《推定睡眠時間:15分》
なんだこりゃあ、まるでテレビドラマみたいな、と思いながら観ているとエンドクレジットで「俳優名(from○○編)」の表記、ああ! そうだったのか! オープニングタイトルには「コンフィデンスマンJP ロマンス編」と出ていたので(続編を狙っているのか? 前後編か? それにしてもチケットを買うときにはそんなサブタイなかったけどなぁ)訝っておりましたが、これは元々テレビドラマで、この映画はその劇場版で、ドラマの方で○○編○○編というのをやってたのね! なるほど! 見事に騙された!
いやそういう騙しやめてくださいよ本当。最近タイトルに「劇場版」とか「映画」を付けないテレビドラマのステルス劇場版が多すぎるんですよ。予告編は映画館で何度か観たがテレビドラマの映画化なんて言ってました? 言ってないでしょうよ! まぁ今YouTubeで予告編を確認したらガッツリ大ヒットドラマの映画化を謳ってたので俺がちゃんと見てなかっただけではあるが! 確かに目、つむってたわ『コンフィデンスマンJP』の予告編やってる間。なんか恥ずかしくて。いろいろすいません。
でもドラマの劇場版と分かれば観ていてたくさん浮かんだ疑問符も一気に解消されるな。おかしな映画だなぁって思ってたんですよ、小日向文世の演じるリチャードっていうやつ、凄腕の詐欺師設定なのに全然凄腕感を出してくれないし。でもこれはたぶんドラマ版で散々視聴者に見せたからもう今更言わせるなよ的なことなんでしょう。
東出昌大演じる僕ちゃんって詐欺師もそう。主人公の詐欺師ダー子こと長澤まさみとは恋人未満友人以上みたいな関係らしいのですがその描き込みがほとんどされない。しかしこれもドラマ版で(略)ってことだろう。
三人の詐欺師をサポートする五十嵐(小手伸也)なんか人物紹介すらされないが、とにかくそういうのは全部ドラマ版で(略)なのだ。
そうと思えば映画の至る所に赤星いやキラ星の如く散りばめられたうわぁポイントも俺が『コンフィデンスマンJP』というコンテンツの文脈に乗れていないだけであってあれはドラマから追ってきてるファンからしたらむしろそれが見たかったポイントだったりするんだろうと納得。
俺的にはとても見ているのが辛い長澤まさみのチャキチャキ元気っ子芝居もあれがなかったら『コンフィデンスマンJP』じゃねぇよみたいなことなんでしょうたぶん。ドラマ見てる人としては。あれを見てなお映画版観に来てるわけだから…。
だからもうそういうのは言わないでいいじゃんって思うんですがでもここは俺のブログでプライベートトイレみたいなものだからみんなが楽しく『コンフィデンスマンJP』というお酒に酔っているところでなんですがゲロ吐きますがねぇよ。ねぇだろ。ドラマ見てない勢の俺からしたら詐欺師の名前がダー子、僕ちゃん、リチャードっていう時点で完全に無いですよ、色々と。
なんなのほんとあれ。いや分かってるんですよドラマ版見れば名前の由来がどっかの回で出てくるに違いないってことは分かってるんですが由来の問題じゃなくてセンスの問題だからこれは。
だって書けないっすよ。アマチュアの分際でですけど自分でドラマの脚本を書こうとしてキャラ名付ける時にダー子ぼくちゃんリチャードとか無理っしょ。『モンスターファーム2』でCDから出したダックンとかに命名するのとはわけが違うんだから。
つまずきが早いよ。名前でつまずくとかあるのかよって思ったよ。でもそんなものはこの映画のつまずきトラップのほんの序の口、チュートリアルでしかないので三人が香港に着くとまずはお揃いのブルース・リーのトラックスーツでホアチャーとか言いながら市街を観光って無理じゃん! 無理じゃん! …無理じゃん!
無理なんですよ。センスの死にゲーですよこれは。演出も芝居も脚本も凄まじいことになっている。香港の女帝的な財界の巨人を演じるのが竹内結子とか即死トラップじゃないですか。日本人じゃないけど12歳まで日本で育ったから日本語喋れるとか絶対ウソじゃないですか。セガールだって全然日本語使ってないからもう関西弁忘れちゃって喋れないって本人言ってたもん。
香港でゴトをやるって話なのに半分ぐらいは(それ日本でもいいじゃん…)みたいな生活感のないトレンディなアジトのセット撮影で済ますあたりも本当に心からどうかと思ったよね。しかもこいつらずっとそこで甘っちょろい会話ばっかダラダラしてるんです。
何を考えてるんですかね。騙しをしろよ騙しを。恋愛なんかにうつつを抜かしてないでえげつない犯罪行為に手を染めろ。詐欺師だろうがお前ら!
いやわかってますから! わかってるんです! そういうコンテンツじゃないだよね『コンフィデンスマンJP』! 詐欺師って言ってるけど本当は正義の味方の義賊なんだよね! 悪いやつからお金を取ってわーいってなるやつ! 俺は知ってる! ドラマ見てないけど知ってる! 映画そういう内容だったから! 会話がダラダラ長いのもドラマ版の伏線回収的なことなんですよね! 知ってるんだぞ! 知ってるんだ…。
でもラスト前30分前~10分前ぐらいはちょっと面白かったです。どんでんどんでんした展開で。ネタバレラインぎりぎりになっちゃいますけどセンスの死ぬ各種のチープトラップもどんでん返しの具になっていてやられた~って感じ。そのシナリオ的後出しジャンケンどうなのとは思いますけど楽しいは楽しい。
素直にラスト30分じゃないのはその後に10分間クソみたいな蛇足とエンドロール後オマケ映像が付くからなんですがでもこれもあれでしょう、ドラマ視聴者へのサービスなんでしょ? いいんじゃないの。それもなんか、いいんじゃねぇのって思えてきますよね。どうせ単体作品じゃないしファンアイテムなんだから好きにしろ。
端的に言えば合コンの場に将棋をやりたい人が間違って入ってきてしまった。これが俺の『コンフィデンスマンJP』体験でした。それ以上はもう何も言わない。
【ママー!これ買ってー!】
スリ [DVD]
香港を舐めるな。
自分としてはタイトルに『JP』と付いてる時点で「ダメだこりゃ」となりましたねー
世界各国にIP売るからひとまずこれは日本版ということでJPなんですみたいな制作者のインタビュー記事を読んだ記憶があるんですけど、それから一向にコンフィデンスマンUSとかコンフィデンスマンCNとかが作られる気配がないという・・・
ええええ……
それはまた集英社が市松模様を商標登録しようとした程度には図々しい皮算用ですね
よくこの程度のアイディアが世界に売れると思ったなってなりますよね笑
世界各国にコンフィデンスマンのIP売るのは恥ずかしいからやめてほしいですね。アンナチュラルとかならまだ買ってもらえたかも。
オリジナルなアイディアのドラマなら売れると思うんですけど、コンフィデンスマンはオリジナルなところが全然ないどちらかと言えば古典的なアイディアのドラマなので、そりゃ売れないですよね