【ネッフリ】『You vs. Wild ー究極のサバイバル術ー』プレイ感想(ネタバレあり)

《推定ながら見時間:50分》

『ブラック・ミラー/バンダースナッチ』に続くネッフリオリジナルのインタラクティブ作品との触れ込みだったがインタラクティブ作品であることを示すサムネイル右上のマークが『バンスナ』の閃光マークとは違う。

調べてみるとこのゲームコントローラーみたいなマークの付いた作品はキッズ向けのネッフリアニメに何本かあり、『長ぐつをはいたネコ:おとぎ話から脱出せよ』とか『マインクラフト:ストーリーモード』とかっていうのがそれですが、インタラクティブはインタラクティブでも『バンスナ』とは位置づけが別らしい。

基本的には子供向け、ということでゲームコントローラーマークの「インタラクティブ対応作品」は要所要所で選択肢を選んで展開を変えたりできるが選択肢やエンディングの出現条件なんかは設定されておらず、単純に見たい展開を選択して見ていくという感じ。ゲームブックの映像化ですね。

対して閃光マークの「インタラクティブ映画」はもう少し複雑で、よりインタラクティブ性が高い…というか要するにノベルゲーっぽくなっているので、特定の選択の組み合わせでフラグを立ててトゥルーエンドに至る選択肢を出現させる、とかそういう一歩踏み込んだ操作ができる。

そういうわけでディスカバリーチャンネルの大人気(らしい)サバイバル番組『サバイバルゲーム MAN vs. WILD』をプレイアブルにしたこの『You vs. Wild ー究極のサバイバル術ー』、『藤岡弘探検隊』的な内容の面白さはともかく『バンスナ』に続くインタラクティブ作品としてはぶっちゃけ物足りなかったりした。

他のインタラクティブ対応作品同様にキッズ枠の番組ですしね。主人公の不死身のサバイバリスト、イギリスの藤岡弘、ことベア・グリルスを選択肢でわざとガラガラヘビに噛ませたり崖から突き落としたりするのは超楽しいが、基本的にはベアと一緒に大自然の脅威を体験しながらサバイバル術を学ぶネイチャー教養バラエティという感じ。あまりゲーム性を求めてはいけなかった。ストーリーも単純で短い。

とはいえ俺は見たことがありませんが『サバイバルゲーム MAN vs. WILD』という番組、及びベア・グリルスという人はサバイバル適性が高すぎて完全にどうかしてしまっているので、元が面白けりゃあプレイアブルにしても面白いに決まっている。

インタラクティブ作品としては物足りなかったが臨場感のある撮影とベアのキャラが効いていて『You vs. Wild ー究極のサバイバル術ー』おもしろかったので、全8エピソードをざっくり振り返りながら特におもしろかったベアのお食事ポイントや死亡ポイントなんかを書いていこう(※この場合の死亡ポイントはゲーム的な比喩表現であり、ベア・グリルスは不死身なので死んだりしません)

『セントバーナードを探せ』

雪山で災害救助犬を捜索するエピソード。山頂からスタートして即パラグライダー降下か急斜面スキーの極限選択を迫られ、ゆっくり歩いて探すとかそんな甘えは許されないエクストリームなシリーズであることを早くも思い知らされる(選択肢を選ぶ間もベアがひっきりなしに「寒いから早く!」「時間がない!」「君が決断するんだ!」とか言ってくる)

このエピソードはベアの身体の張りっぷりが凄かった。急斜面スキーとかは遠景ショットが多いしスタントマンの可能性もあるが、凍結湖に落ちる場面とかは完璧に普通に落ちている。その状態で氷の裂け目からの脱出法をにこやかにレクチャーするので尋常ではない。あと基本的に素手。

最短でクリアしたければパラグライダーで降下して凍結湖をほふく前進で脱出、助けを待つ救助犬を推測で探して森で一夜を過ごし(仮宿選択は「木」でも「ほら穴」でも結果は同じだが、「木」にするとベアを一晩中寒気に晒すことができる)、下に犬の待つ崖をロープで懸垂下降すれば終了。

もっとベアの極限が見たければ犬の捜索法で「証拠を探す」を選択すると熊の糞を発見、見つけたものは食べてしまうベアなので選択肢で糞の中の未消化なナッツを食べさせることができる。ここで「糞」を選択せずに「食料を探す」を選択するとリスが蓄えた餌のナッツをベアが強奪する弱肉強食展開になる。

