【ネッフリ】カルトオカルト映画『サバハ』を観た!

《推定ながら見時間:40分》

今一番映画館で観たいネッフリ独占配信映画。いやこれは良いものを観た。超おもしろいと思う。開始5分でもう『哭声/コクソン』! と感嘆符を付けて勢いで押せばその面白さが伝わるだろうか。伝わらないとおもう。
ジャンル的には『哭声/コクソン』と通ずるものがある宗教系オカルト&サスペンス、主人公はカルト宗教ハンターの牧師で謎の仏教カルトと対決するので『妖怪ハンター』稗田礼二郎+『トリック』上田次郎の感じ(笑い方とか)、仏教ベースの宗教知識を衒学趣味に陥る寸前まで詰め込んだダークミステリーなので『ダ・ヴィンチ・コード』だとか『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』っぽくもある、あとなに『SPEC』とか? ここは人によってはマイナス推しポイントになってしまうので慎重を要するが…。

ともかく、色んな種類のおもしろがいっぱい。そのおもしろの大枠になっているのは仏教的世界観とキリスト教的世界観と民間伝承の間で揺れるコリアン信仰、そして神の不在と探求のテーマというわけでネタは広く核はディープである。ディープでありつつきっちり『ムー』的な大乗的オカルトエンタメになっているので結構すごい。
どうしてこれがネッフリ独占配信になってしまったんだろう。『ROMA』みたいに劇場公開できないのだろうか。なんと田中泯が物語の鍵を握るチベットの高僧、ユ・ジテが…なので役者のネームバリューが足りないとかではないと思うし、あと主人公のカルト宗教ハンターがカルトの危険性を説明するために引き合いに出すのがオウム真理教、当初はヨガ道場だったがというところから話を初めるのでゴシップ的な扱いではないし、それに仏教カルトの話なんだから二大仏教カルトを抱える仏教カルトの総本山たる日本で劇場公開しなかったら…どこで公開するんだよって感じだよな! どこでって韓国では劇場公開されてるそうですが。

つい最近『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で話題になったばかりの読経サウンドをこちらも採用、西洋オカルト映画における暗黒賛美歌みたいな役割を担うのですがその呪術的な響きが終始温度の低い静謐演出と合わさってとっても不気味。
インカムを付けてのコリアン祈祷、仏僧が準備するクリスマス、雪の中を跳ね回る鹿、小屋に鎮座する象、あり得ないところから這い出す蛇。おびただしい数のケージに入れられた犬(犬を大量に育ててる家はやばい的な田舎ホラー感あり)、聖邪の〈徴〉。生臭くも禍々しくも神秘的なカオス映像世界にシビれる。

至るところに宗教モチーフが象嵌された情報過多のシナリオ(仏教一つとってもコリアン仏教とチベット仏教と密教とカルト仏教が出てくるわけである)を読み解くのは並大抵のことではないが、Filmarksにあるクェビン@rpaqnfkf1さんという人の解説がめちゃくちゃタメになるので観終わっても残尿感があった人は読むべし。悪魔もしくは悪鬼とはなにか、本物の宗教と偽物の宗教をどう分けられるのか、救済とはなにか、救いの神はどこにいるか、ブッダか、ヤハウェか、家畜小屋で生まれたものか。もう脳みそぐりんぐりんである。

あぁおもしろい映画だ。知的興奮に満ち満ちたおもしろい映画。だいたいこんな台詞が出てくる映画がおもしろくないわけないでしょう。「増長天、多聞天は入滅した。死んでください」俺の中の全厨二、スタンディングオベーション。

余談;
主人公パク牧師の居城たる新興宗教研究所にいる秘書のおばさんがグー博士に訊いてみなよとか言っていてなんのことかと思えばグーグル検索のこと。グーグル先生的な言い回し、どこの国にもあるんだろうなぁ。

【ママー!これ買ってー!】


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なんとなく雰囲気が似ている映画。どこがって思うかもしれませんが観ればわかるから。

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