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ファミコン期アクションの定番ネタといえばニンジャですが、と分かったように書き出してしまったがファミコン世代じゃないので「忍者じゃじゃ丸くん」なんか一本もやったことない。まぁでもファミコンだし、ジャレコだし、くん付けだし、二頭身キャラが二頭身キャラ踏んだりボーナスキャラ踏んだりして進むゲームであろうというのは想像できるし、幼稚園児ぐらいから遊べるキッズ向けであることも想像できる。
紆余曲折を経て完成したらしい劇場版『じゃじゃ丸くん』、成人男性ニンジャが刀の演武を披露するタイトルバックからしてなんかそういうのとは違う領域入ってた。ファミコンのニンジャゲームと言ってもこれはどちらかといえば「じゃじゃ丸くん」より「忍者龍剣伝」の方に近いんじゃないかな。俺はやったことないですからこれはたぶんなんですけどゲームの方の「忍者じゃじゃ丸くん」、あんまりリアルな刀アクションとか出てこないと思うし、これもたぶんですけどどちらかと言えば刀より忍法とか使うんじゃないすかね。
映画の中の筋骨隆々成人男性じゃじゃ丸くん、斬ってたね。ガシガシ斬ってたし刀がない時は素手です。素手でバリバリ殴ってました。ニンジャ…まぁニンジャなら相当鍛えているであろうからそれぐらいするだろうしそう簡単に秘伝の忍法も使わないと思うがこの、そうだなぁ、また更に別のゲームを例に挙げると二頭身変更後の「熱血硬派くにおくん」をやろうと思ったら「ファイナルファイト」始まっちゃったみたいな。どっちもベルトスクロールだから同じだろと言われたらまぁ同じではないとしても同じようなものではありますからそうですねぇと返答してしまうかもしれませんが…いやでもくにおくんは二頭身だからくにおくんって呼べるけど「ファイナルファイト」の市長はハガーくんとは呼べないよね!?
えー、映画版『じゃじゃ丸くん』、そういう感じの映画だと思ってもらったらいいんじゃないでしょうか。「くん」ではないねこれは。地上げヤクザに攫われた娘をじゃじゃ丸さん他二人の個性豊かな仲間が取り戻しに行くストーリーからしても『じゃじゃ丸ファイト』だね。いや~じゃじゃ丸ファイト熱かったわ~。宿敵・影丸との戦いの最中に覚悟を決めたじゃじゃ丸さんが切腹を始めた瞬間、もうどうなっちゃったかと思ったね。切腹じゃなかったんだな~これが~。刀で腹に覚悟の印を刻んでたんだな~じゃじゃ丸さんは~。熱いね~。熱血だね~。いや~。いや~。いや~…。
クラウドファンディングで資金調達した映画だそうでエンドロールの最後に50人ぐらいクラファン出資者のクレジットが流れるのですがクラファン出資者の人はこの完成品見てどんな顔したんすかね。たぶん出資するぐらいだからそれなりにゲーム版「じゃじゃ丸くん」に思い入れのある人が多いと思うんですが。
いや、ゲーム要素はたぶんふんだんにあるんですよ。なんか妖怪みたいな敵とかボーナスアイテムみたいなやつとか。そうですねそこは「くん」の方のじゃじゃ丸でしたね。ただ「さん」の方がね。やっぱり「さん」の方がどうしても大きい分だけ目立ちますから。ねぇ。ニンジャの里を抜け出して秋葉原近辺で暮らしてるじゃじゃ丸さんの兄貴が巻物をチンポに見立てて俺の刀は切れ味抜群! 抜き身だから鞘が欲しい! 鞘はどこかな~…とかセクハラ電話をかけたりする開始5分であれ! これは本当に「くん」かな!? これ本当に「くん」になってるかな!? クンニなってる? やかましいわ!
そこでもうこれは俺が観に来たつもりの「くん」の映画じゃなくて「さん」の映画だなと思いましたね。分かるでしょう言わんとすることは。分からなくても分かってくれ。世の中にはそういう映画もあるんだ。そういうのだって映画なんだ。いいじゃないですか、なんかお金とかないから原っぱと一軒家がメインのバトルフィールドだって。いいじゃないですか、おそらくレトロゲームがたくさん売ってるというだけの理由でとくに物語に絡むこともなく秋葉原を舞台にしたって。いいじゃないですか、エンドロールがもはやじゃじゃ丸くんでもなんでもなくマッスル男子の肉体美見せコーナーになっていても。いいじゃないですか、いいじゃないですか、いいじゃないですか…!
いいと思わないとやってけないよ。人の一生はこんなことばかりだ。期待して、裏切られて、腹を立てて、哀しくなって、それでもどこか好きになろうとして、俺の人生無駄じゃないって思おうとして。その意味では映画『じゃじゃ丸くん』、人生そのものだったね。人生は辛い。険しい。でもその中にほんの一滴ほんの一粒でも生きていてよかったなと思えることがあるかもしれない。映画『じゃじゃ丸くん』で言えば様々な趣向を凝らした擬斗・殺陣、これに尽きます。スタッフもきっとそう思いながら5年間頑張ったことだろう。制作から公開まで5年かかったそうです。
※あと兄貴のキャラは全てのシーンで滑ってましたし不快なだけだったのであれ要らなかったんじゃないすかね。兄貴抜いてアクションシーン中心に90分ぐらいになっていればもしかしたら…と思わないこともないが現実は兄貴と秋葉原の茶番を入れて119分でした。
【ママー!これ買ってー!】
最近出たゲームの方もアマレビュで酷評されてました。