『究極の雪山サバイバル』

雪山アドベンチャー第二弾。今度ものっけからモモンガスーツ(ウイングスーツ)で雪山を滑空したりして迫力満点。
エピソードの目的は雪山で一日を無事に過ごして翌朝救助を呼ぶことで、最初に移動しながらサバイバルの最適解を探すか移動せずに体力を温存するかの選択肢が出るが、どちらを選んでもそこまで展開に違いは出ない。分岐・死亡ポイントともに少なめの箸休め的エピソード。

ベアに楽をさせたければ最初の選択肢で「なるべく動かない」、寝床の確保で「岩を使う」、シャモアの死骸から調達したマゴットで「魚つりをする」とマスが手に入るので岩の下のねぐらで焼き魚ディナー、その後の救難サイン選択で「のろしを上げる」であっさりエンディング。アドベンチャーというかキャンプみたい。

そんなのはベアじゃないと思ったら最初の選択肢で「移動型」。辿り着いた森で拾った「きのこ」を食べるとシャモアの死骸を見つけた後に中毒を起こして無事死亡(救助)。明らかに食べてはいけないものにも迷わず食えよ食えばわかるさ精神で果敢にチャレンジするのがベアという男だ。よい子も悪い子も普通の大人も絶対に真似してはいけない。

ちなみに移動ルートの最終分岐、崖下の救助地点にどう降りるかの選択肢でロープを岩に巻き付けると降りた後でベアに結構怒られる。
岩に巻き付けたロープで懸垂下降すると岩の角でロープが切れてしまう可能性があるので、ロープは水筒に巻いて岩の間なんかに引っかけろとのこと。なるほど。

『ジャングル救出大作戦:前編』

二連続の雪山から一転、今度は中央アメリカのジャングルを大冒険。原住民の村に薬を届ける途中で行方不明になった女性医師をベアが捜索するという筋立てがなんとなく『食人族』感を醸し出す。

これは中々インタラクティブ性の高いエピソードで、ジャングル降下前に「かぎなわ(フック)」か「スリングショット」のどちらかを装備品として選択、飛行機からの降下後はジャングルに分け入るか川沿いに進むかでルートが分岐する。

一通りやってみた感想としてはスリングショット優秀。ジャングルルートに出るサルも川沿いルートに出るワニも退治できる。フックがあれば谷底に落ちたときに死なないで済むが、まぁ落ちなければいいしね。ベアはフックがなくても植物のツルで谷をターザン渡りしてたから、ジャングルに行くときはスリングショットを持っていこう。なんだかどんどん間違った知識が蓄積されていく気がする。

砂漠とか雪山とか色んなところで死ぬベアだが、このエピソードでの死亡っぷりはシリーズでも屈指。そんな死に方があるのかとびっくりした。
「かぎなわ」を持った状態で「川に沿って進む」を選ぶと途中で遭遇するワニをスリングショットで退治できない。「おどかして追い払う」を選ぶとそのまま進めるが、「川に潜って進む」を選ぶとワニ行く手を阻まれ引き返す羽目に。

そこからがすごいのだがいつの間にか急流に入っていたベアはそのまま海に流されてしまう。離岸流に逆らわず横方向に泳げば元のルートに戻れるが、岸に向かうため「流れに逆らって泳ぐ」を選択すると当然ながらまるで歯が立たず、体力をゼロ近くまで奪われた上に装備も海の中で捨ててしまい無線機もないまま何キロも離れた小島に逢着。もう絶望しかない。

離岸流にはフックもスリングショットも無力。ワニよりもなによりも離岸流が恐ろしいと学ぶ。まぁスリングショットを持っていればそもそも離岸流ルートには入らなかったわけですが…。

なお、お楽しみのお食事シーンはジャングルルートにあり。今回はセミかなんかの幼虫とシロアリのどっちかです。ベアのワイルドな食いっぷりにより幼虫の体液がカメラに飛んでくるところ、最悪のスペクタクルでした(そこも『食人族』っぽい)

『ジャングル救出大作戦:後編』

前編で救出した女性医師から受け取った薬をベアが村に届けるエピソード。ベアに加えて薬も温度上昇でダメにならないよう守らなければいけないが、やることは基本的に他のエピソードと変わらない。

このエピソードはジャングルの動植物がたくさん見られる。共通ルートを進むとヤドクガエル、ヒトモトススキ、その先でジャガーの痕跡を発見して「木の枝」でカムフラージュするとジャガランディ、「泥」でカムフラージュするとジャガーに遭遇。戦って欲しかったが残念ながらベアはスルーを選んでしまう。その後、「木の上」を野営地に選ぶと大蛇が出現。ちなみにこのときに「オランウータンはこんな風に木の上で寝るんだ。オランウータンができるんだから人間にもできるよね」みたいな暴論が聞ける。

