《推定睡眠時間:25分》
彗星の到来と共にやってきた手裏剣がメインウェポンでステルススーツを身に纏ったニンジャプレデターこそが人類に柔術をもたらしたのであった。柔術で強くすれば脆弱な人類もニンジャプレデターの良いトレーニング相手になれるだろう…だが相手になれなければ、人類に用はない。そう、人類はニンジャプレデターの噛ませ犬であったのだ。
衝撃の柔術誕生秘話と学校では一切教わった記憶のない裏人類史が語られるニコラス・ケイジ×トニー・ジャーの豪華共演作にも関わらずどうしてこんなに眠いのだろう。いやもう相当眠かったよ。ガンガン闘っとるのにな。むしろファイトシーンぐらいしか見せ場がないような映画なのに。あのねやっぱりね音楽の力って偉大。なんかずっと暗めのアンビエントみたいな曲が流れててしんどいっすよマジで。
なんでこんなバカみたいな映画でその曲調チョイスになったの。バカみたいな映画なんだからバカみたいなロックとか適当に流しておけばいいのではないだろうか。真面目だったのかな。なんか真面目な物語のつもりで一応作ってて…その可能性あるからな結構。う~ん困ったね。意外と困る映画だったねこれは。その困りが味と思い込めなければなかなか厳しい映画であった。ニンジャプレデターとニコラス・ケイジが戦ういかにもバカな…いや、楽しそうな映画なのに…!
さて物語はこのように始まります。なんかよくわからんが森の中でニンジャプレデターと戦っていた強そうな男ジェイク(『キック・ボクサー』のリブート版に出ていたスタント出身のアラン・ムーシという人らしい)が手裏剣ラッシュを食らって負傷、崖から飛び降りて海へと逃れるが記憶喪失に陥ってしまう。場所はよく知らんけど寝仏とかあるしトニー・ジャーが出てるからタイっぽかったです。
で漁師に拾われるもウチには置いとけないからと駐留米軍(?)に持ってかれる。全然通訳ができない通訳担当のファンキー黒人が事情を聞いたところ6年に1度は彗星が到来し寺院の穴が空くのだ…とかわけのわからんことを言われて困惑。しかし米軍はその情報から何かを察知したようであった。ジェイクを重要人物と見て事情聴取を進める米軍。だがそこに、仏僧の列に紛れて…紛れてというか一人だけアサシンクリードみたいな格好をしているのでステルス度がマイナスに突入しておりまったく紛れた意味のない男が現われる。
その男はムエタイマスター・ケウン、演じるはトニー・ジャーであった。次に何が起こるかは言うまでもないだろう。
ケウンはニンジャプレデターと闘う選ばれし戦士であった。彼の目的は同志ジェイクを救出すること。6年に1度暴れるらしいニンジャプレデターを倒すにはJIU-JITSUマスターのジェイクが必要だ…なにせそれこそがニンジャプレデターの目的だからである。と、選ばれし戦士の長として森の中の穴蔵で暮らしているうちに頭がどうかしてしまったワイリー(ニコラス・ケイジ)は語る。なんなんだその無駄に捻った設定は。
だが人類の武器は何もJIU-JITSUばかりではない。ムエタイ、カンフー、棒術、剣術…とにかく色々ある。選ばれし戦士たちはみな何かしらの格闘術のマスターであった。意外やその中で目を引いたのは撮り方が悪いのか準備期間がなかったのかあるいは単にやる気がなかったのか(台詞がトータル二行ぐらいだったので友情出演的に出ただけであんまやる気がなかった説を推したい)そんなに動きがキレてないトニー・ジャーではなく主演のアラン・ムーシでもなく、ジャーもムーシも別に悪くはないが名も知れない黒人棒術マスターであった。いやそこもっと押せよ! だいぶ美しい迫力ある棒術やってたぞあの人!
あとヌンチャク使いのカンフーマスター、ジュージュー・チャンね。ジュージューよかったわ~。ヌンチャクを相手の手首に絡みつけて投げ技に持ってくとか実に渋いヌンチャク使いでしたしね~。あと見た目がカッコイイとてもカッコイイ大好き。ヌンチャク使えて金髪ショートの中国系アメリカ人とか最強だろ。なのになんだあの扱いは! 大して闘わないでアラン・ムーシとやたらベタベタしてばっかじゃねぇか! 羨ましい! 許せない! もっとジュージューちゃんをニンジャプレデターもしくは米軍相手にぶち当ててバトル見せ場を作るべきだろうがッ!
まあでもそういう映画なんだろうな! アラン・ムーシを売り出すためのアイドル映画的な! スタントマンとしてはかなり有名な人らしいですからニコラス・ケイジもトニー・ジャーもそれで出たんじゃないかなって邪推しますけれどもでも! 売り出すための映画がこんなバカっぽいシナリオの映画でいいのかな~? とかはちょっと思うよね! だから監督はその板挟みだったんじゃないですかきっとこれは! アラン・ムーシはかっこよく撮らないといけないけどシナリオはバカだからその間を取って中途半端な感じになっちゃったみたいな!
なんか、監督の「こんなの面白いだろぉ」みたいなこだわりは随所に感じましたけどね。コミック風の章立てになっていたりだとか。直球すぎる『プレデター』オマージュがあったりとか。ベタなオモシロ黒人がベタベタなオモシロをやって滑ってるところとか。長回しのファイトシーンの途中で突如としてカメラがアラン・ムーシPOVに切り替わってゲームで言うところの『キングスフィールド』っぽい画になる…ってそれじゃあアラン・ムーシのアクションが見えないじゃん!
ヘボいなぁ。ヘボいけど、でもなんか、スゴいなぁ…。こういうのを淀長ではないが「なんとも知れん」面白味のある映画と言うんじゃないだろか。っていうかそもそも、人類に柔術を叩き込んだニンジャプレデターってなに?(アラン・ムーシがもともと柔術畑の人であったことから生まれた設定なのだろうが…)
【ママー!これ買ってー!】
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これも方向性としては『アースフォール』と同じようなトンデモ格闘SFだったよな。まさかあの平凡な一作目が続編でここまで別路線に突き抜けるとは…もう続編にする意味がどこにも見出せないほどの突き抜け方であった。
【ところで手裏剣で攻撃してくるエイリアンといえばこれとこれですよね】
ブログ主様のおっしゃる通り、端々に仕掛けられた工夫が面白かったですよ!
ニコケイさんは、多分自分がやりたい演技ができて楽しそうでした。
飲酒、カタナでキメポーズ、ブシドー、息子の世話を焼く父親、みんなに見られながら死ぬ・・・さすがに変T&ブリーフ姿を披露はしてませんでしたが、きっとこの映画、ニコケイさんはジウジツしてたと思います。
ニコケイはたぶんやりたいことしかやってないですよね笑
演技指導もあまりなくて、自分から「こんなの面白いと思うんだけど」って監督に言って「最高です!それでいきましょう!」みたいな。柔術ならぬ監督操縦術。想像ですけど笑