《推定睡眠時間:20分》
面白かったんですけど観ながら思っていたのはクソッ! っていうことで何がクソッ! かというと(知らねぇよそんなの…)みたいな完全俺事情になってしまうので純粋な映画の感想だけ読みたい人はパラグラフ二つ分くらい飛ばしてね(※書いているうちにパラグラフ二つでは済まなくなったので広告下の更にパラグラフ二つ下ぐらいまで飛ばして下さい)と前置きをしたので心置きなく書きますが俺がやろうと思っていたことなんですよこれは! まるで! 『ブレードランナー』のような多文化ポストモダン都市で! 人間とモンスターが共存するその絵面! 俺が実写版『真・女神転生』として高校生の頃から妄想していた絵面なんですよッ!
プロットだって出来ているんだからね俺の実写版『真・女神転生』は! 原作ゲームの方はICBMによる東京大破壊前から始まるわけですか俺の実写版『真・女神転生』は大破壊後から始まるんです! 地上は悪魔で溢れ人々は東京の地下鉄網に避難、神の怒りによる悪魔の一掃を説くメシア教陣営と殺し合い込みの悪魔との共存を求めるガイア教の陣営に分かれて無数の地下小都市を築いていた!
その中心に位置するのが暴君オザワの支配するメシア教都市シンジュク! オザワは秘密警察を使ってやりたい放題だがメシア教の天使たちの加護により悪魔の侵入は防がれているから人々は盲従! だがたまには天使バリアを破って悪魔が出現してしまうこともある! 主人公はその処理を行うデビルサマナーで…メシア教の教義からすれば悪魔を使役することは罪悪だから彼はオザワ政権の下で非公式のヨゴレ仕事をやってるわけですね! そういう設定もちゃんと考えてるから!
このソドムとゴモラ的なメシア教の腐敗都市は後に原作でいうところのカオスヒーロー率いる悪魔軍団の襲撃を受けて壊滅するんですが、そうして居場所を失った主人公のデビルサマナーはトウキョウ放浪の旅へ出る。このへんは『女神転生Ⅱ』のイメージですね!
でシンジュク壊滅を裏で糸を引いていたのは実はメシア教の大天使たちで、近々訪れる神の奇跡の前触れとしてソドムとゴモラが滅びたぞという風に信徒たちを煽ってですね、来たるべき審判の日に向けてノアの方舟的な大聖堂をシナガワに建設、各地に散らばっているメシア教徒たちを最終戦争に向けて集めるわけですよ! ね!
それから…いやもういいよさすがに! 俺の頭の中ではもっと細かいところまでなんならエンディングまで出来てるけどいいよ聞きたくないよ! これ『名探偵ピカチュウ』の感想だもん!
えー、ですから、何がクソッ! かといいますと、このシンジュクは俺の中では『ブレードランナー』的な無国籍都市になっていて、メシア教的にはアウトなのですがソドムとゴモラにするためにあえて悪魔と人が一緒に暮らしていることが黙認されていて、ジャックフロストがペットとしてバザールで売られていてブフーって冷気吐いたりさ、ネコマタがエロい店でエロい客に絡みついてたりさ、するわけですよ! そういう絵が『名探偵ピカチュウ』にあったんです! やられた! やられてない!!
でも俺の妄想の方が面白いと思うんですよ! その地下都市のカオティックな光景を『真・女神転生』といえばな名曲「GINZA」をBGMにですね、カメラがスナップ的に切り取っていくのがオープニング! その最後に人で溢れる商店街区を『真・女神転生Ⅲ』デザイン版のオニが大きな身体をわっしゃわっしゃと揺すって歩いていく、でオニがうどん屋の前でおもむろに足を止める、うどんを食ってる男の肩に手を置く(ここまでドリー撮影ね!)! はい来た『ブレードランナー』オマージュ! もちろんその男が主人公のデビルサマナーで、オニはデビルサマナーが使役する悪魔の一匹、また悪魔が出現したようだぜ的な出動要請をデビルサマナーに伝えに来たのでした!!!