最初の選択肢で「ロープで下りる」を選択するとお食事ポイントのある沼地に出る。選択肢は「カエルの卵」か「釣りをする」。カエルの卵を食べておくと食中毒か寄生虫にやられて宿営地で無事死亡、「釣りをする」を選ぶと釣りだっつってんのに即席のモリを作って魚を捕獲、そのままかぶりつく。どっちにしても生で食うなよ。

『解毒ざいを回収せよ:前編』

アリゾナ砂漠の峡谷に墜落した輸送機から解毒剤を持ち帰るエピソード。これもサバイバルとは別の目的があるわりにはやってることが他と変わらないので、連続鑑賞していたらこのへんでちょっと飽きてきてしまった。
最短で「飛行機」「わたる」「動物の跡を追う」の3つの選択肢で危険動物に遭遇することも無く終わってしまうのでこれも箸休め的なエピソードの観あり。比較的実践的なサバイバル知識が多めだったので教養回かもしれない。

エピソードが始まるとベアがオフロードバイクを駆って参上、セスナ機とヘリのどちらで現地に向かうか選択する。前回が動物いっぱいなら今回は乗り物がいっぱい。
基本的にあまり面白くないエピソードだったがヘリルートよりはセスナ機ルートを選んだ方が絵に変化があって楽しい。お食事ポイント、死亡ポイントともに集中しているのはこっち。

峡谷をロープで渡らず下まで降りると左右に道が分かれる。「左」を選ぶと狭い岩間を悪戦苦闘して進んでいるうちにサソリが落ちてきてベア死亡。
一方「右」を選ぶとお食事ポイント。タマサボテンかファイアースティックス(多肉植物)らしきもののどちらかから水分を摂取する。正解はタマサボテンで、ファイアースティックスらしき植物は毒を持つトウダイグサ科の別種だった。ということで「多肉植物」を選ぶとベアの手が毒でベロンベロンになって死亡。砂漠の水分補給はサボテンが安定(らしい)

『解毒ざいを回収せよ:後編』

前編とは打って変わって後編は大アドベンチャー編。回収した解毒剤はダメになってたんで代わりにベアが血清の元となるタランチュラ・サソリ・ガラガラヘビの毒を探して入手するという無茶なストーリーを聞かされるイントロにわくわくが止まらない。

分岐が多くインタラクティブ性が高いエピソードでもあるので面白いが遊び尽くすのは結構大変。システム上、前の分岐に戻るには一旦ベアに死んで貰う必要があるので、まだ見てない選択肢を試しては共通ルートのガラガラヘビの巣まで行って「しっぽ」を掴むを選択、わざとガラガラヘビにベアを襲わせる蛮行を幾度となく繰り返したりしてしまった。

「なんてこった! すぐに救助を呼ぼう! あと30分で救助ヘリに乗って病院に行かないと!」百戦錬磨のベアの緊迫した声も何度も聞いているうちにちょっと面白くなってくるから困ったものだ。もう「救助を呼ぼう」だけでちょっと笑ってしまう。いやこれは俺が悪いんじゃないから、ネッフリのシステムの欠陥だから。

最初の選択肢は目的地を決める「オアシス」と「坑道」。後者はそのままだが前者は蜃気楼なのでオアシスには着かず、代わりに廃墟の精錬所に辿り着く。
ロケーションが良かったなこのエピソードは。水没したトンネルに朽ちた精錬所。ポストアポカリプスの世界みたいでカッコいいし、画にメリハリがあって良い。大自然の中でのサバイバルとはまた別のサバイバルテクニックが見られてそれもまた楽し。破傷風には気をつけろ、とか。

坑道ルートは中で更に道が分かれている。「水のトンネル」を選ぶと地中に隠れたタランチュラを発見、選択肢で水を流すと無事に毒を得られるが直接手を突っ込むと死ぬ。死なせたいとしか思えない選択肢である。
一方「クモのトンネル」に入るとこのエピソード唯一のお食事ポイント、コオロギにありつける。その先でサソリの毒を入手して外へ出、以降共通ルート。

この共通ルートでは坑道ルートでも精錬所ルートでも同じようにベアが焚火をするが、精錬所ルートから入るとベアが自らの驚異的なエネルギーと無謀さの源を語ってくれる場面が追加され、全然納得できないところも含めて必見。

