ようするにめちゃくちゃどうでもいい。
やっぱどんなバカっぽい映画でもリアリティって大事ですよ。『プレデター2』なんてダニー・グローヴァーがプレデター追い詰めるわけですからね。ダニー・グローヴァーですよ! メル・ギブソンもいないのに! それは無謀な戦いに手に汗握ってしまうよね。
どうせ電気通せば何度でも生き返るロボットなんかどうなってもいいですけどたぶん電気入れても死んだら生き返らないダニー・グローヴァーは頑張れ! 無理なのはわかっているが可能な限り戦えダニー・グローヴァー! って応援したくなります。
でまたプレデターの方もどうせ地球人バカだからっつってアイツ舐めてますから。その舐めてるところに本気のダニー・グローヴァーが来るわけだからプレデターも不意を突かれて負傷するし一瞬本気でビビりますよね。
だってもし俺やあなたが仮に戦車とか乗って完全武装してたとしても正面からいきなりダニー・グローヴァーが鬼の形相で向かってきたらやっぱ一瞬ギョっとするでしょ。本気っていうのはそういうことですよ。そのあとダニー・グローヴァー死ぬと思うんですけど。
で、そしたら今度はプレデター頑張れ! ってなるよな。考えてみたら『2』のプレデターは慣れない地球の都市環境で孤独に戦ってるわけですから、いくら地球外キルテクノロジーで武装してるっつっても地の利があるダニー・グローヴァー相手には場合によっては不利だったりもしますよ。
最悪ダニー・グローヴァーは負けそうになったら家帰って寝たりできますけどプレデターは体育会系社会だから地球人ごときから逃げ帰ってきたら鉄拳制裁ありますからね。帰るところもなく道もわからず友もまたなく。それはプレデターにも頑張って欲しくなります。
そういう風にですね、ダニー・グローヴァーとプレデターには血が通ってるんですよ。決して互角ではないけれどもお互いにウィークポイントはあるし命がかかってる。だから『プレデター2』は両サイドに対してエールを送りたくなるんです。
設定の荒唐無稽さでは『プレデター2』も『バンブルビー』も大して変わらないかもしれないが、そこ大きな違いですよ。なんていうかそのへんがこう、『バンブルビー』開き直ってざっくりしてるからバカ映画的にしか消費できないし、作り手もそういう風に消費してくれりゃいいって思ってるに違いないんですよあんなもの。
いやそれはそれでいいけれどもさ。バカ映画って蔑称じゃなくてジャンルですからバカ映画ならバカ映画で別にいいんですけどさ。でもそのくせ中途半端に少女の成長と再生がどうのみたいな親御さんも安心なヒューマンドラマ要素を入れてきやがって優等生かよこの野郎みたいな…なんかそういうのあるんだよ、なんかそういうのあるんだよ!
だからたぶん俺は! 観ていないからなんとも言えないが! マイケル・ベイのトラフォーの方が楽しめるんじゃないかと思う…! なんでもソツなくこなしてしまう物分かりの良い優等生よりは、メンタルの壊れたボンクラの方が本気で下らないものを作ろうとする分だけ面白く感じられるんだよ俺には…!
補足:
したがって主人公チャーリー・ワトソン(ヘイリー・スタインフェルド)さんももっと本気で油にまみれて本気で人生半分捨てた感じにしてくれたらよかったんじゃないかとおもう。あんなハムスター1匹育てたら直るような感傷だったら地球外生命体の手助けいらないですよ。ジャンキーにでもしたらいいじゃない。ジャンキー少女がLSDやって町をふらふらしてるところでロボットに変形する車を目撃して今日のトリップはすげぇなっていうところから始まるヒト×ロボ友情なんて熱いでしょうが! 熱くない? すいません熱くなかったです。
【ママー!これ買ってー!】
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地球から遠く離れたメカトピア星で独自文明を築いている大河原邦男デザインのロボットたちが地球を植民地とすべく侵攻開始。対するドラえもんは斥候ロボットの人工知能にロボトミー手術を施し対抗するという禁断の一作。
ふざけて書いているが藤子F先生の「一度くらいは映画ドラえもんで地球をぶっ壊したい」との物騒な願望が生み出した映画ドラえもん随一のハードストーリーで、人とロボットは分かり合えるのかという『バンブルビー』が5秒くらいでクリアした課題に妥協なく取り組んだ本格ロボットSFアニメとしてシリーズの中でも人気が高い。
感想文中、何回ダ二ー・グローヴァー言ってんだと噴き出してしまいました。
なんとなく声に出して(文字に書いて)読みたい名前なのでつい連発してしまいました!
ジャンキー少女がLSDやって町をふらふらしてるところでロボットに変形する車を目撃して今日のトリップはすげぇなっていうところから始まるヒト×ロボ友情
めちゃくちゃ観たいですねその映画
やっぱ観たいですよね!
時代設定以上に話しのゆるさいい加減さが80年代っぽくてそのあたり含めて評価されたと思うんだけど、では映画全体に80年代感が横溢してたかというと主に音楽関連(当時の曲にカセットテープにレコード)とかジョン・シナのマッチョっぷりでそこを担保するのは無理筋で、むしろベイ時代からの蓄積もあってかよく出来た視覚効果が現代の映画っぽさを否が応でも感じさせてなんともいえない仕上がりになってたかなー
以上、ビースト覚醒について書き込もうとしたら項目が見当たらなかったのでこっちにおっつけてみましたよ!
バンブルビーの話をしていたはずなのに途中からプレデター2の話になりコメント欄でビースト覚醒にトランスフォームする感想記事となりました!ありがとうございます!あとビースト覚醒はなんか時間長かったので観てません!