虚しくならない? 虚しいよ。読んでる君たちよりも書いてる俺の方が虚しいから。それははっきり言っておくから。映画の感想書きます。
いやぁ面白かったですね。おっさんピカチュウ。インパクトありますね。でもインパクト10秒ぐらいで消える。後はもう普通に喋れる相棒。波乗りするピカチュウもいるし空を飛ぶピカチュウもいるんだから喋れるピカチュウだってそらいますよね。
っていうのとは関係なくこれはブレランを引用してきたサイバーパンク/ネオ・ハードボイルド的な舞台設定がやっぱ効いてるんでしょう。この舞台設定の中じゃあポケモンが喋ろうがなにしようが違和感とかあんまない。
ストーリーもハードボイルド探偵もののベースがあるので独創はないが安定してるなーって感じである。ようするにチャンドラーとかジェイムズ・エルロイの世界をポケモンでやってるわけで、実際一部展開が重複しているところもあるが、『ズートピア』のポケモン版といって差し支えない。
こちらはシナリオに『ズートピア』ほどのツイストはないしあれほど世界がギッチリ作り込まれているわけでもないが、リアルな世界でのポケモンを見せるっていうことに眼目が置かれた映画だろうからそれでむしろ良かったんだろうと思う。バリヤード、あぁいう生態だったんだ(笑えたな)。ゼニガメは大人気で都市のどこにでもいる(かぁわいい)。コダック、ツルツル系かと思ったらフワフワ系だったんだ!(マジか)。そういうのが結局面白いし、それが見れて大満足。ちょっと不気味なところも含めて(メタモンが…)
お話は主人公の孤独な青年くんが親父の訃報を受けて人間とポケモンが共生する先進都市ライムシティにやってくるところから始まるが、意外だったのはこの青年くんが成人済みの保険屋という設定。
これ原作ゲームではもっと若かったような気がするんですが、たぶんマーケティング的なっていうか、ポケモン見て育った子供が今あれぐらいの年齢だろうからそういうのを狙ってるんだろうなってところがある。
だからなんだかすごい安パイ映画って感じだったな。絶対に失敗できない一大プロジェクトだからポケモン以外は絶対に失敗しなさそうな既成映画の面白要素の引用で固めてきたっていう。
で、ミュウツーも出てくるんですけど(ファーストシーンで出るからネタバレではない)エンドロール後に今夏公開だかのリメイク版『ミュウツーの逆襲』の予告が入って。オープニングクレジットにTOHOが入ってたからそのシナジーも考えてるわけでしょ。大人の映画ですよね。マーケティングにスーパー力を入れまくった映画。
いや俺べつに悪い意味で言ってないんで、そこらへんは一応…だってスタッフロールの第一幕とか泣きそうになっちゃったしね。すげぇあざといスタッフロールなんですよ。涙のカツアゲとはまさにこのこと。でも泣くでしょ。ねぇ。そこらへんは俺と同じくらいの世代の人みんなに泣いて欲しいからネタバレしませんがさぁ、なんつーか本当に汚いんですよ。良い意味でね。良い意味で!
ブレランだから謎日本語っぽいのあるなぁと思ったら「きのみの店」とかなんですよ。全然ポケモンの世界と違うようでいてちゃんとポケモンの世界を保っていて、そういう小ネタの数々が主人公の「かつてポケモンマスターになりたかったが諦めて定職に就いてしまった大人」設定(なんてあざとい!)と相まって、うわーポケモン! 俺ポケモンの世界入った! ってなる。
そうなったらもうこっちの負け。なんだかとっても悔しいのだが面白かったと言うほかない。
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amiiboってどうなんすかねぇ。邪魔じゃないすかねぇ。高いし。
似たような感想だからいちいち書くなよって感じもするんですがやっぱ『ブレードランナー』も『ズートピア』も連想しますよね。異種族のごった煮という感じでは初期の『スターウォーズ』もそうかもしれませんが。
特に今作を観る前日にシド・ミード展に行ったんでブレラン成分は思わぬ数珠繫がりでなんか嬉しかったです。
メガテンもこのレベルで実写化してほしいなと思いつつも東映特撮丸出し(製作は円谷ですが)なドラマ版『デビルサマナー』も割と好きだったりはします。
ぼく実はドラマ版デビサマ見たことないんですけど(ビデオデッキ壊れちゃって)、あれは確か岡田がなんかの肩書きでクレジットされているし、金子はもともと特撮趣味者ですし、それにメガテンのルーツは80年代伝奇モノにあるわけですから再現度はともかくメガテンの精神には意外と忠実な実写化だったんじゃないかと思ってます。見てないんですけど。
そうか、スターウォーズっぽさもありましたね、ピカチュウのあの異種ゴッタ感は。特に非合法版ポケモンスタジアムの場面とか。