『ドラゴンの国へようこそ』

ミッション型のエピソードは前回で終了。これと次のエピソードは大自然を踏破して町や道路に出ることが目的のドキュメンタリー風のエピソードになっている。
ドキュメンタリー風と言いつつむしろゲテモノ感と藤岡弘探検隊感はこっちの方が増しているのでミッション型よりもハードアドベンチャー。とにかく至る所でベアが死に瀕する。

最初の選択肢で「海岸線に沿って進む」を選ぶと早速お食事ポイント。ここまで来るともう選択肢を出す意味がないような気もするが今回はカサガイとアオサです。エピソード1から見てきた人はどっちを食べるべきかもう分かるな。迷わずカサガイ。もちろんベアがゲロを吐いて死ぬ。

このエピソードはスペシャルなので海岸線を進まず「崖を登る」を選んでも途中にお食事ポイント、こちらは鳥の卵とハリエニシダの花で…まぁ鳥の卵を選ぶけどどうせ死ぬんだろと思ったらまさかの殻ごと一気食い。えぇっ! その後でやはりゲロを吐いて死ぬわけですが死んだことよりも当たり前のように殻ごと食っていたことに衝撃を受けてしまった。どんなサバイバル術だ。

その後、底なし沼にハマったベアに「がむしゃらに進む」を選んでやると沼に呑まれて死亡、洞穴の奥まで行かせるとオオカミに襲われて死亡(ギリで救助)、滝に飛び込ませると死にはしないが「今回はたまたま運が良かったが飛び降りるのは危ない!」と怒られる、その先で木の棒を武器にオオカミと戦闘…ちなみにこの場面は限りなく藤岡弘探検隊なカメラワークと編集がグッジョブなのだが、それにしても死に瀕してばかりの濃いエピソードだった…。

『のろわれた鉱山の秘密』

ラストエピソードは鉱山の秘密というだけあって坑道探索がメイン。坑道ルートに入らなくてもエンディングに辿り着けるが10分ぐらいで終わってしまうのであんまり面白くないだろう、お食事ポイント以外は。

ヘリから降下して湖に着水後、冷えた身体を温めるために「動き続ける」を選択するとベアが超ムーブ。しかし身体は温まらなかったので近くに居たヒツジに抱きついて暖を取ることに。その後の選択肢のどちらを選んでも無事ヒツジを捕獲、足をロープで縛って動けなくした上で抱きついて寝るという心温まる残酷光景が見れる。

その後、お食事ポイント。その選択肢、モミの木の形成層かミミズ。最後の最後でひどい汚食事がくる。選びたくはないがベアがゲロを吐いて死ぬところは見たいので仕方なくミミズを選ぶと意外、死亡ポイントではなかった。一度は口の中に生きたままのミミズを入れたベアが「これじゃあお腹を壊しちゃうよ」とか言ってミミズを吐き出したからだ。なんだよ急にその捻り! ゲロ吐くより気分悪いよ!

ルートの最後は崖の上。崖上から麓まで伸びた貨物運搬用と思しきケーブルをハーネスで下ると目標達成。たまたま通りかかった設定のワゴンにヒッチハイクなどすることなく走行中のまま飛び乗って(なんの意味があるんだ)颯爽とハコ乗りで去って行く不死身のサバイバリスト・ベアなのであった。

さて本道たる坑道ルートは着水後に「火を起こす」で身体を暖め、辿り着いた先で「トンネルに入る」を選ぶと突入。その際に松明に「服の切れはし」を選ぶと坑道の中で松明が消えてベア死亡、選んでいなくても中の分かれ道で「風のないトンネル」の方に入ると酸素欠乏症でベアが幻覚を見ながら死亡、洞窟は基本的にとても危ないと身をもって教えてくれる。

分かれ道で「風のあるトンネル」を進んでロープを降り、鍵の掛かった出口の扉に洞窟に入ってすぐのところで入手した火薬を使うと、やっぱ最後はそうこなくっちゃな爆破エンド。白煙の中から勢いよく飛び出してきたベアはタイミング良くやってきたヘリに掴まって大空へと消えていくのであった。

シーズン2に続く…のか?

2019/5/31 追記:
エピソード順はユーザー毎に変わる可能性あり。あとインタラクティブ作品のアイコンですがゲームマークは廃止されたらしく、現在は全てのインタラクティブ作品が閃光マークで統一されてるっぽい。

【ママー!これ買ってー!】


サバイバルゲーム MAN VS. WILD Season6 DVD-BOX

いいっすよね、こういう身体を張った嘘ドキュメンタリー。

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